不同意性交等,不同意わいせつ

不同意性交等罪(旧強制性交等・旧強姦罪)の法定刑は,5年以上の拘禁刑です(刑法第177条1項)。
なお,不同意性交等致死傷罪の法定刑は,無期又は6年以上の拘禁刑です(刑法第181条2項)。

不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)の法定刑は,6月以上10年以下の拘禁刑です(刑法第176条)。
なお,不同意わいせつ致死傷罪(旧強制わいせつ致死傷罪)の法定刑は,無期又は3年以上の拘禁刑です(刑法第181条1項)。
 

不同意性交等,不同意わいせつ事件(旧強制性交等,旧強制わいせつ事件)の解説

1 はじめに

不同意性交等及び不同意わいせつ罪(旧強制性交等罪及び旧強制わいせつ罪)は,その相手方を16歳未満の者と16歳以上の者とを区別して規定しています。
16歳以上の者に対する不同意性交等及び不同意わいせつ罪の場合には,暴行・脅迫等の手段を用いる必要がある場合や,同意する意思を形成できない等の被害者の状態に乗じる必要があるのに対し,16歳未満の者に対する不同意性交等及び不同意わいせつ罪の場合には,暴行・脅迫などの手段を利用する必要や同意する意思を形成できない等の被害者の状態に乗じる必要はありません。
  
また,16歳未満の者に対する不同意性交等及び不同意わいせつ罪の場合には,16歳未満であることの認識が必要とされていることから,16歳以上だと思って,(暴行・脅迫などの手段を用いたり同意する意思を形成できない等の被害者の状態に乗じたりせずに)姦淫又はわいせつ行為に及んだとしても不同意性交等及び不同意わいせつ罪は成立しません。
 

2 不同意性交等罪の解説

16歳以上の者に対する不同意性交等罪における暴行・脅迫の程度としては,被害者の犯行を著しく困難にする程度のもので足り,反抗を抑圧する程度に達する必要はありません。
 

3 不同意わいせつ罪の解説

16歳以上の者に対する不同意わいせつ罪における暴行・脅迫の程度としては,被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行・脅迫であれば足り,不同意性交等罪のように反抗を著しく困難にする程度に達する必要はないとの考えもあります。
 

少年による不同意性交等,不同意わいせつ事件の対応

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず,不同意性交等,不同意わいせつの容疑を掛けられてしまった場合や相手方の同意があった場合には,弁護士を通じて,警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して,審判不開始又は不処分を獲得する余地があります。

アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することで,不同意性交等,不同意わいせつを立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

不同意性交等,不同意わいせつで警察に検挙・逮捕された少年の方は,本人の性格,不安や諦めの気持ち,友人・知人を庇うなど様々な原因から自分の主張を貫くことが困難になります。
弁護士が,少年本人と接見(面会)して言い分を丁寧に聞き取ってあげることで,不同意性交等,不同意わいせつの詳細を把握し,少年本人の主張が通るように警察・検察などの捜査機関や家庭裁判所に働きかけていきます。

また,弁護士との接見(面会)によって少年を安心させ,支えてあげることで,少年の虚偽の自白を防いで真の更生につなげることが可能になります。
 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪,示談をする
被害者感情が重要視される昨今,少年による不同意性交等,不同意わいせつ事件においても,被害者の方と示談することは,重要な弁護活動です。
警察に被害届が提出される前であれば,被害届の提出を阻止し,警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。

警察に被害届が提出されてしまった後であっても,少年による不同意性交等,不同意わいせつ事件においては,示談をすることによって,より軽い処分を獲得する可能性を高めることができます。

少年による不同意性交等,不同意わいせつ事件では,被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が少年の処分に大きく影響することになるので,弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。
また,示談をすることで少年が釈放される可能性もありますので,示談によって少年の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます。

⑵ 環境を整える
少年が不同意性交等,不同意わいせつ事件をはじめとする性犯罪に手を染めてしまった背景としては,少年の性に対する誤った認識が考えられます。
そして,このような場合,保護者の指導だけで改善することは困難であることから,第三者である弁護士を少年につけて,第三者の視点から指導・教育させることが有効と思われます。
   
また,交遊関係が非行の背景にある場合は,交遊関係の見直しを含めた生活環境の改善が必要となります。
生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠となることから,ご家族には日常生活の中で本人を監督してもらうことになります。
 

3 身柄拘束からの早期解放活動

少年が不同意性交等,不同意わいせつ事件で逮捕されても,適切な取り調べ対応と弁護活動によって留置場や鑑別所に入れられずに済む可能性があります。

不同意性交等,不同意わいせつ事件で逮捕された少年が早く留置場から出て鑑別所に行かずに済むためには,逮捕の後に勾留されないこと又は家庭裁判所による観護措置を回避することが大切です。

少年の勾留や観護措置を避けるためには,逮捕後の早い段階で,弁護士と面会して取り調べ対応を協議し,身元引受人の協力を得ることが大切です。
その上で,弁護士から検察官や裁判官に対して,少年の反省と二度と不同意性交等,不同意わいせつ事件を起こさない旨を主張し,釈放してもらうよう働きかけます。

 

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