少年が公務執行妨害罪で逮捕
少年と公務執行妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
~ 事例 ~
大阪府富田林市に住む高校1年生のAさん(17歳)は、深夜、同区内の公園で友人らと遊んでいたところ大阪府富田林警察署の警察官の職務質問を受けました。Aさんは、ズボンの右ポケットに大麻を入れていたため、「大変なことになった」、「何とかこの場を逃げよう」と思い、警察官から職務質問を受けている最中、その場から逃走しましたが、数名でAさんの後を追った警察官に囲まれてしまいました。それでもAさんはその場から逃げようと思い、前に立っていた警察官の腹部を1回蹴って、警察官が怯んだすきにその場から逃走しましたが、再び警察官に追いつかれてしまい、公務執行妨害罪の現行犯で逮捕されてしまいました。また、その後の捜査で、逮捕時に大麻を所持していたことが判明し、大麻取締法違反でも再逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~ 公務執行妨害罪 ~
少年(20歳未満の者)に限らず大人でも警察官に職務質問を受けると、罪の意識がない場合でも「何か誤ったことをしてしまったのではないか?」と不安になり、ときに冷静な対処を取れなくなるときがあります。本件のA君のように、罪の意識がある場合はなおさらです。
そして、冷静な対応を取れない場合につい犯してしまいがちな罪が公務執行妨害罪です。
公務執行妨害罪は刑法95条1項に規定されています。
刑法95条1項
公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
本件の場合の「公務員」とは警察官のことを指します(多くの警察官は地方公務員です)。
「職務」とは職務質問のことをいいます。
なお、警察官の職務質問は、警察官職務質問執行法(以下、警職法)2条1項に規定されています。
警職法2条1項
警察官は、異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる
ただ、公務執行妨害罪は公務の円滑な遂行を保護する罪ですから、「職務=職務質問」は適法であることが大前提です。違法な「職務」は保護に値しないからです。
職務質問が適法か否かは、職務質問の必要性、緊急性なども考慮した上、具体的状況の下で相当と認められる限度内にあるかどうか、を考慮して判断されます。
~ 少年事件と保護処分 ~
少年の刑事事件には、
少年法
が適用されます。
少年法の目的は少年の更生と健全な育成にありまるから、罪を犯した少年に対して、原則、刑罰が科されることはありません。
その代わりに、
保護処分
という処分を科される場合もあります。
保護処分は、
①少年院送致、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③保護観察
の3種類があり、家庭裁判所の少年審判を受けることになった場合に言い渡される可能性があります。
①少年院送致は、少年を少年院に入所させ、そこで一定期間矯正教育などを受けさせる措置です。②児童養護施設・児童自立支援施設送致は、児童養護施設・児童自立支援施設で、少年の更生を図るものです。施設に入所する点では少年人と同様ですが、少年院よりかは比較的制限の緩やかな生活を送ることができます。少年に頼るべき親などがいない場合に下されることの多い処分です。③保護観察は、どの施設にも入所せず、通常の日常生活を送りながら少年の更生を図るものです。ただし、一定期間、保護観察所の指導・保護下に置かれることになります。親などの監督が規定できる場合は、比較的この処分がくだされることが多いでしょう。
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