少年鑑別所に行かないようにしたい
1 はじめに
捜査機関による捜査が終了すると,少年事件・少年犯罪は家庭裁判所に送致されることになります。 家庭裁判所へ送致された後,家庭裁判所が少年を鑑別所に送るかどうかを判断します。 家裁送致後も少年の身体拘束が必要な場合は,少年鑑別所での観護措置という手続きが行われます。 期間は通常4週間(少年法17条3項,4項本文)として運用されており,最長で8週間(少年法17条4項ただし書き,9項)とされています。
少年鑑別所は刑務所等とは異なり,少年の資質を調査・分析し,少年の改善更生のための適切な処遇方針が検討されることから,少年の更生を考えるうえで,プラスに働く部分もあります。
一方で,少年鑑別所に入ることで,現在通っている学校から退学させられたり,勤務している職場から解雇されたりする危険は高まります。 そこで,付添人として,観護措置を争うか否かについては,少年及び保護者の方に十分に説明したうえで,少年にとっていずれが適切といえるか判断することになります。 仮に観護措置決定を争う場合には,以下のような活動をします。
2 観護措置決定阻止
上記のとおり,観護措置がとられると4週間程度の長期間にわたって少年は鑑別所に収容されてしまいます。 学生であれば学校を欠席せざるをえなくなりますし、事件終結まで長期間を要することとなってしまい少年の被る不利益は多大になります。 弁護士としては、観護措置の要件・必要性がないことや観護措置を避けるべき事情があることについて述べた意見書を家庭裁判所に提出し,早期の身柄解放に努めます。
3 観護措置決定に対する異議申立て
観護措置決定の要件を満たさないにもかかわらず,観護措置決定がなされた場合には,かかる観護措置決定は違法・不当であるとして,観護措置決定に対し,異議申し立てをします。
4 観護措置取消の申請
観護措置決定がなされた場合,その後に生じた事情や調査の結果を踏まえて,観護措置の必要がなくなったとして,その取消しを申請することができます。
また,受験や親族の葬儀等に際して,一時的に観護措置を取消すことを求める場合も考えられます。 この場合,受験等の用件が済んだ後,再び観護措置が取られることになります。