少年事件の流れは弁護士に相談
少年事件の流れは弁護士に相談
少年事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
仙台市太白区に住んでいる16歳のAさんは、他校の生徒を殴って大けがをさせるという傷害事件を起こして、宮城県仙台南警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、少年事件は刑事事件の手続と異なるという話を聞き、少年事件に詳しい弁護士に相談したいと考え、インターネットで法律事務所を探し始めました。
(フィクションです)
・少年事件の流れとは?
通常、犯罪が起こった場合、刑法や刑事訴訟法などの規定によって捜査や裁判が行われますが、被疑者が20歳未満の場合、少年法の対象となり、一般の刑事事件とは異なる特別な手続を受けることになります。
先日の民法改正で成人年齢が18歳に引き下げられましたが、少年法では20歳未満の者が少年とされます。
警察による捜査を経て、少年事件は必ず家庭裁判所へ送致されます。
いわゆる全件送致主義というこの考え方は、一般の刑事事件が警察や検察が捜査をした段階で微罪処分や不起訴となって終了することがあることと対照的であるといえるでしょう。
少年事件が家庭裁判所に送致されたら、家庭裁判所調査官が少年の成育歴や少年の置かれている環境、少年の性格等を調査します。
この調査は、在宅で行われることもありますし、少年鑑別所に収容されてより専門的な調査が行われることもあります(観護措置)。
調査の後には、家庭裁判所において少年審判が開始されます。
少年審判によって次の4つの処分のいずれかがなされます。
①少年院送致
②保護観察
③不処分
④検察官送致(逆送)
①の少年院送致は、少年を少年院に収容し、少年院内で行われるプログラムを通じて少年の矯正と社会復帰を目指します。
②の保護観察では、保護司などの監護の下、社会内での少年の矯正を目指します。
③不処分は文字通り①、②、④のいずれの処分にも付さないことを意味します。
④の検察官送致は、一定の重大犯罪について検察官に事件を送致し、一般的な刑事事件と同じ刑事手続に乗せることを意味します。
この検察官送致が行われた場合、改めて検察官が起訴するかどうかを判断し、起訴された場合は刑事裁判を受け、有罪・無罪や有罪であった場合の刑罰の重さが決められることとなります。
・少年事件と弁護活動
今回のAさんのような事例では、弁護活動の依頼を受けた後、釈放を求める弁護活動に取りかかることが考えられます。
少年が犯罪の証拠の隠滅を図ったり逃亡する可能性があると認められなければ逮捕・勾留などの身体拘束はできませんので、弁護士は事件内容や少年の状況等からそのようなおそれがないことを主張することになるでしょう。
また、少年事件であっても、被疑者となった少年に対しては取調べが行われます。
少年は成長発達過程にあり、被暗示性や利益誘導、圧力を受けやすく、取調べにあたった捜査員の言動の影響をより強く受ける傾向があります。
このような少年事件の特性に鑑みて、適切な刑事手続の運用と少年の権利の保護のために少年事件に強い弁護士に事件を依頼することの必要性は高いといえるでしょう。
弁護士が少年に対して取調べの対応などをアドバイスすることにより、捜査機関が少年の意に反する内容の調書を作成することなどを防ぐことが期待できます。
加えて、被害者がいる場合は示談交渉を行うなどして、被害者対応を行うことも考えられるでしょう。
家庭裁判所に送致された後は、少年の更生に資する環境と作ることが重要となりますから、少年に反省を促すなど少年自身へはたらきかけることのほか、少年の周囲の環境を改善する活動が考えられます。
少年が犯罪を犯した場合、その原因が周囲の環境にあることも多いです。
例えば少年が不良グループに属していたり、親とのコミュニケーションが十分にとれていないなどが背景にあったりします。
こうした環境をそのままにしておくと再び事件を起こす可能性が高いと判断されることに繋がりますので、少年事件を依頼された弁護士は、少年本人だけでなく、少年の家族などとも協力し、こうした少年の周辺環境を整える取り組みも行います。
少年事件は一般の事件と異なる点が多く、難しい部分も多いです。
不当な処分がなされると少年自身の将来に強く影響しますので、弁護士を通じて早期から適切な対応をすることが非常に重要になってきます。
少年事件の被疑者となってしまった方、ご家族やご友人の親類が少年事件の被疑者となってしまった方は、少年事件を多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。