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(事例紹介)男性に怪我を負わせた少年2人を傷害罪の疑いで逮捕

2023-10-11

(事例紹介)男性に怪我を負わせた少年2人を傷害罪の疑いで逮捕

今回は、知人男性に殴る蹴るなどの暴行を加えて怪我を負わせたとして、傷害罪の疑いで少年2人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

男性(20)の顔面などを殴打などしけがをさせたとして、16歳の無職の少年2人が、傷害の疑いで逮捕されました。

2人は8月30日夜、男性の顔面などを殴打したり、けったりし、けがを負わせた疑いがもたれています。

被害を知った男性の母親が「自分の息子が殴られてけがをした」と警察に通報し、事件が発覚。
警察は付近の防犯カメラを調べるなど捜査し、10月5日に容疑が固まり、2人を逮捕しました。

調べに対し、少年の1人は「暴力をふるったことは間違いないが、自分のふるった暴力でけがはさせていない」と容疑を一部否認。
もう1人は「殴ってけがをさせたことは間違いない」と容疑を認めています。

少年2人と男性は顔見知りで、警察は口論からトラブルに発展したとみて経緯を詳しく調べています。
(※10/6に『Yahoo! JAPANニュース』で配信された「16歳の少年2人 20歳男性に”殴るけるの暴行”…ケガさせ逮捕「3人は顔見知り」口論からトラブルに? 男性の母親が通報」記事を引用しています。)

・傷害罪とは

傷害罪は、刑法第204条で以下のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、暴行の故意により成立するパターンと、傷害の故意により成立するパターンの2つがあります。

そもそも、「故意」とは一般的には「わざと」と似た意味を持ち、刑法における故意とは「ある行為が犯罪に該当することを認識し、それを認容して実行すること」を指します。

相手に怪我を負わせるつもりはなかったけど、結果として怪我を負わせてしまった場合は、「暴行の故意」によって傷害罪が成立します。
最初から相手に怪我を負わせるつもりで怪我を負わせた場合は、「傷害の故意」によって傷害罪が成立します。

ただ、傷害罪は相手が怪我(傷害)を負った場合に成立するので、最初から相手に怪我を負わせるつもりだったが、結果として怪我を負わせなかった場合は、傷害罪は成立しません。

このような場合は、刑法第208条で規定されている暴行罪が成立します。

傷害罪の処罰内容は、15年以下の懲役刑50万円以下の罰金刑です。

・傷害事件における示談の重要性

傷害罪のように被害者が存在する事件では、被害者と示談を締結することが重要になります。
成人の刑事事件では、被害者と示談を締結することで不起訴処分を獲得できる可能性は高まります。

ただ、少年事件の場合、成人の刑事事件とは異なり、被害者と示談を締結したとしても、少年院送致などの保護処分が課せられる可能性はあります。

少年事件においては、①少年が深く反省していること、②再非行のおそれがないこと、③少年を保護する必要性がないことが、審判不開始の判断を獲得する上で重要なポイントになります。

▼少年事件の詳しい流れについてはこちらをご覧ください。
・少年事件・少年犯罪の流れ

少年事件において、被害者との示談締結が必ずしも良い結果に結びつくわけではないとはいえ、後に被害者から損害請求されるおそれがあったり、保護者が少年の行為に対する責任をとれていないと監督能力が疑われてしまうおそれがあるため、被害者との示談交渉を進めることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件で被害者との示談を締結して審判不開始を獲得した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が傷害事件を起こしてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)までご連絡ください。

(事例紹介)原動機付自転車でひき逃げの少年逮捕

2023-06-07

(事例紹介)原動機付自転車でひき逃げの少年逮捕

16歳の少年がひき逃げで逮捕されたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

けさ(17日)岡山市東区の県道でひき逃げをしたとして、16歳の少年が逮捕されました。
過失運転傷害・道路交通法違反容疑で逮捕されたのは、岡山市の自称アルバイトの少年(16)です。

警察によりますと少年は、きょう午前7時半ごろ、岡山市東区西大寺上三丁目の県道で原付バイクを運転中、渋滞のため停止しようとしていた岡山市の会社員の女性(18)が運転する軽乗用車に追突したあと、逃走した疑いです。女性は胸椎をねん挫するなど1週間のけがです。
女性からの通報を受けた警察が、ひき逃げ事件として所要の捜査を行って少年の犯行を特定し、きょう午後逮捕したものです。

調べに対して少年は「交通事故を起こして逃げたことについては、オレがやったことに間違いありません」と容疑を認めているということで、警察が逃げた動機などについて調べています。
(RSK山陽放送 令和5年5月17日(水) 20時46分配信 「「オレがやったことに間違いありません」原付バイクで軽乗用車に衝突も逃走 少年(16)を逮捕 軽乗用車の女性(18)が1週間のけが【岡山市】」より引用)

・ひき逃げ

参考事例では、少年がひき逃げで逮捕されています。
ひき逃げは、
・過失運転致傷(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下では「自動車運転死傷行為等処罰法」)違反)
・救護義務違反(道路交通法違反)
によって構成されています。

まず、過失運転致傷罪については、原動機付自転車を含む自動車を運転している際に運転上必要な注意を怠り、人に怪我を負わせた場合に適用されます(自動車運転死傷行為処罰法第5条)。
俗に人身事故と呼ばれるものです。
過失運転傷害罪(過失運転致傷罪)の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
また、被害者の負った傷害が軽いと判断されれば、刑が免除される可能性があります。

次に、救護義務違反については、道路交通法第72条前段に違反します。
同条では、交通事故が発生した場合、事故に関係する車両の運転手(その他乗務員)はすぐに車両を止めて負傷者を救護し、必要な措置(道路における危険を防止する等)を講じ警察官に連絡しなければならないことを定めています。
運転手が救護義務に違反した場合の法定刑は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(道路交通法第117条第2項)。

・少年事件での示談交渉

ひき逃げなどの被害者がいる事件で、少年自身が罪を認めていて且つ反省している場合、謝罪と賠償を行い示談締結を求める弁護活動・付添人活動を行うことが考えられます。
この示談交渉について、成人の刑事事件については、示談し宥恕(被害者が加害者を許す意味)があれば、不起訴処分となる可能性は極めて高いです。
しかし、少年事件の場合、示談をしたからといって必ずしも良い処分を得られるという訳ではありません。
仮に示談が行われたとしても、少年が反省していない・再非行のおそれが高い・要保護性(少年を指導や保護に付する必要性)が高いと評価され、少年院送致や児童自立支援施設送致などの厳しい保護処分が課せられることは考えられます。

では、示談をしなければ良いのかというと、そうではありません。
被害者がいる少年事件では
①倫理的あるいは道義的に謝罪と賠償を行う必要がある
②刑事事件・少年事件の一貫として示談をしなければ、被害者の側から賠償請求などをされる可能性がある
③犯罪少年の行為に対して責任をとれていないとして、保護者の監督能力が疑われる
といった理由から、できる限りの謝罪と賠償、示談交渉を進めていきたいところです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
弊所では初回であれば無料で受けることができる法律相談の他、弁護士が逮捕されている少年のもとに直接伺う初回接見サービス(有料)をご利用いただけます。
お子さんがひき逃げを起こしてしまい取調べを受けている場合、逮捕されてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881(24時間対応、年中無休)」へ御連絡ください。

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