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(事例紹介)中学生に対する強要で高校生ら逮捕

2023-03-29

(事例紹介)中学生に対する強要で高校生ら逮捕

少年が相手を脅して海に飛び込ませた強要事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

中学生を脅迫し、海に飛び込ませたとして、警視庁少年事件課は、強要の疑いで、いずれも東京都(略)の高校2年の少年3人を逮捕した。
調べに対し、いずれも容疑を認め「中学生に反省させるためにやった」などと供述しているという。

逮捕容疑は令和4年10月2日、品川区の「東品川海上公園」に中学3年の男子生徒(15)を呼び出し、胸や腹を殴るなどの暴行を加え、「タイマンするか、海に入るか選べ」と脅し、海に飛び込ませたとしている。男子生徒にけがはなかった。
少年事件課によると、男子生徒は事件前、逮捕された3人のスケートボード仲間である中学3年の男子生徒(15)とけんかになっていた。

(産経新聞 令和5年3月7日(火) 15時47分配信 「「タイマンするか、海に入るか選べ」強要容疑で高2の少年3人逮捕 警視庁」より引用)

・強要罪

参考事例の高校生3人は、被害者である中学生に対し、「タイマンするか、海に入るか選べ」と発言しているようです。
本件で問題となるのは、強要罪です。
条文は以下のとおりです。

刑法第223条第1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

脅迫罪のいう「脅迫」とは、普通であれば畏怖する(恐怖心を抱く)内容の害悪を相手に告知することです。
この害悪の告知は内容が実行可能であるものであり、恐怖するほどの現実性、具体性を持つ必要があります。
参考事例の場合、年長者である高校生3人が、発言の前に胸や腹を殴るなどの暴行を加えた上で、「タイマンするか」と問いかけています。
つまり身体に対して暴行を加える旨の害悪を告知して、海に飛び込むという義務のない行為を強いていることから、強要罪の成立が検討されるというものです。

【少年事件の手続き】

逮捕されたのは高校2年で、少年事件の捜査を担当する警察官が捜査をしていることから、20歳未満の少年である可能性が高いと考えられます。
少年事件では、警察官や検察官などの捜査機関による捜査が行われた後に、家庭裁判所に送致され、裁判官の判断で少年法が定める保護処分が課せられる可能性があります。
保護処分は少年に対して保護処分を課す必要性がどの程度あるか(要保護性が高いか)を基準にして決定されます。
要保護性が高いと判断されれば少年院などの施設に送致され、そうでない場合は施設送致が不要と判断され保護観察処分や審判不開始などが選択されます。

少年事件は成人が犯罪を起こした場合の刑事事件とは異なる手続きで進められるため、少年事件の当事者になった場合は少年事件の弁護・付添人活動の経験が豊富な弁護士に相談することで、より正確な見通しや適切な活動について知ることが言えると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
当事務所では、在宅事件の場合には事務所にて無料で相談を受けることができるほか、家族が逮捕・勾留されている場合には逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービス(有料)もご利用いただけます。
20歳未満のお子さん(少年)強要事件を起こし捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(制度紹介)「付添人」の活動

2023-03-01

(制度紹介)「付添人」の活動

少年事件で家庭裁判所に送致された際に事件と担当する「付添人」について、その活動内容や弁護士以外の選任などを解説致します。

【参考事例】

愛知県名古屋市在住のAさん(事件当時高校生・16歳)は、高校の同級生と一緒に自転車を使いすれ違いざまにバックなどを奪うひったくり行為をしました。
そして、後日防犯カメラの映像からAさんが特定され、警察に逮捕されてしまいました。
息子が逮捕されたことに驚いた母親は、少年事件を数多く経験している弁護士事務所に連絡し、Aさんの弁護活動・付添人活動を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【少年事件のおおまかな流れ】

20歳未満の少年が犯罪を犯した場合、少年法が適用され成人の場合とは違った手続きが進行していきます。
まず、警察の捜査段階での手続きについては、基本的には、刑事訴訟法が適用されるため一部を除いて成人の場合とほとんど変わりません。
しかし、少年事件においては全件送致主義がとられており、捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると判断した時は、すべての事件を家庭裁判所に送致することとされています。
家庭裁判所に事件が送致された後は、法的調査(非行事実の存否の調査)や、社会調査(要保護性に関する調査)などが行われます。
そして、調査の結果として少年審判を開始するのが相当であると認める時は、少年審判を受けることになります。
少年審判においては、不処分、児童自立施設等送致、保護処分、検察官送致の中から処分が選択されることになります。

【付添人活動について】

14歳以上20歳未満の少年が逮捕、勾留されて捜査段階にある場合は、少年には「弁護人」がつくことになります。
これは、成人の場合と同様で、司法試験に合格して弁護士登録を行っている「弁護士」が「弁護人」という立場で活動を行います。
しかし、少年が家庭裁判所に送致された後は、「弁護人」ではなく「付添人」を選任することができます。

付添人」は、基本的に「弁護士」が選任されます。
これについて、(一定の重大事件を除き)家庭裁判所が許可した場合には、例外的に「弁護士」以外の者を選任することも可能です。
とはいえ、付添人活動では法律に従って主張や意見をしたり、犯罪事実とされている事件の捜査手法に法的問題がなかったか等を確認する場合があるため、「弁護士」以外が「付添人」として活動するのは容易ではありません。

【付添人の活動について】

付添人」も「弁護士」と同様に、少年の権利を守っていく役割があります。
少年が少年鑑別所に収容されている場合は、面会に行き、捜査への対応方法や黙秘権等の権利を説明します。
これに加えて、「付添人」は、少年の更生を助けるための活動もしていきます。
少年審判では非行事実に加えて「要保護性」も審理の対象となります。
「要保護性」とは、再非行の可能性や矯正可能性、保護相当性などが判断の対象になります。
そのため、付添人は、少年審判で少年にとって最善となる処分を出してもらうために、少年の保護者や学校の教師などと連携を取って、少年が更生するために必要な環境を整えていく活動をしていきます。
非行事実に争いのない場合は、この環境調整が「付添人」の活動の重要な部分を占めます。

【少年事件での弁護活動・付添人活動の重要性】

少年が事件を起こした場合、精神的に未熟な少年が、連日警察官や検察官、家庭裁判所調査官など様々な大人から代わる代わる事件についての事情を聞かれます。
また、場合によっては警察署などの留置場や少年鑑別所にいることになるため家にも帰れず極度のストレス状態となります。
そのため、少年の立場から少年の権利を守る「弁護人」「付添人」の必要性は、成人の刑事時事件以上に大きいものになります。
そして、少年事件の場合は、大人以上に周囲の環境から受ける影響が大きいため、これらを調整し、少年が更生できる環境を作っていくことが重要になってきます。
これらの調整に専門家である「弁護士」が「弁護人」「付添人」として関与していくことは、少年の更生にとってより良い結果を生むことになると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
もちろん、少年が家庭裁判所に送致されてからの「付添人」としての活動も経験豊富な「弁護士」が多数所属しております。
もし、少年が事件を起こして警察に捜査されたり、家庭裁判所に送致されることになった場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話(フリーダイヤル0120ー631ー881)ください。

(事例紹介)少年を含むグループで行った器物損壊事件

2023-02-01

(事例紹介)少年を含むグループで行った器物損壊事件

20歳未満の「少年」が器物損壊事件を起こしたという報道をもとに、保護観察処分について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

埼玉県春日部市内の国道で昨年8月、走行中の車にコンクリートブロックを投げ付けて傷つけたとして、越谷署は18日、器物損壊の疑いで茨城県古河市上辺見、無職の男(22)ら同県の男4人を再逮捕した。
4人はいずれも「間違いありません」と容疑を認めており、「カーチェイスを楽しむために対向車線ではなく、並走する車に投げ付けて楽しんだ」などと供述しているという。

同署によると、再逮捕されたのは男のほか、犯行当時19歳だった古河市の無職男(20)、同じく同県境町の無職男(20)、同市の無職少年(16)の3人。
再逮捕容疑は共謀の上、昨年8月15日午後8時半ごろ、春日部市豊野町2丁目地内の国道4号下り線を車で走行中、並走していた春日部市居住の会社員男性(55)が運転する乗用車にコンクリートブロック数個を投げ付けて車体右後部のドアなどを破損(損壊額合計18万4140円相当)させた疑い。
男性にけがはなかった。

同署などによると、4人は越谷市内の解体業者の元同僚。男性は被害に遭い、同日午後10時ごろに「車から物を投げられて車体がへこんだ」と110番した。車体のドアには数センチの傷が複数できており、被害状況からコンクリートブロックは拳よりも大きい物とみられるという。
4人は同日、茨城県と千葉県の県境の利根川に架かる境大橋を走行中に対向車線を走ってきた車に対して、擦れ違いざまにコンクリートブロックを投げ付けフロントガラスを壊したとして昨年10月、茨城県警に器物損壊容疑で逮捕された。同11月には犯行当日に千葉県野田市の県道でも同様にコンクリート片を投げ付け、車のドアを壊したとして、同県警に再逮捕されていた。
同署などはこのほかにも県東部で被害を複数件確認。4人は関与をほのめかしており、余罪やコンクリートブロックの入手経路などを調べる。
(埼玉新聞 1/19(木) 9:29配信 「車へこんだ…対向車にコンクリ片を投げていた10~20代男ら、並走車にも投げる「カーチェイスしたくて」」より引用)

・器物損壊罪

上記の事例は器物損壊罪が容疑となっている事件です。
器物損壊罪の条文は下記のとおりです。

刑法261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

前3条とは刑法258条の公用文書等毀棄罪、259条の私用文書等毀棄罪、260条の建造物等損壊罪及び建造物等損壊致死傷罪を指しています。

なお、報道の事実に基づくと、被疑者らの行為は自動車の運転手が死傷する可能性が高い行為と言えます。
事件の態様や被害者の方の怪我の有無等により、暴行罪・傷害罪・殺人未遂罪などの罪に問われる可能性があります。(順に刑法208条、刑法204条、刑法199条ほか)
加えて、投げたブロックは道路上に残ることから、そのブロックの大きさ次第では往来妨害罪の適用も考えられます。(刑法124条各項)

・少年事件と成人の刑事事件との違い

成人であれば刑法による処罰を受けますが、14歳から19歳は少年事件として扱われ、原則として刑法の定める刑事罰ではなく、少年法の定める保護処分を課されます。
少年に対して家庭裁判所は罪を犯したか確認のうえ、適切な保護処分を決めるための少年審判を開くことになります。

・保護観察処分を求める弁護活動

報道によると、本件には少年を含め複数人が関与していることになります。
うち少年については、上述のとおり成人の刑事事件とは異なる手続きに附されます。
とはいえ、少年だからといって「軽い罪になる」というわけでは決してありません。
たとえば、同じことをした成人のAさんと少年のBさんについて、
・Aさんは刑事裁判で罰金刑や執行猶予判決(社会内処遇)に
・Bさんは少年審判で少年院送致の決定を受けて施設内処遇に
なることもあり得ます。

社会内処遇である保護観察処分を求めるためには、保護者はもちろんのこと、家族・親族などの協力により、少年院送致などの施設内処遇は不要であることを積極的に主張していく必要があります。
具体的には、少年との接見・面会を重ね、少年の内省を深めるとともに、事件に関係したグループなどから離脱することを確約したり、自身の今後のビジョンに向かって取り組んでいる姿勢などを示すことになるでしょう。
とはいえ、どのような主張をしていく必要があるかは事件の性質や少年一人一人の特性によって異なります。
少年事件で保護観察処分を求めるためには、少年事件の経験が豊富な弁護士に相談・依頼をすることをお勧めします。

少年事件で、罪を犯したことは事実であり、要保護性(保護処分を課す必要性)が大きいものの、少年院や児童自立支援施設といった施設ではなく社会内で更生を図っていく必要があると判断された場合、保護観察処分が言い渡されます。
保護観察処分を言い渡された場合、社会内で学校・職場に行くなどの日常生活を送り乍ら、法務省保護局の保護観察官と地域のボランティアである保護司さんによる課題や面談に服することが求められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの少年事件に携わり、保護観察処分を含め社会内処遇を獲得したという実績も多数ございます。
お子さんが道路上でブロック片を投げる等した器物損壊罪等の事件で逮捕され、保護観察処分などの社会内処遇を求めるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所による初回接見サービスをご利用ください。(有料)

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