少年が傷害事件や窃盗事件で逮捕

2020-12-18

少年が傷害事件や窃盗事件で逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

埼玉県行田市に住む少年Aは、以前からトラブルのあったVと喧嘩になり、Vを暴行し失神させてしまった。
その後に、倒れたVの持ち物が欲しくなった少年Aは、Vから無理矢理これを引き剥がしその場を去った。
騒ぎを聞きつけた周囲の人間が110番通報し、臨場した埼玉県行田警察署の警察官は、少年Aを逮捕した。
少年Aの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~少年が強盗罪に?~

少年Aは、普段から折の悪かったVと暴力沙汰を起こしてしまい、傷害罪等によって逮捕されてしまいました。
刑法208条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは」暴行罪とするものと規定しています。
そして、同法204条は「人の身体を傷害した者」を傷害罪とするものと定めています。
つまり、傷害罪は暴行罪の「結果的加重犯(かじゅうはん・かちょうはん)」とされているのです。
単語だけ見るとやや難解ですが、砕けた言い方をすれば、ちょっと痛めつけるつもり(暴行罪程度のつもり)でも、結果として「傷害」を負わせてしまえば、(被害者に傷害を負わせるつもりまではなくとも)傷害罪が成立するということです。
したがって、Vを失神させてしまった少年Aの暴行には、結果的加重犯として傷害罪(刑法204条)が成立します。

さらに、少年Aは失神してしまったVが金目の物をもっていることに気づき、その持ち物を持ち去ってしまっています。
この点、刑法236条は強盗罪について定め、その1項で「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪」とするとしています。
この条文で想定されているのは、暴行・脅迫による財物の強取という意思を持った行為の処罰です。
判例・実務においては、上記「暴行」「脅迫」は、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度である必要があります。
しかし、本件では少年AはVに暴行を加えた時には、Vの物を盗るなどという意思は全く有していませんでした。
さらに本件では、Vは少年Aの暴行により、少年AがVの持ち物を奪う意思を生じる前に意識を失ってしまっています。
したがって、もはや強盗罪にいう「暴行」「脅迫」を行う余地はなく、少年Aの行為には窃盗罪(刑法235条)が成立するにとどまります。

~少年の逮捕と成人の逮捕~

報道等を見れば、少年が逮捕されたという報道がない日がないくらい少年犯罪に関する報道には枚挙に暇がありません。
20歳未満の「少年」には、少年法という特別法が適用されるというのは常識の範囲と言っていいと思いますが、では成人との間で逮捕手続などに違いがあるのでしょうか。
基本的に少年と成人の間に逮捕に関して手続の違いはありません(少年法40条 )。
したがって、原則的な流れ(いわゆる通常逮捕)としては、刑事訴訟法199条1項・刑訴規則143条の3により、嫌疑の相当性や逃亡・罪証隠滅のおそれなどを考慮して、警察官等は少年の逮捕に踏み切ることになります。
一方で、刑法上14歳未満の者には刑事責任を問えないことから(刑法41条)、14歳から(成人直前の)19歳まで「少年」にも多様性があることも否めません。
したがって、極端に若い少年などの逮捕においては、上述のような一般的な逮捕要件以外にも様々な考慮事情があることもまた事実です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含んだ刑事事件を専門にした法律事務所です。
少年事件においては、少年法の専門知識に加え、多様な少年の発達段階等に対応した適切な弁護活動が求められます。
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