(事例紹介)14歳少年が強盗事件で逮捕された事例

2022-09-28

(事例紹介)14歳少年が強盗事件で逮捕された事例

~事例~

コンビニエンスストアに押し入って金属バットで店長を脅し、たばこを奪ったとして、警視庁少年事件課は、強盗の疑いで、東京都昭島市の中学3年の少年(14)を逮捕した。調べに対し、「たばこ代や遊ぶ金が欲しかった」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は、9月5日午前3時40分ごろ、昭島市内のコンビニに押し入り、コンビニの店長の男性(69)に金属バットを振りかざして「たばこを出せ」などと脅迫し、たばこ6箱(3360円相当)を奪ったとしている。店内に客はおらず、けが人はいなかった。
(後略)
(※2022年9月20日12:08産経新聞配信記事より引用)

~14歳の子どもによる少年事件~

今回取り上げた事例では、14歳の少年が強盗罪の容疑で逮捕されています。
14歳というと幼い印象を受けますが、刑法では刑事責任年齢を14歳としているため、14歳以上の者が犯罪に当たる行為をした場合には、犯罪が成立するということになります。
一方で、13歳以下の少年が犯罪に当たる行為をした場合には、犯罪は成立しませんが、その少年は法に触れる行為をした=「触法少年」として家庭裁判所の調査を受けて審判を受けることになります。

刑法第41条
14歳に満たない者の行為は、罰しない。

犯罪が成立するといっても、10代の少年少女が犯罪に当たる行為をした場合には、基本的には少年事件の手続きに則って処分が決められることとなります。
少年事件では、原則として刑罰を受けることはありませんが、その少年の更生のための処分=保護処分が取られます。

保護処分の種類としては、少年院や児童自立支援施設などの施設への送致処分、保護司や保護観察官からの指導を受けながら家庭や職場で生活を送る保護観察処分が挙げられます。

~少年事件と施設送致~

少年事件では、その少年の要保護性によって処分が決められることから、理論上、その少年がした犯罪が刑罰の重い犯罪だからといって必ずしも少年院などの施設送致になるとは限りませんし、軽微な犯罪だからといって保護観察処分や不処分になるとは限りません。
しかし、重大犯罪をしてしまったという少年事件では、そのような犯罪を少年がしてしまうというところに、環境や本人の認識などに大きな問題があるのではないかと考えられることが予想されます。
そのような場合、今までの環境を根本的に変えなければ少年の更生に適さないという判断となり、少年院や児童自立支援施設などの施設送致の処分となることが考えられます。
例えば、今回取り上げた事例で逮捕された少年は、強盗罪の容疑をかけられています。
強盗罪は、「5年以上の有期懲役」(刑法第236条第1項)が定められている犯罪であり、刑罰からも重い犯罪であることが伺えます。
もちろん、少年の環境や少年本人の事件の受け止めなどによるところが大きいですが、こうした重大犯罪の場合には、上記のような理由で施設送致という処分が必要だと考えられることもあります。

少年事件の保護処分で送致される施設としては、少年院、児童養護施設、児童自立支援施設が挙げられます。

少年院は、矯正教育や社会復帰支援などを行う施設であり、第1種から第5種までの種類があります(第4種・第5種少年院については、それぞれ刑の執行を受ける者や保護観察中の遵守事項違反のあった特定少年を収容する、特殊な少年院となっています。)。
少年院では、少年の健全な育成が主目的とされており、この部分が少年刑務所などの刑罰を目的とする施設と異なります。
生活指導や教科指導、職業指導などが行われ、少年は、少年院の中で少年の更生・社会復帰に資する指導を受けながら生活することになります。
少年院に収容される年齢としては、12歳以上26歳未満とされています。

児童自立支援施設とは、児童福祉法第44条に定められている施設であり、「不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設」とされています。
児童自立支援施設も、少年院同様に少年の更生や健全な育成を目的としており、生活指導や教科指導、職業指導などが行われています。
少年院との違いとしては、児童自立支援施設は、自室などの施錠がされておらず、開放的な処遇が取られているというところが挙げられます。
こうした特徴があることから、児童自立支援施設に送致される少年は、年齢が幼い少年(義務教育中の少年が多いです)であったり、非行の程度が進行していない少年であったりすることが多いです。
児童自立支援施設に収容される少年の年齢としては、18歳未満の少年とされていますが、延長の措置を取ることで20歳まで収容が可能とされています。

児童養護施設は、児童自立支援施設同様に、開放的な処遇の取られている施設です。
しかし、児童自立支援施設が非行少年の収容・教育・援助を目的としていることに比べ、児童養護施設は、児童福祉法第41条で「児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」と定められており、主な対象は保護者のいない児童の養護であるとされています。
こうしたことから、少年事件の処分として児童養護施設送致となることは稀であると言われています。

少年事件の施設送致という処分は、成人の刑事事件のように罰することが主目的ではありません。
それでも、その収容期間には今までの生活環境と離れてしまうことになりますから、負担が大きいという場合もあります。
適切な処分を受けるためにも、少年事件の当事者となってしまったら、弁護士に相談し、見通しや可能な弁護活動・付添人活動を把握しておくことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、「子どもが強盗事件などの重大犯罪を起こしてしまった」「少年事件の当事者となってしまった」というご相談も随時受け付けています。
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