少年による無免許・酒気帯び運転事件

2022-04-12

少年による無免許・酒気帯び運転事件

今回は、少年が無免許で、酒気を帯びた状態で自動車を運転した場合における刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

A君(16歳)は、酒を飲んだ後に自動車を運転中、パトカーに止められ職務質問を受けました。
A君からはお酒の臭いがしたので、呼気検査を行ったところ、呼気1リットルにつき0.20ミリグラムの酒気が検出されました。
警察はA君を無免許運転及び酒気帯び運転の現行犯として逮捕しました。
(フィクションです)

~無免許運転の罪と酒気帯び運転の罪を解説~

(無免許運転の罪)
道路交通法第84条1項では、「自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない」としています。
あらためて言及すべきことではないと思われますが、自動車を運転する場合には必要な免許を受けなければなりません。

自動車を運転できる免許を受けずにこれを運転すれば、「無免許運転の罪」に問われます(道路交通法第117条の2の2第1号)。
この場合の法定刑は「三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」となっています。

(酒気帯び運転の罪)
身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く)を運転すると、「酒気帯び運転の罪」が成立します。
酒気帯び運転につき起訴され、裁判で有罪が確定すると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条の2の2第3号)。

「政令で定める程度」とは、「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」です(道路交通法施行令第44条の3)。

A君は呼気1リットルにつき0.20ミリグラムのアルコールが検出される状態で自動車を運転していたのですから、酒気帯び運転の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。

~A君は今後どうなるか?~

A君は16歳の少年ですから、少年法の適用があります。
そのため、原則として刑罰を受けることはありません。
その代わり、家庭裁判所で審判が開かれれば、必要な保護処分を受けることになります。

(逮捕後の手続)
少年であっても、逮捕・勾留されうるという点では成人と同様です。
逮捕され留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、A君の勾留を請求するか、釈放するかを判断しなければなりません。

勾留請求がなされ、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されることになります。
さらに、やむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されることになります。

その後、検察官は勾留の満期日までにA君を家庭裁判所に送致します。

(家裁送致後)
家庭裁判所に送致されると、A君について「観護措置」をとるか否かが判断されます。
観護措置がとられると、少年鑑別所に収容され(すでに少年鑑別所に勾留されているケースもあるかもしれません)、審判の円滑な進行、適切な処分を行うための検査を受けることになります。

(家庭裁判所の審判)
審判が開かれた場合、A君にとって必要な保護処分が言い渡されます。
保護処分には、①保護観察処分、②少年院送致、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。
A君に保護処分を言い渡さなくても更生を期待できる場合には、①そもそも少年審判が開かれない、②少年審判で「不処分」が言い渡される場合もあります。

A君の家庭環境に大きな問題がなければ、不処分か保護観察処分を受けて事件が終了することになるでしょう。
保護観察処分は在宅で更生を図る保護処分ですが、保護観察官・保護司の指導・監督を受けなければなりません。
不処分の場合は、このような負担がありません。
できるだけ負担の少ない事件解決を目指すためには、逮捕直後からA君を取り巻く環境を改善し、審判に向けて準備を行う必要があります。
そのためには、少年事件に熟練した弁護士のサポートが役に立つでしょう。

お子様が無免許運転・酒気帯び運転の疑いで逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士と相談し、事件解決に向けた対策を講じることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取扱う法律事務所です。
お子様が無免許運転・酒気帯び運転の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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