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(事例紹介)出勤途中の男性を殴った少年を傷害罪の疑いで逮捕

2023-11-01

(事例紹介)出勤途中の男性を殴った少年を傷害罪の疑いで逮捕

少年事件 傷害罪

今回は、福島県で起きた傷害罪による少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

10月31日、警察は傷害の容疑で郡山市に住む無職の少年A(16歳)を逮捕しました。
警察によると、Aは10月20日の午前8時45分頃、郡山市中町の路上で出勤途中の男性V(60代)に後ろから殴りかかり、顔などにけがをさせた疑いがもたれています。

警察は防犯カメラの映像などからAを割り出し逮捕したとしていて、Aは「間違いありません」と容疑を認めているということです。
VとAに面識はなく、警察は少年が無差別的に男性に殴り掛かったと見て捜査しています。
(※10月31日に『FTV 福島テレビ』で配信された「逮捕されたのは16歳の少年 出勤途中の男性に背後から突然殴りかかってけがをさせた疑い<福島県>」記事の一部を変更して引用しています。)

・傷害罪とは

今回の事例では、Aは傷害罪の疑いで逮捕されています。
傷害罪については、刑法第204条で以下のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪に似た罪として暴行罪(刑法第208条)がありますが、傷害罪と暴行罪の違いは、暴行行為の結果、相手(被害者)が傷害(怪我)を負ったかどうかです。
暴行を加えた結果、相手が怪我を負った場合は傷害罪、相手が怪我を負わなかった場合は暴行罪が成立します。

今回の事例で考えると、AはVに対して後ろから殴りかかり、顔などに怪我を負わせています。
つまり、暴行を加えた結果Vの身体を傷害しているため、Aは傷害罪の疑いで逮捕されたということになります。

傷害罪が成立すると、15年以下の懲役または50万円以下の罰金で処罰されます。

・少年が傷害罪で逮捕された後の流れ

今回の事例のように、20歳未満の人が刑事事件を起こすと、少年事件として扱われ、通常の成人事件と手続きが異なります。

逮捕までの手続きは成人事件と同様の流れになり、逮捕後48時間以内に警察から検察官に事件の記録が送られます。
検察官に事件の記録が送られた後は、検察官が勾留するのか、勾留に代わる観護措置をとるのか、勾留はせずに家庭裁判所に送致するのか判断します。

勾留・勾留に代わる観護措置がとられると、少年の身柄は逮捕に引き続き拘束されることになります。
勾留に代わる観護措置とは、成人事件にはなく、少年事件でのみとられる手続きです。
勾留に代わる観護措置がとられると、少年は鑑別所10日間収容されることになります。

また、少年事件は原則すべての事件が家庭裁判所に送致される「全件送致主義」がとられていて、家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所が少年の調査を行います。
調査の結果、家庭裁判所は少年に対して最終的な処遇を決定します。

▼少年事件の詳しい流れについてはこちら
・少年事件・少年犯罪の流れ

少年事件を起こしてしまい、勾留や勾留に代わる観護措置がとられると、身体拘束が長引くことになり、学校に発覚して退学になるおそれもあります。
子どもが少年事件を起こして逮捕されてしまい、早期釈放してほしいという場合は、少年事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の刑事弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。

初回無料の法律相談や、すでに逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)をご案内していますので、少年事件でお困りの方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

(事例紹介)施設に落書きをした19歳少年を建造物損壊罪で逮捕

2023-09-20

(事例紹介)施設に落書きをした19歳少年を建造物損壊罪で逮捕

街中でガードレールや壁に落書きがされているものを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
ただ、落書き行為は立派な犯罪なので、発覚すれば逮捕されて処罰される可能性もあります。

今回は、市の施設などに複数回落書きをしたとして、建造物損壊罪の疑いで19歳の少年が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

静岡市役所の周辺で、市の施設などに相次いで落書きされているのが見つかった事件で、警察はこのうち、地下駐輪場の入り口のガラスに落書きをしたとして、19歳の少年Aを逮捕しました。
調べに対し、Aはほかの落書きについても関与をほのめかす供述をしているということで、警察は余罪についても調べることにしています。

8月30日、静岡市葵区の市役所周辺で、公園のトイレの壁や市の施設などあわせて10か所以上に落書きされているのが見つかり、市が警察に被害届を提出しました。

警察が目撃情報や付近の防犯カメラの映像などから捜査を進めた結果、住所不定で自称、引っ越し作業員のAが、地下駐輪場の入り口のガラスの壁に黒いスプレーで落書きをした疑いがあるとして、19日建造物損壊罪の疑いで逮捕しました。
現場の状況などからAは1人で落書きを行ったとみられ、調べに対し、容疑を認めているということです。

また、ほかの落書きについても関与をほのめかす供述をしているということで、警察は余罪についても調べることにしています。
(※9/19に『NHK NEWS WEB』で配信された「静岡市役所周辺で相次いだ落書き 19歳の少年を逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

・落書き行為で成立する罪は?

前述したように、落書き行為は犯罪ですが、落書きの程度や範囲、対象によって適用される罪が異なります

落書き行為によって成立する可能性がある犯罪は以下の通りです。

  • 建造物損壊罪(刑法第260条)
  • 器物損壊罪(刑法第261条)
  • 威力業務妨害罪(刑法第234条)
  • 文化財保護法違反(文化財保護法第196条)
  • 軽犯罪法違反(軽犯罪法第1条33号)
  • 迷惑防止条例違反(都道府県などの各自治体が定めている場合)

今回の事例では、Aは建造物損壊罪の疑いで逮捕されているので、建造物損壊罪に焦点を当てて解説していきます。

・建造物損壊罪とは

建造物損壊罪については、刑法第260条で以下のように規定されています。

  • 刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
    他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

「建造物」とは、家屋やこれに類似する建築物を指し、判例では屋根を有し、壁又は柱によって支えられ、土地に定着し、その内部に出入りが可能なもの」と定義されています。

「損壊」とは、建造物の本来の効用を滅却あるいは減損させる一切の行為を指しています。
つまり、物理的に建造物を壊すような行為だけでなく、建造物の外観を汚すような行為についても、建造物本来の効用を実質的に滅却あるいは減損されたと認められれば「損壊」に該当する場合があるということです。

落書き行為については、建造物の外観や美観を著しく汚損し、原状回復に相当の困難を生じさせ、その利用についても抵抗感や不快感を与えかねない状態であれば、建造物損壊罪の「損壊」に該当する可能性があります。

今回の事例では、Aは市が管理している公園のトイレの壁や地下駐車場の入り口のガラスなど約10カ所以上に落書きをしています。
Aの落書きの程度などについて報道では記載されていませんでしたが、トイレや地下駐車場は判例で定義されている建造物に該当し、Aの落書き行為も損壊に該当していると判断されたため、Aは建造物損壊罪で逮捕されたと考えられます。

・お子様が落書き行為で逮捕されたら弁護士へ

今回の事例で逮捕されたAは20歳未満なので、刑法においては「少年」として扱われます。
20歳未満の少年が起こした刑事事件(少年事件)と、20歳以上の成人が起こした刑事事件(成人事件)では、手続きが異なる点がいくつかあります。
また、Aは18歳と19歳が該当する「特定少年」に位置しているため、18歳未満の少年が起こした少年事件と少し異なる点があります。

少年事件の流れについて把握している方は少なく、急に警察から子どもが逮捕されたと連絡が来れば、今後どうなっていくのか不安になる方がほとんどです。
もし、お子様が少年事件を起こしてしまった場合は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談すれば、少年事件の流れや現在お子様が置かれている状況、今後どうなっていくかの見通しなどについて詳しく説明してくれます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護活動を担当した実績を持つ、少年事件・刑事事件に特化した専門の法律事務所です。

お子様が落書き行為による刑事事件を起こしてしまったり、落書き行為で逮捕されてしまったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

初回無料の法律相談や、逮捕されている場合の初回接見サービス(有料)を提供していますので、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお電話をお待ちしております。

(事例紹介)電車に鍵をかけた威力業務妨害罪の疑いで少年を逮捕

2023-08-23

(事例紹介)電車に鍵をかけた威力業務妨害罪の疑いで少年を逮捕

今回は、電車のドアに鍵をかけて運行を遅らせたとして、威力業務妨害罪の疑いで17歳の少年が逮捕された報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

鉄道グッズ店で購入した専用の鍵を使ってJR埼京線の電車のドアを施錠し運行を遅らせたとして、警視庁少年事件課は29日までに、威力業務妨害の疑いで、東京都内の高校2年の男子生徒(17)を逮捕した。

電車の撮影が趣味で「かつて運転士にハイビームにされて撮れなかったことがあり、仕返ししたかった」と容疑を認めている。

捜査関係者によると、生徒は都内の店舗で鍵を購入し、恵比寿―大崎間を走行中の車内で同じ車両の片側のドア3カ所を施錠したとみられる。
大崎駅に到着した電車のドアが開かず、約10分の遅延が生じた。
防犯カメラの捜査から浮上した。
(※2023年7月29日に『dmenuニュース』で配信された記事の内容を引用しています。)

・威力業務妨害罪とは

今回の事例で逮捕された少年の行為は、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。
威力業務妨害罪については、刑法第234条で以下のように規定されています。

  • 刑法第234条(威力業務妨害)
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

条文に記載されている「前条」とは、刑法第233条の信用毀損罪・業務妨害罪(偽計業務妨害罪)を指しています。

  • 刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

威力業務妨害罪の条文で「前条の例による」と規定されているので、威力業務妨害罪が成立した場合は、信用毀損罪・偽計業務妨害罪と同様に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金で処罰されることになります。

威力業務妨害罪が成立するための要件としては、威力」を用いて「人の業務」を「妨害」していることが必要です。

「威力」とは、人(被害者)の意思を制圧するに足りる勢力を使用することを指します。
店内で暴れる行為や従業員に対して過剰なクレームをする行為も「威力」に該当します。

「人の業務」とは、人が社会生活において継続・反復して行う仕事を指します。
業務には、一般的な仕事以外にも、ボランティア活動や学校の授業なども該当します。
ただし、警察官などが強制力を行使する公務については、業務ではありません。
公務を妨害した場合は、威力業務妨害罪ではなく、公務執行妨害罪が成立します。

「妨害」については、実際に業務を妨害される行為だけでなく、業務を妨害するに足りる行為であればよいとされています。

今回の事例でAが行った電車のドアを施錠する行為は、運転手(人)の電車を運行するという意思を制圧して電車運行を遅らせているため、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

・お子様が威力業務妨害罪で逮捕されたら弁護士へ

少年事件と成人事件では、刑事事件を起こした場合の流れが少し異なります。
少年事件の場合は、警察から検察に送致された事件の全てが原則家庭裁判所に送られます。
また、身柄を拘束する必要がある場合の手続きも成人事件と異なる措置が取られる場合もあります。

少年事件に関する事件の流れを理解している人は多くはありません。
まして、お子様が逮捕されたと急に警察から連絡が来ると、気が動転してしまい、今後どうなるのか不安に感じてしまう方がほとんどです。
なので、お子様が事件を起こして逮捕されてしまった場合は、弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士に弁護活動を依頼すれば、弁護士から少年事件の詳しい流れや、お子様の今後の見通し、現在お子様が置かれている立場・状況などを詳しく丁寧に説明してくれるので、不安な気持ちを一人で抱え込まずに対処することができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、威力業務妨害罪はもちろん、様々な少年事件の弁護活動を担当した実績を持つ刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。
少年事件の弁護活動について、詳しく知りたいという方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

(事例紹介)仲間の顔を殴り怪我を負わせた少年4人を逮捕

2023-08-16

(事例紹介)仲間の顔を殴り怪我を負わせた少年4人を逮捕

仲間の顔を殴ったり、背中にたばこの火を押しつけたりするなどをして怪我を負わせたとして、15歳から16歳の少年4人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

神奈川県警少年捜査課と都筑署は6日までに、傷害の疑いで、横浜市都筑区や緑区に住む、15、16歳で無職や高校1年の少年4人を逮捕した。

4人の逮捕容疑は、共謀し、9月12日午前0時45分ごろから約3時間、同市都筑区の河川敷で、高校1年の男子生徒(16)の顔を殴ったり、背中にたばこの火を押し付けたりするなどし、約2~4週間のけがを負わせた、としている。

署によると、4人はいずれも容疑を認めている。
4人と被害生徒は地元の仲間で、署は何らかのトラブルがあったとみて調べている。
(※2022年10月6日に『カナコロ』で掲載された仲間の顔を殴り、背中にたばこの火 容疑の少年4人逮捕の内容を引用しています。)

・少年らに問われる罪

今回の事例で逮捕された4人の少年の行動は、傷害罪に問われる可能性があります。
傷害罪については、刑法第204条で以下のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に書する。

傷害罪は、暴行罪の結果的加重犯とされています。
「結果的加重犯」とは、加害者の行為が意図していなかった重い結果になった場合、重い結果に対する犯罪の成立を認めることを指します。
つまり、重い方の結果に対して加害者の故意がなかったとしても、加害者が最初に行った犯罪に対する故意があれば、重い結果に対する犯罪も成立するということです。

今回の傷害罪で考えると、傷害罪は暴行を加えた結果、被害者が傷害(怪我)を負うことで成立します。
暴行を加えた結果、被害者が怪我を負わなければ刑法第208条の暴行罪が成立しますが、怪我を負うと傷害罪が成立します。

加害者が被害者に怪我を負わせるつもりがない(傷害罪の故意がない)状態で暴行を加えた結果、被害者が怪我を負ってしまったとしても、傷害罪の成立は暴行の故意(暴行罪の故意)があれば成立するということが結果的加重犯の考え方です。

今回の事例で、少年らは被害者の少年に対して、顔を殴ったり背中にたばこの火を押しつけたりといった暴行を加えた結果、約2〜4週間の怪我を負わせています。
暴行を加えた結果、被害者の少年に対して約2〜4週間の怪我を負わせているため、少年らには傷害罪が成立する可能性が高いです。

・逮捕された少年の流れ

刑法における「少年」は20歳未満の者を指します。
少年が刑事事件(=少年事件)を起こして逮捕された場合と、成人が刑事事件(=成人事件)を起こして逮捕された場合は、少し手続きの流れが変わります。

捜査段階での手続きは少年事件も成人事件も変わりません。
警察が逮捕して48時間以内に検察官に身柄を送致され、検察官が24時間以内に勾留をするのかどうか判断します。
ただ、少年事件の場合は、検察に送致された後、勾留だけでなく「勾留に代わる観護措置」がとられる場合があります。

また、少年事件は「全件送致主義」がとられていることも、成人事件との大きな違いです。
全件送致主義とは、捜査の結果、少年に対して罪を犯した疑いがあると判断された場合は、原則全ての事件を家庭裁判所に送致することです。

家庭裁判所に送致された後は、少年に対する調査が行われ、最終的な処遇を審判で裁判官が決定します。

・傷害罪でお子様が逮捕されてしまったら弁護士へ

お子様が傷害罪で逮捕されてしまった場合は、弁護士へ弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪による少年事件はもちろん、様々な少年事件の弁護活動を担当した実績を持つ刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
お子様が逮捕されてしまえば、今後どうなるか不安になる方がほとんどなので、自分だけで抱え込まずにまずは弁護士に相談しましょう。

24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)お問い合わせメールより、ご連絡をお待ちしております。

(事例紹介)中学生に対する強要で高校生ら逮捕

2023-03-29

(事例紹介)中学生に対する強要で高校生ら逮捕

少年が相手を脅して海に飛び込ませた強要事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

中学生を脅迫し、海に飛び込ませたとして、警視庁少年事件課は、強要の疑いで、いずれも東京都(略)の高校2年の少年3人を逮捕した。
調べに対し、いずれも容疑を認め「中学生に反省させるためにやった」などと供述しているという。

逮捕容疑は令和4年10月2日、品川区の「東品川海上公園」に中学3年の男子生徒(15)を呼び出し、胸や腹を殴るなどの暴行を加え、「タイマンするか、海に入るか選べ」と脅し、海に飛び込ませたとしている。男子生徒にけがはなかった。
少年事件課によると、男子生徒は事件前、逮捕された3人のスケートボード仲間である中学3年の男子生徒(15)とけんかになっていた。

(産経新聞 令和5年3月7日(火) 15時47分配信 「「タイマンするか、海に入るか選べ」強要容疑で高2の少年3人逮捕 警視庁」より引用)

・強要罪

参考事例の高校生3人は、被害者である中学生に対し、「タイマンするか、海に入るか選べ」と発言しているようです。
本件で問題となるのは、強要罪です。
条文は以下のとおりです。

刑法第223条第1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

脅迫罪のいう「脅迫」とは、普通であれば畏怖する(恐怖心を抱く)内容の害悪を相手に告知することです。
この害悪の告知は内容が実行可能であるものであり、恐怖するほどの現実性、具体性を持つ必要があります。
参考事例の場合、年長者である高校生3人が、発言の前に胸や腹を殴るなどの暴行を加えた上で、「タイマンするか」と問いかけています。
つまり身体に対して暴行を加える旨の害悪を告知して、海に飛び込むという義務のない行為を強いていることから、強要罪の成立が検討されるというものです。

【少年事件の手続き】

逮捕されたのは高校2年で、少年事件の捜査を担当する警察官が捜査をしていることから、20歳未満の少年である可能性が高いと考えられます。
少年事件では、警察官や検察官などの捜査機関による捜査が行われた後に、家庭裁判所に送致され、裁判官の判断で少年法が定める保護処分が課せられる可能性があります。
保護処分は少年に対して保護処分を課す必要性がどの程度あるか(要保護性が高いか)を基準にして決定されます。
要保護性が高いと判断されれば少年院などの施設に送致され、そうでない場合は施設送致が不要と判断され保護観察処分や審判不開始などが選択されます。

少年事件は成人が犯罪を起こした場合の刑事事件とは異なる手続きで進められるため、少年事件の当事者になった場合は少年事件の弁護・付添人活動の経験が豊富な弁護士に相談することで、より正確な見通しや適切な活動について知ることが言えると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
当事務所では、在宅事件の場合には事務所にて無料で相談を受けることができるほか、家族が逮捕・勾留されている場合には逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービス(有料)もご利用いただけます。
20歳未満のお子さん(少年)強要事件を起こし捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)回転寿司店での迷惑行為で少年が捜査対象に

2023-03-08

(事例紹介)回転寿司店での迷惑行為で少年が捜査対象に

SNSを中心に多くの波紋を呼んだ回転寿司チェーンでの迷惑行為の動画が拡散された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

岐阜市にある回転ずしチェーン「スシロー」の店舗で、醤油のボトルを舐めるなどの迷惑行為の動画が拡散した問題で、岐阜県警が少年らを書類送検する方針であることがわかりました。
この問題では、岐阜市内のスシローの店舗で、少年が醤油のボトルの注ぎ口や、別の客が使う湯呑みを舐める様子などを撮影した動画がSNSで拡散しました。
スシローは1月31日に被害届を提出し、警察は偽計業務妨害の疑いを視野に捜査を進めていましたが、その後の捜査関係者への取材で、迷惑行為に関わった少年ら複数人を、早ければ2月中にも書類送検する方針であることがわかりました。
 書類送検されるのは、迷惑行為をした少年のほか、動画の撮影者やSNSに動画を投稿した人物も含まれるとみられています。
(東海テレビ 令和5年2月10日(金) 11時39分配信 「撮影者や投稿者も含まれるか…スシロー店舗での“醤油ボトル舐め”等の迷惑行為の動画拡散 少年ら書類送検へ」より引用)

・迷惑行為で問題となる罪

多くの波紋を呼んだ回転寿司店での迷惑行為動画拡散の件について、上記以外にも多数のメディアが報道しています。
迷惑行為は、事件の内容や場所によってどのような罪に該当するかが変ってきますが、参考事例については、迷惑行為をした少年に対し偽計業務妨害罪の嫌疑(疑い)がかけられています。
偽計業務妨害罪の罰条は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。(刑法233条)

また、自身が使うわけではない湯呑やボトルの注ぎ口を舐めるなどの行為は、器物損壊罪に該当する可能性があります。
器物損壊罪というと、ものを壊した場合に成立するという印象を抱きがちですが、そのような場合のみならず「物の効用を害した」場合に成立するというのが判例・通説です。
他人が口を付けた湯呑やボトルを使用したいと考える人はおおよそいないと考えられますので、実際には壊れていなくても、その湯呑やボトルの効用は害されると言えるため、器物損壊罪の成立が検討されます。
器物損壊罪の罰条は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。(刑法261条)

なお、罪に問われるのは、実際に迷惑行為をした少年に限りません。
迷惑行為に関わった撮影者などの少年も共同正犯として罪に問われる可能性があります。(刑法60条)

・少年事件の手続きについて

報道によると、今回の被疑者は少年法上の少年(少年法2条において「20歳に満たない者」とされています。)に該当するようです。
少年の場合、捜査が終わった後は、原則としてすべての事件が家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送られた少年は、裁判官の判断により家庭裁判所調査官による調査面談や、少年鑑別所での観護措置などが行われ、保護処分を課す上で必要な情報収集を行います。
その後、家庭裁判所の裁判官は、少年に対して
・審判不開始決定(少年に対して保護処分を課すことなく終了する)
・審判開始決定(審判を開き、少年に保護処分を課すかどうか判断する)
・検察官送致(一定の重大犯罪で刑事裁判に附する)
のいずれかを決めます。

審判は成人の刑事事件とは異なり、非公開で行われます。
また、懲役・罰金といった刑事罰は設けられておらず、少年審判で下される決定は保護処分(少年院送致・児童自立支援施設等への送致・保護観察)となります。
これら審判で下された保護処分は刑事罰ではないため、俗に言う前科には該当しません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件も取り扱う刑事事件専門の弁護士事務所です。
弊所には初回無料でご利用いただける法律相談の他、弁護士が逮捕された方のもとへ直接伺う初回接見サービスを実施しています。
お子さんが偽計業務妨害罪器物損壊罪で捜査を受けている、少年手続について知りたい、という方は、24時間体制で予約を受け付けている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご連絡ください。

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