(事例紹介)少年を含むグループで行った器物損壊事件

2023-02-01

(事例紹介)少年を含むグループで行った器物損壊事件

20歳未満の「少年」が器物損壊事件を起こしたという報道をもとに、保護観察処分について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

埼玉県春日部市内の国道で昨年8月、走行中の車にコンクリートブロックを投げ付けて傷つけたとして、越谷署は18日、器物損壊の疑いで茨城県古河市上辺見、無職の男(22)ら同県の男4人を再逮捕した。
4人はいずれも「間違いありません」と容疑を認めており、「カーチェイスを楽しむために対向車線ではなく、並走する車に投げ付けて楽しんだ」などと供述しているという。

同署によると、再逮捕されたのは男のほか、犯行当時19歳だった古河市の無職男(20)、同じく同県境町の無職男(20)、同市の無職少年(16)の3人。
再逮捕容疑は共謀の上、昨年8月15日午後8時半ごろ、春日部市豊野町2丁目地内の国道4号下り線を車で走行中、並走していた春日部市居住の会社員男性(55)が運転する乗用車にコンクリートブロック数個を投げ付けて車体右後部のドアなどを破損(損壊額合計18万4140円相当)させた疑い。
男性にけがはなかった。

同署などによると、4人は越谷市内の解体業者の元同僚。男性は被害に遭い、同日午後10時ごろに「車から物を投げられて車体がへこんだ」と110番した。車体のドアには数センチの傷が複数できており、被害状況からコンクリートブロックは拳よりも大きい物とみられるという。
4人は同日、茨城県と千葉県の県境の利根川に架かる境大橋を走行中に対向車線を走ってきた車に対して、擦れ違いざまにコンクリートブロックを投げ付けフロントガラスを壊したとして昨年10月、茨城県警に器物損壊容疑で逮捕された。同11月には犯行当日に千葉県野田市の県道でも同様にコンクリート片を投げ付け、車のドアを壊したとして、同県警に再逮捕されていた。
同署などはこのほかにも県東部で被害を複数件確認。4人は関与をほのめかしており、余罪やコンクリートブロックの入手経路などを調べる。
(埼玉新聞 1/19(木) 9:29配信 「車へこんだ…対向車にコンクリ片を投げていた10~20代男ら、並走車にも投げる「カーチェイスしたくて」」より引用)

・器物損壊罪

上記の事例は器物損壊罪が容疑となっている事件です。
器物損壊罪の条文は下記のとおりです。

刑法261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

前3条とは刑法258条の公用文書等毀棄罪、259条の私用文書等毀棄罪、260条の建造物等損壊罪及び建造物等損壊致死傷罪を指しています。

なお、報道の事実に基づくと、被疑者らの行為は自動車の運転手が死傷する可能性が高い行為と言えます。
事件の態様や被害者の方の怪我の有無等により、暴行罪・傷害罪・殺人未遂罪などの罪に問われる可能性があります。(順に刑法208条、刑法204条、刑法199条ほか)
加えて、投げたブロックは道路上に残ることから、そのブロックの大きさ次第では往来妨害罪の適用も考えられます。(刑法124条各項)

・少年事件と成人の刑事事件との違い

成人であれば刑法による処罰を受けますが、14歳から19歳は少年事件として扱われ、原則として刑法の定める刑事罰ではなく、少年法の定める保護処分を課されます。
少年に対して家庭裁判所は罪を犯したか確認のうえ、適切な保護処分を決めるための少年審判を開くことになります。

・保護観察処分を求める弁護活動

報道によると、本件には少年を含め複数人が関与していることになります。
うち少年については、上述のとおり成人の刑事事件とは異なる手続きに附されます。
とはいえ、少年だからといって「軽い罪になる」というわけでは決してありません。
たとえば、同じことをした成人のAさんと少年のBさんについて、
・Aさんは刑事裁判で罰金刑や執行猶予判決(社会内処遇)に
・Bさんは少年審判で少年院送致の決定を受けて施設内処遇に
なることもあり得ます。

社会内処遇である保護観察処分を求めるためには、保護者はもちろんのこと、家族・親族などの協力により、少年院送致などの施設内処遇は不要であることを積極的に主張していく必要があります。
具体的には、少年との接見・面会を重ね、少年の内省を深めるとともに、事件に関係したグループなどから離脱することを確約したり、自身の今後のビジョンに向かって取り組んでいる姿勢などを示すことになるでしょう。
とはいえ、どのような主張をしていく必要があるかは事件の性質や少年一人一人の特性によって異なります。
少年事件で保護観察処分を求めるためには、少年事件の経験が豊富な弁護士に相談・依頼をすることをお勧めします。

少年事件で、罪を犯したことは事実であり、要保護性(保護処分を課す必要性)が大きいものの、少年院や児童自立支援施設といった施設ではなく社会内で更生を図っていく必要があると判断された場合、保護観察処分が言い渡されます。
保護観察処分を言い渡された場合、社会内で学校・職場に行くなどの日常生活を送り乍ら、法務省保護局の保護観察官と地域のボランティアである保護司さんによる課題や面談に服することが求められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの少年事件に携わり、保護観察処分を含め社会内処遇を獲得したという実績も多数ございます。
お子さんが道路上でブロック片を投げる等した器物損壊罪等の事件で逮捕され、保護観察処分などの社会内処遇を求めるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所による初回接見サービスをご利用ください。(有料)

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