【解決事例】前歴のある強制わいせつ事件で試験観察獲得・少年院回避

2022-07-13

【解決事例】前歴のある強制わいせつ事件で試験観察獲得・少年院回避

~事例~

大阪市北区に住んでいる16歳のAさんは、大阪市北区内を自転車で走行中、歩いている女子中学生Vさんを見かけました。
女性の身体に触ってみたいという欲を抑えられなかったAさんは、すれ違いざまにVさんの胸を揉み、その場から逃げました。
実はAさんは、こうした痴漢行為を複数回行っていました。
Vさんからの被害申告を受けた大阪府大淀警察署の捜査により、Aさんは強制わいせつ罪の容疑で逮捕され、勾留に代わる観護措置となりました。
Aさんの逮捕・勾留に代わる観護措置を知ったAさんの両親は、Aさんのためにできることはないかと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に相談し、初回接見サービスに申し込みました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

~弁護活動と結果~

Aさんは、今回の強制わいせつ事件以前に公然わいせつ事件を起こしたことがあり、児童相談所へカウンセリングに通っていたという経緯がありました。
そうした中で強制わいせつ事件を起こしてしまい、加えてAさんがこれとは別に公然わいせつ事件も起こしていたことが発覚したため、根本的に環境を変えるべきと判断されて少年院送致となる可能性もありました。
しかし、少年院送致となってしまえば、その期間社会とは完全に切り離されて過ごすことになるため、Aさんの将来のために社会内で更生を目指せないかということから、弁護士は弁護活動と付添人活動をすることとなりました。

まず弁護士は、Aさんの勾留に代わる観護措置という処分について、裁判所に不服申し立てを行いました。
Aさんの家族が協力してAさんの監督を行うことや、Aさんの通う高校への通学の必要などの事情を含め、裁判所に対して釈放を求めていきました。
その結果、不服申立てが認められ、Aさんは釈放されました。
釈放されたAさんは、捜査中の期間は高校に通うことができ、その学期の単位を取得することができました。

家庭裁判所に事件が送致された後、Aさんにはより専門的な調査が必要であるとして、観護措置が取られました。
その中で、Aさんが前歴がありながら強制わいせつ事件を起こしてしまった原因が調査され、Aさん自身の認識の問題などが指摘されました。
弁護士は、Aさん自身やAさんの家族と話し合い、より専門的なカウンセリング治療などを受けることを提案しました。
Aさんとその家族は、弁護士の出した課題を通じて事件と向き合い、今後専門的な治療を受けることを具体的に決めたり、家庭内での指導・コミュニケーションの取り方などを振り返っていきました。

こうした活動と並行して、弁護士は被害者様の親御様とも連絡を取り合い、Aさんとそのご家族のお詫びの気持ちをお伝えしました。
被害者様の親御様には、Aさんらが今回の事件を重く受け止め反省していることをご理解いただくことはできましたが、その時点では示談締結には至りませんでした。
しかし、Aさんらは被害者様やその親御様にお詫びし被害弁償をしたいという意思を持ち続けていたことから、弁護士は期間をおいて被害者様の親御様とお話を続け、最終的には示談を締結していただくことができ、さらにはお許しの言葉をいただくこともできました。

家庭裁判所の審判では、Aさんらが具体的な治療受診の計画まで立てていることや反省の度合い、被害者様の親御様との話し合いを継続していることなどが弁護士から挙げられ、すぐに少年院送致とするのではなく、試験観察とすることが提案されました。
結果として、Aさんは約3か月間の試験観察となり、自宅で過ごしながら治療を受け、家庭裁判所の指定した介護施設で手伝いをしながら人間関係などを学ぶこととなりました。

試験観察中、Aさんは指定された週3日程度、介護施設での手伝いに通い、仕事を通じて人とのコミュニケーションや、相手の心理を慮ることなどを学びました。
そして、専門機関に通い、専門的なカウンセリング治療を受けることで、強制わいせつ事件や公然わいせつ事件を起こすに至った自身の認識を正していくことに努めました。
試験観察中のAさんの行動や態度などが2回目の審判で評価され、Aさんの最終的な処分は保護観察処分となりました。
少年院送致を回避することができたことにより、Aさんは通信制の学校に通いながら専門学校を目指すなど、社会内での更生を目指すことができるようになりました。

少年事件では、特に少年自身やそのご家族の認識・取り組みが重要視される部分があります。
しかし、どういった部分を改善すべきなのか、どのように取り組んでいくべきなのかということは、当事者だけでは見えづらい部分もあるでしょう。
少年事件に詳しい弁護士にフルサポートしてもらうことで、より適切な処分を目指すことが可能となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

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