器物損壊罪

器物損壊罪の法定刑は,3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です(刑法第261条)。
 

器物損壊罪の解説

器物損壊罪の客体としては,公用文書毀棄罪,私用文書等毀棄罪,建造物等損壊罪の客体以外のすべての他人の物が対象となります。
したがって,自動車等の乗り物のほか,動植物も含むことになります。
 
器物損壊罪における「損壊」とは,その物の効用を害する行為をいい,壊すなどの場合に限らず,感情的にその物を本来の用途にしたがって使用できない状態にすることもこれに含まれます。
 

少年による器物損壊事件の対応方法

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず,器物損壊の容疑を掛けられてしまった場合,弁護士を通じて,警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して,審判不開始又は不処分を獲得する余地があります。
アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することで,器物損壊を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

器物損壊で警察に検挙・逮捕された少年の方は,本人の性格,不安や諦めの気持ち,友人・知人を庇うなど様々な原因から自分の主張を貫くことが困難になります。
弁護士が,少年本人と接見(面会)して言い分を丁寧に聞き取ってあげることで,器物損壊の詳細を把握し,少年本人の主張が通るように警察・検察などの捜査機関や家庭裁判所に働きかけていきます。

また,弁護士との接見(面会)によって少年の方を安心させ,支えてあげることで,少年の虚偽の自白を防いで真の更生につなげることが可能になります
 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪,示談をする
被害者感情が重要視される昨今,少年による器物損壊事件においても,被害者の方と示談することは,重要な弁護活動です。
警察に被害届が提出される前であれば,被害届の提出を阻止し,警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。

警察に被害届が提出されてしまった後であっても,少年による器物損壊事件においては,示談をすることによって,審判不開始や不処分,保護観察処分を獲得する可能性を高めることができます。

少年による強迫・強要事件では,被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が少年の処分に大きく影響することになるので,弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。
また,示談をすることで少年が釈放される可能性もありますので,示談によって少年の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます。
  
⑵ 環境を整える
暴走族や地元の不良仲間との交遊関係が非行の背景にある場合は,交遊関係の見直しを含めた生活環境の改善が必要となります。
生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠となることから,ご家族には日常生活の中で本人を監督してもらうことになります。
 

3 身柄拘束からの早期解放活動

少年が器物損壊事件で逮捕されても,適切な取り調べ対応と弁護活動によって留置場や鑑別所に入れられずに済む可能性があります。

器物損壊事件で逮捕された少年が早く留置場から出て鑑別所に行かずに済むためには,逮捕の後に勾留されないこと又は家庭裁判所による観護措置を回避することが大切です。

少年の勾留や観護措置を避けるためには,逮捕後の早い段階で,弁護士と面会して取り調べ対応を協議し,身元引受人の協力を得ることが大切です。
その上で,弁護士から検察官や裁判官に対して,少年の反省と二度と器物損壊事件を起こさない旨を主張し,釈放してもらうよう働きかけます。

 

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