飲酒運転

飲酒運転のうち,酒酔い運転の法定刑は5年以下の懲役または100万円以下の罰金,酒気帯び運転の法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です(道路交通法第117条の2,117条の2の2)。
   

飲酒運転の解説

「酒酔い運転」とは,アルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがある状態で運転をすることをいいます。
「酒気帯び運転」とは,呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールまたは血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上のアルコールを身体に含んだ状態で運転することをいいます。

飲酒運転による交通事故が社会問題化していることを背景として,近年,飲酒運転に対する処分は厳しさを増しています。
飲酒運転によって事故を起こした場合,その場で逮捕されてしまうことが少なくありません。

飲酒運転事件では,事故現場から逃走したまま放置すると,逃亡のおそれがあるとして警察により逮捕・勾留されてしまう可能性が高まります。
 

少年による飲酒運転の対応方法

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず,飲酒運転の容疑を掛けられてしまった場合,弁護士を通じて,警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して,審判不開始又は不処分を獲得する余地があります。

アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することで,飲酒運転を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

また,飲酒してから交通事故が発生するまでにかなりの時間がたっている場合や,飲酒の量が微量であった場合には,飲酒運転の故意が認められないとして,審判不開始,不処分となる可能性があります。

飲酒運転で警察に検挙・逮捕された少年の方は,本人の性格,不安や諦めの気持ち,友人・知人を庇うなど様々な原因から自分の主張を貫くことが困難になります。
弁護士が,少年本人と接見(面会)して言い分を丁寧に聞き取ってあげることで,飲酒運転の詳細を把握し,少年本人の主張が通るように警察・検察などの捜査機関や家庭裁判所に働きかけていきます。

また,弁護士との接見(面会)によって少年を安心させ,支えてあげることで,少年の虚偽の自白を防いで真の更生につなげることが可能になります。
 

2 罪を認める場合

⑴ 環境を整える
少年の場合,飲酒そのものが法律で禁止されていることから,飲酒行為そのものが問題点として挙げることができます。
   
飲酒の背景に不良交友による荒れた生活が考えられる場合は,交遊関係の見直しを含めた生活環境の改善が必要となってくるでしょう。
生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠となることから,ご家族には日常生活の中で本人を監督してもらうことになります。
 
⑵ 謝罪,示談をする
飲酒運転により,人身事故を起こしてしまった場合には,被害者対応が必要となってきます。
被害者感情が重要視される昨今,少年による飲酒運転事件においても,被害者の方と示談することは,重要な弁護活動です。
被害者との間で示談が成立すれば,飲酒運転等の悪質な事故でない限り,審判不開始や不処分,保護観察処分を獲得する可能性を高めることができます。
  
自動車事故の損害賠償は,けがの程度,通院期間等によって,ある程度,機械的に算出されますので,そのようにして算出した金額をベースに交渉することになります。

少年が任意保険(対人・対物無制限)に加入している場合,示談金は保険によってカバーされます。
保険会社から支払われる示談金とは別に,加害者が直接謝罪金を支払うこともあります。
任意保険に加入している場合は,判決までに示談が成立しなかったとしても,損害賠償がなされる見込みが高いとして裁判で有利に考慮される傾向にあります。
  
自賠責保険にしか加入していない場合,人身損害に関しては一定の限度でカバーされますが(死亡による損害…最高3000万円,傷害による損害…最高120万円,後遺症による損害…最高4000万円),物損についてはカバーされませんので,この点については損害金を支払う必要があるでしょう。
 

3 身柄拘束からの早期解放活動

少年が飲酒運転事件で逮捕されても,適切な取り調べ対応と弁護活動によって留置場や鑑別所に入れられずに済む可能性があります。

飲酒運転事件で逮捕された少年が早く留置場から出て鑑別所に行かずに済むためには,逮捕の後に勾留されないこと又は家庭裁判所による観護措置を回避することが大切です。

少年の勾留や観護措置を避けるためには,逮捕後の早い段階で,弁護士と面会して取り調べ対応を協議し,身元引受人の協力を得ることが大切です。
その上で,弁護士から検察官や裁判官に対して,少年の反省と二度と飲酒運転事件を起こさない旨を主張し,釈放してもらうよう働きかけます。

 

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