(制度紹介)少年事件の「保護観察」 どんな処分?
(制度紹介)少年事件の「保護観察」 どんな処分?
少年事件で家庭裁判所の審判を受け、最終的に「保護観察」という保護処分を言い渡されることがあります。
この「保護観察」とはいったいどのような保護処分で、どういったことをするものなのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
~「保護観察」になる少年事件はどれくらい?~
まず、少年事件でいう「保護観察」とは、保護処分の一種です(成人の刑事事件における「保護観察」もありますが、今回は少年事件の保護処分である「保護観察」を取り上げます。)。
保護処分は、前回の記事でも取り上げた通り、少年を更生させるための処分であり、少年の生活環境・態度の改善やそのための支援をしていく内容となります。
保護観察処分を含む保護処分は、少年事件が捜査機関の捜査などを経て家庭裁判所に送致され、家庭裁判所の審判が開かれた結果、少年に対して下されます。
法務省の統計(令和3年犯罪白書:参考)によると、令和2年に家庭裁判所で終局処理が行われた非行少年は4万3,872人であり、そのうち1万2,806人が保護処分を受けています。
そして、その保護処分を受けた1万2,806人のうち、1万733人が保護観察処分となっているとされています。
すなわち、家庭裁判所の審判を受け、保護処分となった少年のうち、8割を超える少年が保護観察処分となっています。
ですから、少年事件において保護観察処分は、比較的受けることになる可能性の高い保護処分であると考えられます。
~「保護観察」は何をする?~
では、その保護観察はどういったことをする処分なのでしょうか。
保護観察は、社会内処遇(社会の中で更生を目指すために処遇を行う)と呼ばれる処遇であり、少年院送致などとは異なり、施設などへは入所せずに処遇を受けます。
保護観察処分となった後は、遵守事項と呼ばれる、保護観察期間中に守らなければならないルールが決められます。
遵守事項は、保護観察処分となった人全員共通で定められるもの(一般遵守事項)と、その人に合わせて定められるもの(特別遵守事項)があり、例えば、健全な生活態度を保持することや、きちんと通学をすること、共犯者などとの接触をしないこと、再犯防止のための専門プログラムを受けることなどが想定されます。
保護観察期間中は、保護観察官・保護司と定期的に面談をしたり連絡を取ったりしながら、生活等への指導を受けたり、就労・就学のための支援を受けたりします。
そして、遵守事項に対する違反がないかどうかもこの面談や連絡を通じてチェックを受けることとなります。
もしも保護観察期間中に遵守事項に違反するなど何か問題が発生した場合には、その違反内容などの事情によっては、少年院への収容となる場合もあります。
保護観察処分は、社会内でサポートを受けながら更生を目指すことができるため、ご家庭の中で過ごし、学校や職場に通いながら環境を改善していくことが期待できます。
生活の場から切り離されずに環境の改善をしていけるという点で、保護観察処分の方が少年院送致などよりも負担が少ないと考えることもできるでしょう。
こうしたことから、保護観察処分を目指したいと希望される方も少なくありませんが、そのためには、社会内での処遇で更生が可能な環境を作っていくことや作るための準備をしておかなければなりません。
まずはお早めに弁護士に相談していただくことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件についても多数ご相談・ご依頼を承っています。
早めにお話しいただくことで、よりスムーズに弁護活動・付添人活動が行えることが期待できます。
少年事件やその処分についてお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。