詐欺未遂事件で逮捕・特殊詐欺における弁護活動

2021-03-04

少年が詐欺未遂事件で逮捕されたケースを題材に、特殊詐欺における弁護活動等について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

東京都八王子市に住む少年A(19歳)は、高齢者V(80歳)に対し息子を装って今すぐ金が必要であるとの嘘の電話をかけた。
その後、少年AはV宅を訪問し金を受け取ろうとした。
警視庁八王子警察署の警察官は、少年Aを詐欺未遂の疑いで逮捕した。
少年Aの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~少年による特殊詐欺~

近年、振り込め詐欺等の高齢者をターゲットとした特殊詐欺事件が増加しており、このような事件の中には少年が関わっているケースも少なくありません。
刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた」場合には詐欺罪が成立することを定めており、これは罰金刑を定める窃盗罪(刑法235条)と比べても重い犯罪とされています。
本件も特殊詐欺の事案ではありますが、少年AはVから金銭の交付を受けるには至っておらず、詐欺未遂罪が成立するかどうかが問題となります。
刑法43条前段によると、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者」は、(未遂処罰規定が存在する場合には)未遂罪の責任を負います。
(詐欺罪には未遂処罰規定(刑法250条)が存在することから)詐欺罪の「実行に着手」したと言える場合には、詐欺未遂罪が成立することになります。

まず、詐欺罪(上述の246条1項参照)の実行の着手があったといえるためには、「人を欺」く行為(この要件は刑法の現代語化前の表現である「欺罔(ぎもう)行為」と呼ばれることが多いため、以下これに倣います。)に着手したことが必要となります。
欺罔行為とは、人を錯誤に陥らせ財物を交付させる危険性を有する行為をいい、かかる客観的な危険性 があれば実行の着手すなわち未遂罪の成立が認められることになります。
本件では、少年Aは高齢者Vに対し、電話でVの息子であると名乗り金銭が必要であるとの嘘をついています。
高齢者は、日常生活等には支障がないとしても若年者に比べ判断能力が減退している傾向があり、家族を名乗る者から緊急に金銭等の無心をされた場合には、これに応じてしまうことは十分に考えられる事態といえます。
したがって、本件少年Aが息子を装いVに対し金銭の交付を要求した行為は、人を錯誤に陥れ財物を交付させる客観的危険性があるといえ、詐欺罪の実行の着手が認められることになり、詐欺未遂罪(刑法246条1項・250条)が成立すると考えられます。

~特殊詐欺事件の弁護活動~

上述のしたように少年が関与するものを含め特殊詐欺事件は社会問題化しており、捜査機関や裁判所はこれに対して厳格な態度で臨んでいるのが実情です。
成人事件では仮に初犯であっても実刑判決が下ることもあり、楽観的な弁護活動は禁物であると考えられています。
本件のような財産的被害は生じていない未遂事件の場合、財産的被害の生じている既遂事件よりは軽い処分が見込まれるとも考えられます。
もっとも少年事件では、原則として裁判ではなく、家庭裁判所による少年審判を受けることになるため、(組織的な関与も疑われる)特殊詐欺事件では少年院送致など厳しい処分を回避するための弁護活動を行うことが求められることになります。

なお、特殊詐欺グループの共犯事件に受け子や出し子などの末端で関与する場合にも、詐欺(未遂)罪等が成立するとした判例が続々と出てきており、弁護活動を行うにあたっては近年の判例・裁判例の正確な理解が必要です。

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