風営法違反
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(略して、風営法又は風適法)違反の主な法定刑は、以下の通りです。
【1】
①無許可で風俗営業を営んだ場合
②偽りその他不正な手段によって風俗営業の許可又は相続等の承認を受けた場合
③名義貸し
④風俗営業の許可の取消又は営業の停止の処分等に違反した場合
⑤禁止区域内で店舗型性風俗特殊営業等を営んだ場合
①から⑤の法定刑は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または懲役と罰金の併科です(風営法第49条)。
【2】
①承認を受けずに営業所の構造又は設備の変更等をした場合
②偽りその他不正の手段によって営業所の構造又は設備の変更等の承認を受けた場合
③偽りその他不正の手段で特例風俗営業者の認定を受けた場合
④18歳未満の者を業務に従事させた場合
⑤18歳未満の者を客として立ち入らせた場合
⑥営業所で20歳未満の者に酒類またはタバコを提供した場合
⑦禁止区域内で深夜における酒類提供飲食店を営んだ場合
①から⑦の法定刑は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金又は懲役と罰金の併科です(風営法第50条)。
【3】
①客引き又は客引きのためのつきまとい行為等をした場合
②性風俗関連特殊営業を無届出で営業した場合
③営業開始の届出書を提出せず、または届出書等に虚偽の記載をして提出した場合
①から③の法定刑は、6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または懲役と罰金の併科です(風営法第52条)。
風営法の解説
風営法(風適法)に違反した場合には、行政上の責任(行政処分)と刑事上の責任(刑事処分)に問われることになります。
風営法に違反した場合の行政処分とは、行政庁(公安委員会)による営業許可の取消し、営業停止命令、営業禁止命令、営業廃止命令、指示などの行為のことで、営業及び営業許可に関わる処分です。
風営法に違反した場合の刑事処分とは、風営法違反行為のうち悪質性の高い行為をした者に対して、懲役刑や罰金刑といった刑罰を科す処分になります。
少年による風営法違反事件としては,禁止区域での客引き行為が挙げられます。
少年による風営法違反事件の対応方法
1 無罪を主張する場合
少年が、身に覚えのない風営法違反事件の容疑をかけられて警察から逮捕又は取り調べを受けた場合、できるだけ早期に、風営法違反事件の取調べ対応について、弁護士からアドバイスをもらうことが肝心です。
少年による風営法違反事件で無実・無罪を争うためには、付添人である弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関又は家庭裁判所に対して、関係者の供述を争い、警察や検察庁などの捜査機関が十分な証拠を持っていないことを主張する等して、少年が処罰されないように審判不開始又は不処分を求めていくことが有効です。
また、弁護士を通じて、アリバイや真犯人の存在を示す証拠を探す活動も重要です。
2 罪を認める場合
⑴ 反社会的勢力との縁を切る
少年による風営法違反事件の成立に争いがない場合、事件の背景に暴力団等の反社会的勢力の存在が挙げられます。
暴力団等の一員として、風営法に違反する行為をしてしまった場合は、組織と完全に縁を切ることが必要不可欠です。
そのためには、組織について知っていることは全て話し、進んで捜査に協力すべきです。
また、携帯電話やインターネットのプロバイダは全て解約し、組織と連絡が取れない状態にしてもらいます。
暴力団員であれば、脱会届、破門状などを裁判の証拠として提出することもあります。
⑵ 環境を整える
上記の反社会的勢力から離脱することとともに,更生に向けた環境を整えることが大事になってきます。
具体的には,適正な就労先の確保ないし就業先の確保や,住居の確保です。
生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠となることから,ご家族には日常生活の中で本人を監督してもらうことになります。
3 身柄拘束からの早期解放活動
少年が風営法違反事件で逮捕されても、適切な取り調べ対応と弁護活動によって留置場や鑑別所に入れられずに済む可能性があります。
風営法違反事件で逮捕された少年が早く留置場から出て鑑別所に行かずに済むためには、逮捕の後に勾留されないこと又は家庭裁判所による観護措置を回避することが大切です。
少年の勾留や観護措置を避けるためには、逮捕後の早い段階で、弁護士と面会して取り調べ対応を協議し、身元引受人の協力を得ることが大切です。
その上で、弁護士から検察官や裁判官に対して、少年の反省と二度と風営法違反事件を起こさない旨を主張し、釈放してもらうよう働きかけます。