詐欺事件で少年院回避
詐欺事件で少年院回避
~ケース~
兵庫県神戸市西区在住の未成年者のA君は、いいアルバイトがあると高校の友人に誘われ、振り込め詐欺によって振り込まれたお金をATMから引き出す、いわゆる出し子行為を行った。
後日、振り込め詐欺事件が発覚し、銀行のATMに設置された防犯カメラの映像に振り込まれたお金を引き出すA君の姿が映っていたため、A君は兵庫県神戸西警察署の警察官に逮捕されてしまった。
A君逮捕の事実を知ったA君の両親は、少年事件に強い弁護士に法律相談をすることにした。
(上記の事例はフィクションです)
~出し子について~
組織的に行われることが多いオレオレ詐欺などの特殊詐欺の場合、被害者に電話をかけてお金を振り込むよう騙す役割の者(いわゆる「かけ子」)と、振り込まれたお金を引き出す役割の者(いわゆる「出し子」)が分かれていることが一般的です。
出し子については、上記事例のAさんのようにATM内の防犯カメラに姿が映るリスクがあることから、詐欺グループの中でも末端の構成員や出し子として雇われたアルバイトの学生などが行うケースが多いです。
そのため、A君のような未成年者がアルバイト感覚で出し子を行い、逮捕されてしまうことが多くあります。
出し子行為については、ATM内の金銭を権限無く引き出す行為として窃盗罪が成立したり、出し子行為行うために銀行内に立ち入ったとして建造物侵入罪が成立することから、直接騙す行為を行っていない者であっても重く処罰されてしまう恐れがあります。
~少年院送致について~
少年事件の場合、犯罪の疑いがあると判断された事件については全て家庭裁判所に送られることになります。
家庭裁判所は、少年や保護者などとの面談を行うことで、非行事実や審判条件について調査を行い、少年に対しどのような処分を行うのが適切かを判断することになります。
その後、家庭裁判所において審判が開かれ、少年に対する保護処分が必要であると判断された場合には、保護観察や少年院送致といった処分が下されることになります。
保護観察については、少年を施設等に収容することなく、保護観察官や家庭内での指導によって少年の更生を図るというものです。
他方で、少年院送致については、少年を少年院に収容し矯正のための適切な教育や生活訓練を行うことで少年の更生を図るというものです。
少年院では、基本的に外出が禁止され、少年院収容は原則として20歳までとなっており、収容期間は概ね4カ月~2年の範囲で決められることになります。
このように、少年院送致処分がなされた場合には、少年は学校に通うことが出来なくなってしまい学校側から退学処分がなされてしまうことがあります。
そのため、家族としても少年院送致処分の回避を希望されることも多いです。
少年院送致を回避するための弁護活動としては、裁判官に対し少年院での処遇の必要がないことを説得することがメインとなります。
具体的には、少年の非行事実が軽微であることなどから少年の非行性が深くないことや、家族が積極的に少年の更生を行う環境を整備していることなどを主張することになります。
上記事例では、A君はあくまでアルバイト感覚で出し子を行っていたにとどまり、主体的に詐欺に深く関与していたわけではないこと、A君が現在も高校に通っているとことや、家庭内で少年を更生させることが出来る環境が整っていることを主張することになります。
少年の更生に必要な環境整備まで含めると、少年事件における弁護士の活動の幅はかなり広く、少年の今後の処遇を大きく左右する可能性があります
少年院送致の可否を目指される方は、少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。
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