少年事件と前科

2019-03-31

少年事件と前科

~ケース~

福岡市早良区在住の有名私立高校の2年生A君は、日頃の勉強ストレスを発散するために,同区内のV店で万引き行為を繰り返していた。
ある日,A君がV店で万引きを行ったところ,店員に見つかってしまった。
A君は抵抗し,店員を突き飛ばしてしまい店員は全治1週間の怪我を負ってしまった。
その後,A君は駆けつけた他の店員らに店舗事務所に連れていかれた。
連絡を受けてA君を引き取りに来た両親は店長から警察に被害届を出すことも検討していると聞かされた。
A君に前科がついてしまうのではないかと心配になった両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に相談した。
(フィクションです)

~前科~

いわゆる「前科」とは,法律上に定義があるわけではありません。
広義には,刑事裁判で有罪判決もしくは略式手続きにより刑の言渡しを受けた事実を指します。
すなわち,実刑および執行猶予付き判決,罰金や科料といった刑罰を科せられた事実が前科とされます。

日本の刑事事件の手続きを概略しますと警察による逮捕→事件を検察官へ送致→検察官による公訴の提起(起訴)→刑事裁判もしくは略式手続きとなっています。
略式手続きとは刑事裁判を開かずに書面で罰金刑を科す刑事裁判よりも簡略化された刑事手続きを言います。
検察官が公訴の提起をしなかった場合(起訴猶予,不起訴処分)や刑事裁判の結果,無罪判決となった場合には当然ですが前科は付きません。

~少年事件と前科~

一方,犯人が少年である少年事件の場合には上記の刑事手続きとは違った手続きが取られることになります。
少年事件の場合,刑罰を科すのではなく,少年を更生させることを目的とした手続きがとられます。
少年事件の場合でも警察による逮捕後,事件を検察官へ送致する手続きは通常の刑事事件と同様です。
しかし,少年事件の場合には検察官は起訴するかどうかを判断するのではなく,犯罪の嫌疑がある場合には事件を家庭裁判所に送致します。
そして家庭裁判所が少年の調査・審判を行うために少年の心情の安定を図りながら,少年の身体を保護してその安全を図る必要がある場合には,観護措置がなされます。
監護措置は在宅で家庭裁判所調査官の観護に付する場合と,少年鑑別所に送致する場合がありますが,多くの場合,少年鑑別所で行われます。

家庭裁判所では,審判に付すべき少年について事件の調査が行われ,調査の結果を踏まえて,少年の最終的な処遇を決定します。
少年事件では家庭裁判所の審判を経て,非行事実と要保護性が認定されれば,刑罰ではなく,保護処分を課すことが優先されます。
保護処分は①保護観察,②児童自立支援施設又は児童養護施設送致,③少年院送致の3種類があります。
保護処分となれば刑罰を科せられているわけではないので,少年院送致であっても前科とはなりません。

しかし,家庭裁判所が調査の結果,保護処分ではなく刑事処分を科すことが相当であると判断した場合事件を検察官に送致します(これを逆送といいます)。
送致を受けた検察官は通常の刑事事件と異なり公訴を提起できるだけの犯罪の嫌疑があると判断した場合は、起訴しなければならないとされています。
そのため,少年事件であっても逆送されてしまうと原則,刑事裁判が開かれ,無罪判決とならなかった場合,前科がついてしまうことになります。

~逆送されないために~

少年事件の場合,刑罰を科すことよりも保護処分を優先するのが原則となっています。
そのため,逆送されるのは調査の結果,少年の更生が望めないといった場合となります。

少年の更生を図ることによって、保護処分となり,逆送されず前科とはならない可能性が高くなります。
具体的にどのようなことをして更生を目指せばよいのか分からない場合には、少年事件に詳しい弁護士に相談し,ご一緒にお子様の更生に向けた活動をしていくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件刑事事件専門の法律事務所であり、少年事件の経験豊富な弁護士が多数所属しています。
お子様が事件を起こしてしまいお悩みの方はお気軽に0120-631-881までご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(福岡県早良警察署までの初回接見費用:35,500円)

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