少年が詐欺や文書偽造で警察署で取調べ・弁護士によるケア活動

2021-01-01

少年が詐欺事件等に関わってしまった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

東京都三鷹市に住む少年Aは、家電量販店において、とあるゲーム機器など欲しさから反社会的勢力のBから借りたクレジットカードで、同ゲーム機器などを購入した。
購入の際には、利用伝票にも上記Bの名前を書き、同店員に渡していた。
警視庁三鷹警察署の警察官は、少年Aを詐欺などの疑いで署まで同行し、取調べを行った。
少年Aとその家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~少年による詐欺事件で警察が取調べ~

本件では他人のクレジットカードを使って商品を購入した行為に犯罪が成立するのかが問題となるわけですが、その前提として利用伝票を偽造した行為も見逃せません。
刑法は159条1項後段にて、「行使の目的で」「偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者」を、有印 私文書偽造罪として処罰することを定めています。
したがって、少年Aが利用伝票をBと他人の名前を使用し偽造した行為に同罪が成立することになります。
さらに、これを実際に「行使した者」は、同行使罪(刑法161条)が成立することにも注意が必要です。

次に、少年AがBのクレジットカードを使って商品を購入したことが246条1項の詐欺罪とならないかが問題となります。
刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者」を詐欺罪とすると、上記の文書偽造罪とは打って変わってシンプルな規定になっています。
では、この条文を参照しながら、少年Aに詐欺罪が成立するのか検討していきましょう。

とはいえ、法解釈をするまでもなく、少年Aが自らをBと偽ってクレジットカードを使って商品を購入したことは明らかでしょう。
しかし、ここからが問題で、少年AはBからクレジットカードを盗んだわけでもなく、借りたにすぎません。
このような場合にも、少年Aは店側の「人を欺」いた(欺く行為)といえるのでしょうか。
つまり、財産犯であるはずの詐欺罪なのに、少なくとも店側には何ら損害は生じていないということもできるのです。
この点、詐欺罪にいう欺く行為は、「交付の判断の基礎となる重要な事項」 (最決平成22年7月29日参照)を偽ったか否かによって判断されています。
本件のような家電量販店でも、支払能力などの点においてクレジットカードを使用する者が本人であるかどうかの確認が行われており、このような確認を偽る行為は重要事項を偽るものとして、欺く行為があったものと考えられます。
したがって、「人を欺」いた(欺く行為)により、店員を錯誤に陥れた上でゲーム機器等の商品を「交付させた」ものとして、少年Aの行為に詐欺罪が成立することになるでしょう。

~少年事件と更生~

少年事件に関わってしまった人間というと、学校などでも反社会的であり、比較的犯罪性向が高い人間が多いと思われがちかもしれません。
たしかに、本件の少年Aも反社会的勢力と関わり合いを持った人物でした。
しかし、犯罪に関わってしまった少年には、当然初犯の人間や非粗暴犯も少なくありません。
したがって、少年事件では、保護処分あるいは不処分など一定の終着点を見定めつつ、どう少年をケアしていくかも重要な課題となってきます。
特に仮に初犯であっても、一度少年事件と関わり何らかの処分・手続の対象となってしまうと、普通の社会からドロップアウトしてしまい、暴力団や反社会的勢力等との関係を断ち切れなくなってしまうケースも少なくないからです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む少年事件を専門に扱っている法律事務所です。
詐欺等で少年事件に関わってしまった少年およびそのご家族は、通話料などがかからない弊所フリーダイヤル(0120-631-881)に いつでもお電話ください。
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