高校生の強制わいせつ事件

2019-11-06

高校生の強制わいせつ事件

高校生の強制わいせつ罪と事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

高校1年生のAくん(16歳)は、同級生のVを人気のない公園(埼玉県本庄市所在)に呼び出し、暴行や脅迫を用いてVの胸を弄ぶなどのわいせつな行為を行いました。
Vが泣き出したので、Aはわいせつ行為をやめ、AとVはその場で別れました。
その後、Aくんの自宅に埼玉県児玉警察署から連絡があり、「同級生の子の件で聞きたい話がある」とのことでした。
Aくんの親は、Aくんの話から強制わいせつ罪の疑いをもたれていると考え、取調べに先立ち弁護士に相談することにしました。(フィクションです)

~少年事件の特色~

少年法は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする法律です(少年法第1条)。
AくんがVに対して行った行為は、暴行や脅迫を手段とするわいせつな行為であることから、強制わいせつ罪に該当すると考えられます。
Aくんは少年法における「少年」(20歳未満の者)ですから、成人の場合におけるような刑事手続ではなく、少年法の定める「少年保護事件」として手続が進行することになります。

「少年保護事件」の手続は、非行があるとされる少年について非行事実の有無を確定し、非行のある少年に対して、その性格、環境の問題点に応じて、少年院送致等の保護処分かその他の処分かを選択することを内容とします。
ケースの場合はどのように手続が進行していくのでしょうか。

~Aくんに想定される少年保護事件手続~

まずは警察に出頭し、取調べを受けることになります。
逮捕されずに在宅で捜査が行われる場合は、取調べが終了した後、帰宅することができます。

警察での捜査が熟した後は、検察庁に事件が送致(送検)され、検察官の取調べを受けることになります。
成人の刑事事件の場合、検察官には被疑者を起訴するか、あるいは不起訴にするかという点について裁量が認められており、被疑事実を裁判で立証できる証拠を有している場合であっても、被疑者を不起訴起訴猶予)処分とすることができます。
しかし、少年法においては、少年の健全育成を図る観点から「全件送致主義」が採られており、成人の刑事事件のような裁量が認められていません。
したがって、原則として家庭裁判所に送致されることになります。

逮捕され、その後に勾留勾留延長がなされた場合、捜査段階において最長23日間身体拘束を受けることになります。
この場合も、検察官に起訴・不起訴を決める裁量はなく、原則として少年を家庭裁判所に送致します。

~家庭裁判所へ送致された後~

家庭裁判所へ送致された後は、Aくんに対し、「観護措置」を行うかどうかが検討されます。
観護措置」がとられると、基本的にAくんは少年鑑別所に送致されることになり、観護措置の下でAくんの性格や資質などについて調査が行われます。
観護措置の期間は2週間を超えることができず、とくに継続の必要があるときに1回に限り更新できます。
ただ、実務上は更新が殆ど常態化しており、多くの場合4週間近く少年鑑別所に収容されることが見込まれます。
また、一定の重大な事件など特別更新の要件を満たす場合は、さらに2回を限度として更新することができます。
以上に対し、観護措置がとられない場合は在宅で調査が行われます。

~少年審判~

調査の結果、審判が開かれると、「保護処分」、「不処分」などの決定がなされます。
不処分」は、①保護処分に付することができないとき(非行の事実が認定できない、少年の所在不明など)、②保護処分に付す必要がないときになされます。
ケースのように強制わいせつ罪に当たる非行事実が認定できる場合、事件の重大性は否定できないことから、一般的に不処分の獲得は難しいかもしれません。

保護処分」とは、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致をいいます。
このうち③は(親による虐待などからの)保護の色彩が強く、ケースのような場合は少年院送致保護観察処分がなされる可能性が高いと思われます。
少年院では特別な場合を除き外出できませんが、保護観察処分の場合、在宅で少年の改善更正を図ります。
Aくんの将来へ及ぼす影響を考えると、なるべく在宅で改善更正を行いたいところです。
そのためには、Aくんに深く内省を促し、性に関する認識を改めさせ、家庭における監護態勢を見直し、在宅であってもAくんが改善更正しうることを家庭裁判所に納得してもらわなければなりません。
保護観察をはじめとするAくんに最適な処分を獲得するために、弁護士のアドバイスを受けながら環境を調整していきましょう。

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