事実否認の少年事件②

2019-11-21

事実否認の少年事件②

東京都文京区の学校では、高校生D君(16歳)が不登校になったことから、D君に対するいじめ暴力問題(D君は加療約1か月の傷害)が浮き彫りになっていました。そうしたところ、同級生のA君は、同じB、Cから呼び出しを受けました。そして、A君は、B、Cから「お前もあの場にいたから同罪だよな?」「お前が全部やったように言えよ。」「でないとどうなるか分かっているんだろうな。」と脅しを受けたのです。A君は、その後の学校の調査で「僕がやりました。」などと嘘をつき、事態を重く見た学校から警察へ通報されてしまいました。そして、A君は、警視庁大塚警察署傷害罪逮捕されました。A君は警察官や接見に来た弁護士に「やったのは僕ではありません。」「B、CがD君を叩いているのをその場で見ていただけです。」などと話しています。

~ 前回のおさらい ~

前回の「事実否認少年事件」では、

・少年事件では罪の擦り付けが行われる可能性があること
・事実を否認した方が逮捕される可能性が高いこと
・事実を否認する場合の弁護士の対応

などについてご説明しました。
本日は、

否認事件における家庭裁判所送致後の弁護士の対応

などについてご説明します。

~ 家庭裁判所送致後 ~

少年(20歳に満たない者)事件では、警察、検察での捜査が終わると、事件は家庭裁判所へ送致されます。家裁送致前に警察署の留置施設に拘束されている場合は、通常、家裁送致後、観護措置決定により少年鑑別所に身柄を移されるでしょうし、家裁送致前から少年鑑別所に収容されている場合は、そのまま少年鑑別所に収容されることになるかと思います。

少年鑑別所は少年の身柄を確保しつつ心身の鑑別を行う施設です。家裁送致後の観護措置により収容された場合、はじめに「2週間」拘束されます。しかし、ほとんどの場合期間が更新されますから、拘束期間は「4週間」が通常と考えていた方がよいでしょう(なお、特別な事情がある場合は更に2回まで更新することができます(つまり、収容期間は最大で「8週間」となります)。
その間、少年鑑別所の技官や家庭裁判所調査官による調査を受けます。調査の結果は少年審判などに活用されます。

~ 弁護士の対応(不処分獲得を目指す) ~

少年が犯罪事実を否認したものの、家庭裁判所に事件を送致された場合、少年審判において少年の無実を明らかにすることになります。少年事件では、事件が家庭裁判所に送致されれば、弁護士は事件記録のすべてを原則として見ることができます。弁護士はその記録や少年から聴き取った話の内容を基に証拠や主張を固め、裁判官に対して、非行事実(犯罪事実)がないことを伝える意見書を提出します。少年事件では、事件が家庭裁判所に送られた時に、捜査機関が持っていた事件記録がすべて家庭裁判所に送られます。そのため、早い段階で弁護士が少年の主張を伝えなければ、裁判官が事件記録から少年には非行事実があるのではないかという印象を持ってしまいます。
さらに、少年審判においては、成人の刑事裁判のように証人に対する尋問、少年に対する質問などが行われていきます。少年審判では、証人の証言の矛盾点を暴き出し、少年の供述に不合理、不自然な点はないかなどを明らかにする必要があります。
なお、否認事件の少年審判は1回で終わることはほとんどありません。

そして、少年審判で、裁判官によって「非行事実がない」と認められた場合は、不処分決定を受けます。
不処分決定とは、保護観察少年院送致などの保護処分を受ける必要がない旨の決定のことをいいます。

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