(制度紹介)少年院とはどんなところ?刑務所との違いは?
(制度紹介)少年院とはどんなところ?刑務所との違いは?
少年事件では、最終的に家庭裁判所の審判によって保護処分が下されることが原則です。
その保護処分の1つとして、少年院送致という処分があります。
「少年院」という単語を聞いたことのある人は多いと思いますが、少年院が実際にどういった施設なのか、なぜその施設に送致されることになるのか等は、あまり知られていないのではないでしょうか。
今回の記事では、少年事件の最終処分の1つである、少年院という施設に注目していきます。
~少年院はどんなところなのか?~
少年院は、少年事件を起こしてしまった少年の健全な育成を図るために、その矯正教育や社会復帰支援等を行う施設です。
よく「重い犯罪をしたら少年院に行く」「より悪質な少年事件を起こした場合は少年院」というイメージが思い浮かべられがちですが、前回の記事で取り上げた通り、少年院送致という処分は「保護処分」という、少年の更生を目的とした処分であるため、必ずしもその犯罪で定められている刑罰が重いから少年院に行くというわけではありません。
そして、少年院はあくまでも少年の更生のための処遇を行う施設であるため、少年院に行くことは犯罪に対する刑罰ではありません。
少年院と刑務所は混同されがちですが、刑務所は犯罪をしたことに対する刑罰を科す場所であるのに対し、少年院は矯正教育や社会復帰支援をする場所ですから、施設の目的から異なるものであることが分かります。
少年院では、入所する少年1人1人の特性や、その少年院がある地域などに合わせた内容の矯正教育や社会復帰支援が行われます。
例えば、生活を改善・自立させるための生活指導や、少年院を退所した後の進路のための職業指導・学習指導、健康的な生活を送るための運動時間の確保などが1日を通して行われます。
こうした少年自身への指導・支援だけではなく、その保護者に対しても少年院の職員が面談・面会を行い、社会復帰を支援することもあります。
こうした少年院という施設ですが、全国にあるすべての少年院が全く同じ少年院であるというわけではありません。
少年院には、第1種~第5種少年院という種類があり、少年は、年齢や犯罪傾向の進みなどに応じてそれぞれの少年院に送致されることになります。
少年院は男女分かれていますが、女子少年院の数は少数となるため、女子の場合は居住地よりかなり離れた場所にある少年院にいくことになるケースもあります。
少年院に入る期間は家庭裁判所の審判で決められますが、「特修短期処遇」「一般短期処遇」「長期処遇」と呼ばれる種類で大まかに区切られています。
このうち、一番短いのは「特修短期処遇」で、4ヶ月以内で仮退院することが目安となるものであり、一番長いのは「長期処遇」であり、こちらは原則2年以内で退所することが目安となりますが、長期となる場合には2年以上入所を継続するケースもあります。
少年事件は、少年院送致などの終局処分もそこに至る経緯についても成人の刑事事件とは異なるため、全体像を掴みづらいというケースも考えられます。
少年事件の当事者となってしまってからすぐに弁護士に相談しておくことで、見通しやそれに伴う手続の流れを把握できると期待できます。
少年事件の全体を把握しながら手続きを進めることができれば、適切な処分を求めていくことができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件についてのご相談も受け付けています。
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