再審
1 再審の概要
再審とは,一度確定した判決について,一定の要件を満たす特別な理由がある場合に,もう一度審理を行なうことをいいます。 判決が一度確定してしまうと,原則として,もう裁判で争うことはできません。 しかし,後になって他に真犯人がいたことの証拠が見つかったり,アリバイを証明する証拠が見つかったりするなど,事情が変わってこの確定判決を正さなければならないと著しく正義に反する場合があります。 このような場合に,裁判をもう一度やり直す手続が「再審」です。
2 再審が認められる特別な理由
- 判決のもととなった証拠が偽造であると,他の裁判で証明されたとき
- 判決のもととなった証言が嘘であったと,他の裁判で証明されたとき
- 被害者等の告訴が嘘であったとして,その告訴をした人が有罪とされたとき
- 判決のもととなった他の事件の裁判が変更されたとき
- 特許などを侵害したとされる罪で,その権利が裁判などで無効とされたとき
- 有罪の判決を受けた人に,無罪やもっと軽い刑を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき
- 前の判決をした裁判官や,証拠書類を作成した裁判官・検察官・警察官が,その判決が出されるにあたって,犯罪行為をしたと裁判で証明されたとき
3 再審の流れ
⑴ はじめに
再審の手続きは,①再審請求について再審を開始する理由の有無を審理する手続き(再審の請求に対する審判)と,②理由があると判断された場合に事件自体について審理する手続き(事件そのものについての再審の審判)の二段階に分かれています。
⑵ 再審請求とその審判
再審の請求がなされると,裁判所はこれに対する審判を行います。再審の請求が法令上の方式に反していた場合や,再審の請求に理由がないときには,棄却の決定がなされ,事件そのものについての再審の審判は開かれません。 これに対して,再審の請求に理由があると判断された場合には,再審の開始決定がなされて,事件そのものについての再審の審判に移行します。
⑶ 再審の審判
再審の開始決定がなされた場合には,裁判をもう一度やり直すことになります。 その結果,無罪と分かった場合には,無罪判決が言い渡されることになるとともに,刑事補償の対象となります。 仮にもう一度有罪の判決がなされた場合であっても,通常の場合と同様に上訴することができます。
4 再審の最適弁護プラン
⑴ 情熱を持った弁護士に依頼する
既に確定した判決を覆すためには,多大な困難が伴います。 再審請求人となる者が現に受刑者であることから,弁護人との接見も満足にできないことや,事件から相当の年月が経過していることから,事件関係者の記憶も薄れてしまい,有効な証拠を集めることができないことが理由として挙げられます。 したがって,再審の開始決定を獲得し,無罪判決まで勝ち取るためには,無辜の者の処罰は著しく社会正義に反するという情熱が必要となります。 そのような情熱を持った弁護士に依頼することが必要不可欠となります。
⑵ 新証拠発見・収集
再審理由の中で最も実務上頻繁に利用されているのが,有罪の言渡しを受けた者に有利な明らかな証拠があらたに発見された場合です。そこで,再審請求する際には,上記要件を満たす新証拠発見・収集が重要となります。