窃盗罪で逮捕・少年による詐欺盗事件
窃盗罪で逮捕された少年による詐欺盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事例~
電話で「銀行口座から不正に現金が引き出されている」「警察官がクレジットカードを保管しに伺う」などと嘘をついた上で、警察官になりすました少年A(19歳)は、V宅を訪れた。
Aは、用意した封筒にVのクレジットカードを入れさせ、封筒を閉じるのりを取ってくるためにVが玄関先から離れた隙に、ダミーのカードの入った封筒と上記封筒をすり替えた。
Vの通報を受けた兵庫県明石警察署の警察官は、少年Aを窃盗の疑いで逮捕した。
少年Aの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~少年によるクレジットカードのすり替え~
現在、お年寄り等を狙ったクレジットカードのすり替え事件が、社会問題となっています。
20歳未満の少年がこのような事件に関与することも少なくなく、いわゆる特殊詐欺の一種として警戒が呼びかけられていますが、このような事例では詐欺罪ではなく窃盗罪が成立すると考えられています。
以下では、なぜ詐欺罪ではなく窃盗罪が成立すると考えられているのかについて解説いたします。
刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者」を詐欺罪として処罰する旨を定めています。
この条文から明らかなとおり詐欺罪においては、被害者による「交付」行為が必要であり、このような「交付」行為に基づいて「財物」の占有が加害者に移転したといえる場合に詐欺罪が成立しうることになります。
しかし、本件のようなすり替え行為は、被害者は「財物」たるキャッシュカードを玄関に置いたにすぎません。
このような場合、加害者は、あくまで被害者の隙を見てキャッシュカードをすり替えたのであり、被害者から直接加害者へと「財物」の占有が移転したとまではいえないのが通常でしょう。
したがって、この場合には被害者の意思に反して占有を移転させたとして、「他人の財物」を「窃取」したものと考えられることから窃盗罪(刑法235条)が成立することになると考えられています。
~観護措置を回避するための弁護活動~
少年事件では、成人における通常の刑事事件と異なり、全件家裁送致主義が採られており、原則として事件は家庭裁判所に送られることになります。
このように、少年事件では成人の刑事事件とは異なる手続を経る点に注意が必要です。
また、家裁への送致後に、観護措置という身体拘束処分(法律上は原則2週間、もっとも運用上は3~4週間)が採られる可能性もあります。
つまり、少年法の適用される少年事件においては、成人よりも長い身体拘束が生じる可能性があるのです。
観護措置が決定されれば、少年は少年鑑別所に収容されることになってしまいます(少年法17条1項2号)。
上記のとおり観護措置は、身体拘束が長期間となるため、通っている学校の退学あるいは職場からの解雇といった形で少年に著しい不利益を生じさせる可能性があります。
そのため、観護措置の回避を目指す弁護活動を行うことが重要になると考えられます。
したがって弁護士としては、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないこと、収容鑑別を行う必要性がないことなどを具体的に主張し、観護措置の回避を目指していくことなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺盗のような窃盗事件も含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
少年事件・刑事事件のエキスパートである弁護士が、無料相談や初回接見等に迅速に対応いたします。
窃盗事件で逮捕された少年のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話ください。