少年事件と逆送②

2019-03-21

少年事件と逆送②

東京都あきる野市に住むA君(17歳)は強盗致傷罪警視庁五日市警察署逮捕,検察庁に送致された後勾留されました。
強盗致死罪の事件がいったん家庭裁判所に送致された際,A君の身柄は少年鑑別所に移されました。
そして,家庭裁判所の少年審判では逆送決定(刑事処分相当による検察官送致)が出たので,A君は釈放されず身柄を拘束されたままでいます。
A君のご両親は今後のことが不安になって少年事件に詳しい弁護士に相談を申込みました。
(フィクションです)

~ 逆送とは ~

逆送とは,家庭裁判所の審判において,刑事処分が相当であると判断されて,事件が家庭裁判所から検察官に戻されて送致されることをいいます。
逆送されれば,成人と同様の刑事手続に移行します。
正式起訴されれば,成人同様,正式裁判を受けなければなりませんし,裁判で有罪となり裁判が確定すれば刑に服さなければなりません。
前科も付きます。

~ 逆送後の流れ ~

家庭裁判所の少年審判で逆送決定が出たため,A君は引き続き身柄を拘束されているようです。
では,その後はどういう流れとなるのでしょうか?

= 長期間の身柄拘束がはじまる(少年法45条4号) =

A君の身柄を少年鑑別所に移すこと(送致すること)を観護措置といいます(少年法17条1項2号)が,逆送決定があった際,この観護措置は裁判官のした勾留とみなされます。
ただし,その勾留期間は,検察官が送致を受けた日(逆送を受けた日)から起算するとされています。
勾留のはじめの拘束期間は10日間です。
勾留期間の延長も可能ですが,当該事件について先に勾留状が発せられていた場合は延長できません。
A君の場合,先に勾留されていますから,逆送後の勾留延長は認められません。
勾留期間中は検察,警察の捜査を受けます。

= 強制起訴される(少年法45条5号) =

検察官は,家庭裁判所から送致を受けた(逆送を受けた)事件について,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは,公訴を提起しなければならないとされています。
本来,起訴するかしないかの判断は検察官に委ねられているのですが,本号では「しなければならない」と,検察官に起訴を義務付けているため「強制起訴」と呼ばれています。
ただし,次の場合は,起訴しないこともできるとされています。

・送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないとき
・犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため,訴追を相当でないと思料するとき
・送致後の情況により訴追を相当でないと思料するとき

= 裁判員裁判を受ける =

強制起訴されれば裁判所による刑事裁判を受けなくてはなりません(裁判所に出廷しなければなりません)。
また,殺人罪,放火罪,強盗致傷罪などの重大事件については裁判員裁判の対象事件となり,3名の裁判官に6名の一般市民(裁判員)を加えた裁判体による裁判を受けなければなりません。

~ 逆送決定を受けた場合は? ~

以上のように,逆送決定を受けると成人と同様の刑事手続を踏まなければならないほか,裁判で有罪となり,その裁判が確定すれば裁判で言い渡された刑に服さなければなりません。
では,こうした事態を回避する方法はないのでしょうか?

この点,家庭裁判所が出した逆送決定に対して不服を申し立てることはできません。
その理由は,逆送決定が中間的処分であるからだ,などと説明されています。
しかし,裁判で保護処分が相当であること,事件を家庭裁判所へ(再び)移送するよう求めることができます。
これが
55条移送
と呼ばれるものです。
少年法55条にこの点に関する規定が置かれていることからこう呼ばれています。
弁護士としては,55条移送の主張も含めて検討する必要があります。

少年法55条 
 裁判所は,事実審理の結果,少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは,決定をもって,事件を家庭裁判所に移送しなければならない。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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(警視庁五日市警察署までの初回接見費用:40,200円)

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