非現住建造物等放火罪で逆送

2019-04-10

非現住建造物等放火罪で逆送

~ケース~

兵庫県姫路市在住のA君(17歳)は友人らと廃屋となった山小屋などに火を付けて燃え始めるのを楽しむイタズラを行っていた。
このイタズラは火がついて燃え始めたらすぐさま消火するもので,若干の燃え跡が残る程度であった。
ある日,A君らはいつものように廃屋と思われる山小屋に火を付けるイタズラをした。
すぐに火を消そうと思ったが,火の燃え上がりが想像よりも早く,家屋が全焼してしまった。
A君は兵庫県姫路警察署非現住建造物等放火罪の疑いで逮捕され,家庭裁判所に送致された後,事件が検察官に逆送された。
(フィクションです)

~少年事件と逆送~

少年とは20歳に満たないものをいいます(少年法第2条)。
罪を犯した少年,14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年,虞(ぐ)犯少年は家庭裁判所の審判に付されます(少年法第3条)。
なお,14歳未満の少年が罪を犯しても責任能力がないものとして扱われ,刑事未成年と呼ばれ,罰せられません(刑法第41条)。
刑事未成年者が法に触れる行為を行った場合には触法少年と呼ばれます。
虞犯少年とは保護者の正当な監督に服しない性癖があるなど,その性格又は環境に照らして,将来,罪を犯し,又は刑罰法令に触れる行為をするおそれがあると認められる少年をいいます(少年法第3条1項3号)。

通常の少年事件では,刑事事件と同様に,事件が発生し警察に検挙・逮捕された後に検察官に送致されます。
刑事事件であれば送致を受けた検察官は事件を起訴するか不起訴とするかを判断しますが,少年事件の場合は送致を受けた事件を全て家庭裁判所に送致します(全件送致主義)。
送致を受けた家庭裁判所は家庭裁判所調査官による調査を経て少年の保護処分を決定します。

しかし少年事件であっても家庭裁判所は死刑,懲役,または禁錮にあたる事件である場合,調査を通じて罪質及び情状を検討し,刑事処分が相当かを判断します。
家庭裁判所が調査の結果,刑事処分相当と判断した場合には,決定をもって,管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検察官に事件が送致されます(少年法20条1項,23条1項)。
また,犯行時16歳以上の少年が故意に被害者を死亡させた事件の場合は原則として検察官に送致することになっています(少年法20条2項)。
これら,検察官から送致を受けた家庭裁判所が事件を検察官に送致することを「逆送」と呼びます。

「死刑,懲役,または禁錮にあたる事件」とは法定刑に「死刑,懲役,禁錮」のいずれかが含まれているものを指します。
「●●年以下の懲役または●●万円以下の罰金」というような,懲役または罰金という形であっても問題はなく,実際の裁判で罰金刑となるような事件であっても問題ありません。
なお,検察官は家庭裁判所から送致を受けた事件については,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは,公訴を提起しなければならないと定められています(少年法45条5号)。
ただし,送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないか,又は犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため,訴追を相当でないと思料するときは,この限りでなく,送致後の情況により訴追を相当でないと思料するときも,同様です(少年法45条5号但書)。

なお,家庭裁判所による事件の逆送に際して,少年の弁解を聞くことはありません。
少年が異議などを述べる場所として刑事裁判が開かれますので少年に不利益はないとされています。

~弁護~

刑事事件では,犯罪事実が認定されれば,それに対する制裁として,刑罰(死刑・懲役・罰金など)を科すことが基本となります。
一方,少年事件では刑罰ではなく保護処分を課すことが優先されます。
保護処分を課す場合は多くは保護観察処分となりますが,場合によっては児童自立支援施設や児童養護施設,少年院に収容される可能性もあります。
少年が保護観察処分となるためには、弁護士から家庭裁判所調査官に少年の反省や再発防止に向けた取り組みなどを説明していきます。

もし、事件が逆送されて公訴の提起をされてしまった場合、少年が刑罰を受ける可能性が非常に高くなります。
そのため,弁護士は家庭裁判所に対して事件を検察官に逆送しないように働きかけます。
事件が検察官に逆送された場合には,検察官に対し起訴しないように情状などを主張していきます。
しかし,少年法20条2項による逆送でなければ,家庭裁判所が調査によって情状等も考慮した上で刑事処罰を妥当と判断したといえますので,検察官も多くの場合で起訴してしまいます。
起訴されてしまった場合には,実刑とならないように,まだ少年であることや反省,再発防止への取り組みなどを刑事裁判で主張していきます。
逆送された事件であっても,殺人などの重大な犯罪でなければ執行猶予付きの判決や罰金刑となることが多いようです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所少年事件刑事事件専門の法律事務所です。
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(兵庫県姫路警察署への初回接見費用:41,960円)

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