保護観察中に万引きで少年院?

2019-10-27

保護観察中に万引きで少年院?

兵庫県宝塚市に住む高校生のA君(16歳)は、過去にスーパーで万引き窃盗罪)をした件で、現在、保護観察中です。ところが、A君は、今度はコンビニでお菓子3点を盗む万引きをして店員に見つかり、兵庫県宝塚警察署に通報されて逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたA君の父親は、今度こそ少年院に送られることを覚悟しつつも、何とか少年院送致を回避できないかと思い、少年事件に強い弁護士に相談を持ちかけました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ 少年院とは ~

少年院は、少年の健全な育成を図ることを目的とした矯正教育、社会復帰支援等を行う法務省所管の施設です。

~ どんな人が収容されるの? ~

少年院について規定した少年院法ではその3条で、少年院を「次に掲げる者を収容し、これらの者に対し矯正教育その他の必要な処遇を行う施設」としています。

・保護処分の執行を受けるもの
・少年院において懲役又は禁錮の刑(略)の執行を受ける者

なお、保護処分は少年審判時に言い渡されます。保護処分には、

・保護観察
・児童自立支援施設又は児童養護施設への送致
・少年院送致

の3種類があります。

~ どこに、どんな種類の少年院があるの? ~

少年院法4条では少年院

・第一種少年院 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの
・第二種少年院 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの
・第三種少年院 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの
・第四種少年院 少年院において刑の執行を受ける者

の4種類に区分しています。
そして、

・北海少年院(北海道千歳市) 第1種少年院
・多摩少年院(東京都八王子市) 第1種少年院
・浪速少年院(大阪府茨木市) 第1種少年院
・広島少年院(広島県東広島市) 第1種少年院

などと、各少年院ごとにその種類が指定されています。どの種類の少年院に収容されるかは、家庭裁判所の少年審判時に決定されます。

~ 少年院ではどんなことが行われるの? ~

少年院では、少年の特性に応じた矯正プログラムが策定され、それに沿った矯正教育が行われます。矯正教育は、

・生活指導:善良な社会人として自立した生活を営むための知識・生活態度の習得
・職業指導:勤労意欲の喚起,職業上有用な知識・技能の習得
・教科指導:基礎学力の向上,義務教育,高校卒業程度認定試験受験指導
・体育指導:基礎体力の向上
・特別活動指導:社会貢献活動,野外活動,音楽の実施

に区分されます。

また、矯正指導のみならず、少年の円滑な社会復帰を目的とした、就労支援、帰住先の確保などに関する社会復帰支援も行われています。

~ 少年院送致を回避するには ~

少年院は、少年に対する矯正教育を施し、少年の自発的な更生を促し、円滑な社会復帰を手助けするための施設です。
したがって、少年院送致が全て少年にとってマイナスというわけではありません。
しかし、少年院送致となると、一定期間拘束され、その間自由な生活を送れなくなります。社会内で少年の更生が期待できる場合は、少年院送致を回避すべきでしょう。

保護処分を決める少年審判では、少年に「要保護性」があるかどうかが重要な鍵となります。要保護性がある場合は少年院送致となる可能性が大きくなります。要保護性とは、少年が将来、非行に及ぶ危険があることをいいます。

要保護性の有無は、

・少年の性格や環境に照らして将来再び非行に陥る危険性があるか否か(再非行の危険の有無)
・保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を除去できる可能性があるか否か(矯正可能性の有無)
・少年の保護の相当性が認められるか否か(保護相当性の有無)

の3つの要素を考慮して判断されます。
したがって、少年院送致を回避するには、上記3つの可能性を少しでも解消するための努力、活動が必要となります。

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