現場助勢罪と示談
現場助勢罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
ある日の深夜、埼玉県草加市にある自宅前の公園が騒がしいと思った高校2年生のAさん(17歳)は様子を見に行くことにしました。
するとAさんと同じ高校に通う顔見知りのBさんがCさんを一方的に殴っており、周囲には野次馬が集まっていました。
Aさんは興味本位で野次馬に加わり、「Bー!やっちまえ!」「C、しっかりしろ!」などはやし立てていました。
その後埼玉県草加警察署の警察官がやってきて、BさんとCさんは連れていかれました。
Aさんは「僕は声出してただけだし、関係ないよね。」と思い自宅に帰ろうとしたところ、警察官がAさんに「君がずっとはやし立てているのを見ていた人がいるんだ。警察署で話を聞かせてくれないかな。」と声をかけました。
(フィクションです)
野次馬やはやし立てる行為も犯罪になるのですか
Aさんの行為は「現場助勢罪」に問われる可能性が有ります。
では、現場助勢罪について見ていきましょう。
刑法第206条(現場助勢罪)
前2条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
と規定されています。
「前2条」とは、刑法第204条と刑法第205条のことで、傷害罪と傷害致死罪のことを指します。
現場助勢罪について
現場助勢罪とは、傷害罪、傷害致死罪の行われる現場での助勢行為を独立して処罰する法律です。
いわゆる野次馬的な助勢行為がその対象となります。
つまり、傷害行為が行われている現場において、その勢いを助ける行為をすると、現場助勢罪に問われるということです。
「勢いを助けた」とは
「やってしまえ」「叩きのめせ」などはやし立てる行為をすることで、野次馬的な声援であれば、言語か動作かは問いません。
また、その助勢行為により、実行行為者の行為がやり易くなったということは必要ではありません。
ただし、単なる声援とはいえない、強度の応援をして、実行行為をやり易くした場合は、傷害罪の幇助犯となります。
また、助勢した者が自分で暴行、傷害行為を行なった時は、傷害罪の共同正犯もしくは同時犯となります。
現場助勢罪で話を聞かれることになった
現場助勢罪は、捜査機関が行為を裏付ける証拠を得るのが難しい犯罪であるため、検挙される可能性はあまり高くはない犯罪といわれています。
しかし、検挙される可能性は完全にゼロではありません。
もし検挙された時は、被害者に対する謝罪や示談などの弁護活動をしていく可能性が高いです。
被害者に謝罪や示談をしようとした時、Aさんのように被害者と顔見知りで住所や連絡先を知っていることがある場合があります。
しかし、住所や連絡先を知っていても直接被害者と接触するのは避けた方が良いでしょう。
なぜなら直接話し合うと、被害者も感情的になり示談が上手くいかなかったり、捜査機関に「被害者を脅して証拠隠滅を図った」などと思われてしまい、身体拘束をされてしまう可能性が有るのです。
示談については、少年事件や刑事事件に強い弁護士にお任せください。
示談が成立すれば、事件化されていたとしても家庭裁判所での審判の際の判断において有利な事情となるなど様々なメリットがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が現場助勢罪で話を聞かれることになった、被害者と示談をしているがこじれているなどお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。