鑑別所はどのような場所?

2022-02-03

いわゆる暴走行為による罪と、少年鑑別所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

大阪市都島区在住のAは、大阪府内の高校に通う17歳です。
Aは普通二輪免許を取得し、友人と一緒にバイクで集団で走行し、一時停止を無視したり蛇行運転をしたりといったいわゆる暴走行為を繰り返していました。
その際、パトカーや白バイなどの警察車両から停止を求められることもありましたが、無視をして逃走しました。
ある日、Aの自宅に大阪市都島区を管轄する大阪府都島警察署の警察官が自宅に来て、Aを暴走行為により逮捕しました。
Aの保護者は、逮捕時に警察官から「しばらくは警察署にいて、その後は鑑別所に移ると思うからしばらくは帰れないよ。」という説明を受けました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

暴走行為で問題となる罪

いわゆる暴走行為は、共同危険行為と呼ばれ、以下の条文が問題となります。

道路交通法68条 二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
同117条の3 第六十八条(共同危険行為等の禁止)の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

その他、改造車両の場合には整備不良車両の運転の禁止違反(道路交通法62条)、マフラーに消音器を付けずに爆音で走行した場合には消音器不備車両の運転禁止違反(同71条の2)などの違反に当たるほか、騒音規制などを定める各都道府県の条例に違反する場合もあります。

暴走行為での捜査

いわゆる暴走行為については、現場でパトカーや白バイなどの車両により追尾され検挙される場合もありますが、警察官は追尾することで周囲に危険が生じると判断した場合、危険な追尾は行わずカメラの映像等を用いて捜査を行い、被疑者を後日通常逮捕するという場合も少なくありません。
逮捕後は、被疑者が複数人いるという暴走行為の性質上、口裏合わせなどによる証拠隠滅の恐れがあるとして勾留される可能性が高いと言えます。

少年鑑別所について

まず、罪を犯した14歳以上20歳未満の者は、犯罪少年として少年法が適用されます。
犯罪少年は、まずは刑事事件として成人と同様に犯罪についての捜査を受けます。
捜査をするうえでやむを得ない場合には、少年であっても逮捕され、勾留される場合もあります。

次に、捜査が終了した時点で、少年は家庭裁判所に送致されます。
送致を受けた家庭裁判所の裁判官は、捜査資料を基に、少年に対して必要であると判断した場合には観護措置を決定します。
観護措置には自宅にい乍ら受ける在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護の2種類がありますが、実務では専ら少年鑑別所に収容する収容観護が用いられます。

少年鑑別所では、少年の身柄を拘束して規則正しい生活を送り、その間に法務技官による面接や行動観察、心身の診療などが行われます。
期間は原則として鑑別所送致から2週間ですが、1度に限り通常更新ができます。(少年法17条3項)
実務では、鑑別所での収容期間は最大4週間で、その期間内に審判を行い、少年の処分を下すか試験観察を言い渡すことが一般的です。
なお、一定以上の重大な罪で審判や鑑定に時間を要する場合には、その後2回まで延長することができる特別更新が認められているため、最大8週間、収容されるケースもあります。(同17条4項)

観護措置決定により少年鑑別所に送致されることは、周囲の環境を変えて規則正しい生活を送ることで、心身の鑑別を行い事件に至った理由や問題点などを調べることができるという点でメリットは多いです。
他方で、4週間近く(捜査段階で勾留されていた場合には更に20日以上)身柄拘束をされてしまうと、少年の学校生活や進路、社会生活などに多大な影響を及ぼし、少年の成長に良くない影響を与える恐れがあることも事実です。
そのため、事件の性質や少年の性格などを客観的に分析し、必要に応じて捜査機関や裁判官に意見し、少年や家族に対し適宜見通しの説明やアドバイスができる弁護士に弁護・付添を依頼することをお勧めします。

大阪市都島区にて、お子さんが暴走行為による共同危険行為で逮捕され、少年鑑別所での観護措置がとられる可能性がある場合、まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。

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