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(事例紹介)観護措置ってどんな措置?要件は?
(事例紹介)観護措置ってどんな措置?要件は?
今回は、岐阜家庭裁判所が19歳の少年に対する観護措置を2週間延長したという事例をもとに、観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
・参考事例
岐阜市の陸上自衛隊射撃場で隊員3人が自動小銃で撃たれ死傷した事件で、岐阜家裁は2日、強盗殺人などの疑いで家裁送致された元自衛官候補生の男A(19)の観護措置を当初の5日までから19日までに延長すると決めました。
事件は昨年6月に発生し、「89式5.56ミリ小銃」が発射され、隊員2人が死亡、1人が重傷を負いました。
Aは殺人未遂容疑で現行犯逮捕され、殺人容疑で再逮捕されるなどした後、岐阜地検が鑑定留置を行っていました。
Aは今年1月に家裁送致されています。
(※2/2に『dmenuニュース』で配信された「19歳男の観護措置2週間延長 陸自小銃発射、岐阜家裁」記事の一部を変更して引用しています。)
・観護措置とは
「観護措置」とは、少年事件で少年の身体を少年鑑別所に送致して一定期間保護する措置を指します。
家庭裁判所が円滑な調査や審判を行うためや、少年の心情の安定を図ることを目的とされ、家庭裁判所の調査員が観護する「在宅観護」と、少年鑑別所に収容する「収容観護」の2つの種類があります。
ただ、在宅観護については、実務上ほとんど使われていないため、実質「観護措置=収容観護」という意味合いになっています。
少年に対して観護措置がとられる場合の要件については、少年法第17条で以下のように規定されています。
- 少年法第17条(観護の措置)
家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもって、次に掲げる観護の措置をとることができる。
一 家庭裁判所調査官の看護に付すること。
二 少年鑑別所に送致すること。
(※第2項以下省略)
条文では、観護措置の要件を「審判を行うため必要があるとき」としか記載されていません。
ただ、一般的には、以下の要件を満たすことが観護措置の要件と解釈されています。
①審判条件があること。
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。
また、観護措置の期間は原則2週間を超えることができないと少年法第17条第3項で規定されています。
ですが、観護措置を継続する必要があると判断された場合は、一度だけ期間を更新することができ、最大4週間観護措置がとられることになります。
・観護措置を回避するには弁護士へ依頼
観護措置がとられると、基本的に少年鑑別所に送致されて約1か月間収容されることになります。
長期期間慣れない環境で生活をすることは、少年にとって心理的・肉体的に大きな負担になりかねません。
観護措置を回避する可能性を少しでも上げるためには、弁護士に付添人活動を依頼することが重要になります。
弁護士が付添人となり、観護措置に関する意見書を家庭裁判所に提出するので、この意見書を調査官が確認して観護措置を回避することができる可能性が高まります。
弁護士に依頼する場合は、少年事件の弁護・付添人活動の経験豊富な専門の弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、少年事件・刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。
大切なお子様が少年事件を起こしてしまったという方は、まずは弊所までご相談ください。
(事例紹介)詐欺事件を起こし、別件で少年鑑別所に収容されていた少年2人が逮捕
(事例紹介)詐欺事件を起こし、別件で少年鑑別所に収容されていた少年2人が逮捕
少年鑑別所に収容されていた少年が逮捕された詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
・参考事例
埼玉県警朝霞署は24日、詐欺容疑で、静岡県袋井市、男子高校生(17)と同県磐田市、無職の少女(17)の2人を逮捕した。
逮捕容疑は氏名不詳者らと共謀し、今年1月26日午後1時ごろから数回、志木市の無職女性=当時(79)=方に県内の孫(28)を装って電話し、「書類を間違えて発送した。仕事の都合でお金が必要」などと話し、同日午後2時半ごろ、同方を訪れ、女性から現金100万円とキャッシュカード2枚をだまし取った上、同市内のATMで計5回にわたり現金計80万円を引き出した疑い。
同署によると、事件後に女性が孫に連絡を入れたため詐欺と分かった。
同署はコンビニ店の防犯ビデオなどから2人を特定。
その後の捜査で、犯行後に別件で静岡少年鑑別所に収容されていることが分かり、同署は24日、同鑑別所で2人を逮捕した。
2人は友人関係で、女性方やコンビニ店で受け子や見張り役をやっていた。調べに対して「間違いない」と容疑を認めているという。
(埼玉新聞 令和5年4月26日(水) 10時02分配信 「鑑別所で…静岡の17歳男女を逮捕 志木の女性から現金などだまし取った疑い 友人同士で受け子、見張り役」より引用)
・詐欺罪
紹介したニュースの少年(少年法第2条において、20歳に満たない者)2人は、詐欺罪の容疑で逮捕されています。
参考事例の詐欺事件は、特殊詐欺にあたります。
その中でも今回の事例は、親族を装って電話をかけ、仕事のトラブルを騙って現金やキャッシュカードを騙し取っていることから特殊詐欺の類型の1つであるオレオレ詐欺に該当します。
・少年鑑別所
事件を起こした2人は少年鑑別所で逮捕されています.
時系列としては、
①事件Aを起こす
②事件Bを起こす
③事件Bで捜査を受け、家庭裁判所に送致されて観護措置を受ける
④事件Aの捜査の結果、少年らが犯人であることを特定し、既に事件Bで少年鑑別所にて収容観護されていることが判明
という事例であると考えられます。
少年鑑別所では、少年の保護処分を決める少年審判を開く前に、少年が非行に及んだ理由などを調べるための行動観察や面談などが行われます。
また、勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容されている場合は、警察官等による取調べも行われます。
成人の事件で勾留の手続きが採られた場合、捜査段階での勾留期間は最大で20日間ですが起訴され裁判になる場合には繰り返し延長ができるため、裁判が終わるまでは勾留されるという場合もあります。
しかし少年事件の観護措置決定は2週間+延長2週間の4週間で終える必要がありますので、その期間内に審判期日を設ける場合がほとんどです。
なお、実務的には、捜査をしている段階で余罪があると分かっている事件であれば、捜査がすべて終わった時点で家庭裁判所に送致する場合が多いです。
身柄拘束が必要な事件の場合、20日間の捜査勾留期間内に捜査が終わることが望ましいですが、終わらない場合、1件目の事件で処分保留の釈放をしつつ、2件目の事件で逮捕して改めて勾留する、という流れが一般的で、全ての捜査が終了した後、家庭裁判所の判断で少年鑑別所に収容されます。
しかし、今回報道されている事件について、報道の範囲内で推測される手続きとしては、逮捕により鑑別所での収容観護の執行停止、又は取消しして、2件目の捜査が行われます。
状況や事件の内容によっては、2件目の捜査終了後に改めて家庭裁判所に送致され、最初から少年鑑別所での収容観護が行われる可能性があります。
・少年事件は手続きが複雑
今回の報道事例は特にレアケースですが、少年事件では成人の刑事事件とは異なる手続きが多々見られます。
実は、法律の専門家である法曹三者(弁護士・検察官・裁判官)も、試験勉強から研修(司法修習)、実務に至るまで、少年法をはじめとした少年事件に関する法律に触れる機会は極めて少なく、手続きを知らない方も少なくありません。
そんな中、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所として、これまで数多くの少年事件に携わってきました。
20歳未満のお子さんが詐欺などの罪を犯して逮捕された、捜査を受けている、少年鑑別所で収容観護が行われているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。