少年が恐喝事件で逮捕・少年事件の特色

2020-02-22

少年が恐喝事件によって逮捕された事案に関連して、少年事件の特色などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

東京都大田区内に住む少年Aは、Vの胸ぐらを掴んだ上で「金をよこせ」等と脅し、金銭を交付させた。
警視庁蒲田警察署の警察官は、少年Aを恐喝の疑いで逮捕した。
少年Aの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~少年による恐喝事件~

刑法249条は、1項で「人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する」とし、同2項で「前項の方法により(=人を恐喝して)、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」ことを規定しています。
最も典型的な財産犯である窃盗罪(刑法235条)や強盗罪(刑法236条以下)が、被害者の意思に反して財物等を奪取する犯罪であるのに対し、恐喝罪や詐欺罪(刑法246条)は一応は被害者の意思に基づいて財物等が交付される点において犯罪態様が異なります。
前者のグループが盗取罪と呼ばれるに対し、後者の恐喝罪・詐欺罪は交付罪と呼ばれ区別されているのです。
また、上記刑法249条においては、「財物」のみならず「財産上……の利益」も刑法上の保護の対象となっており、窃盗罪などと異なり「財産上……の利益」も恐喝罪の客体となり得ることに注意が必要です。
もっとも、本件では金銭という「財物」を喝取しようとしていることから、専ら1項が問題になることになります。

刑法249条1項における「人を恐喝して」とは、暴行又は脅迫を手段として財物の交付を要求することをいいます。
ここでいう暴行又は脅迫は、相手方(被害者)を畏怖するに足りる程度のもので足りるとされており、相手方(被害者)の反抗を抑圧するに至るほどの強度の暴行・脅迫であれば、それはもはや意思に反する財物奪取であり強盗罪の適用場面となります。
本件では、少年AはVに対し胸ぐらを掴むなど上で、金銭の交付を強要しています。
これは、被害者を畏怖するに足る暴行・脅迫とはいい得るものですが、反抗を抑圧するほどではないと考えられます。
したがって、強盗罪ではなく、恐喝罪が成立するにとどまるものといえるでしょう。

~少年事件と成人事件の違い~

少年事件では、成人による通常の刑事事件とは、大きく異なる特色があることに注意を要します。
刑事訴訟法に基づく成人の刑事事件では、検察官の判断で不起訴にすることも可能ですが、少年法に基づく少年事件においては家庭裁判所への全件送致が原則とされています。
また、通常の刑事事件では起訴された場合にも、事実認定者である裁判官の予断を排除するために起訴状一本主義が採られており、裁判官は裁判の開始段階では原則として起訴状以外の記録を見ることはできません。
これに対し、少年事件では家裁の裁判官は最初から全ての記録に目を通すことが可能であり、上記のような予断排除の原則は採られていないのです。
そして、事件の当事者の最大の関心事である最終的な処分に関しても、家裁送致された少年事件では、刑罰といった刑事処分ではなく保護処分(保護観察や少年院送致など)がなされることになります。
したがって少年事件に対応する弁護士としては、このような少年事件特有の手続を踏まえた上で、保護処分を避け、審判不開始不処分を目指した弁護活動を行うことが肝要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件を含む少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
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