子供が逮捕されたら
1 はじめに
お子さんが20歳未満である場合には,少年法が適用され成人の刑事事件とは異なる取扱いがなされています。
2 捜査段階の身柄拘束における特別な規定
成人の刑事事件における捜査段階の身柄拘束としては,逮捕・勾留という手続きが考えられるところ,少年事件・少年犯罪においては勾留につき特別な規定が存在します。
少年事件・少年犯罪では,成人の刑事事件と異なり,①勾留状を発するには,「やむを得ない場合」でなければならず(少年法第48条1項,43条3項),②勾留場所を少年鑑別所とすることができます(少年法第48条2項)。
また,③勾留に代わる観護措置という手続きをとることができます(少年法第43条1項)。
もっとも,実務上,「やむを得ない場合」は非常に緩やかに解釈されており,成人とほぼ同様の基準で少年の勾留が認められています。
また,勾留に代わる観護措置がとられることもあまりありません。
なお,家庭裁判所において検察官送致決定を受けた特定少年(18歳・19歳の少年)については,このような特則は適用されず,成人と同じように勾留を行います。
3 手続き,処分に関する特別な規定
少年法は,20歳未満で刑罰法令に違反した,違反する可能性がある行為を行った子供を「非行少年」として,刑事司法において特別な取り扱いをするための手続きを定めた法律です。
いつを基準として20歳に満たない者か否かを判断するかというと,犯罪行為等を行った時点ではなく,少年審判において処分を言い渡す時点を基準にします。
したがって,犯行時未成年であっても,処分時成人であった場合(19歳の時に事件を起こし,20歳を過ぎて警察に捕まってしまったような場合)は,少年時の事件であったとしても少年法の適用にはならず,成人事件として処分されることとなります。
また,18歳・19歳の特定少年については,それ以外の少年と異なる規律がなされている部分があります。
20歳未満で刑罰法令に違反した「非行少年」は,家庭裁判所に送致され,原則として保護手続きに付されることになります。
成人の刑事事件では,犯罪事実が認定されれば,それに対する制裁として,刑罰を科すことが基本となります。
これに対して,少年事件・少年犯罪では,家庭裁判所の審判を経て,非行事実と要保護性(再非行の危険性,すなわち当該少年の資質や環境等に照らして,将来における再非行の可能性)が認定されれば,刑罰ではなく,保護処分を課すことが優先されます(保護処分優先主義)。
保護処分とは,少年に行った行為の意味を理解させ,反省させるとともに,自らの社会生活上の問題点を把握させることで,今後犯罪や非行を行わせないためにどのようなことが必要かを考えさせ,自らが変わることを要求します。
また,少年が変わるためには,ご両親の協力が不可欠なために,ご両親に対しても,審判の際には呼出しをして,必要がある場合には,保護者に対して,指導などの適切な処置を行う場合があります。
審判の際には呼出しをして,必要がある場合には,保護者に対して,指導などの適切な処置を行う場合があります。
4 おわりに
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,少年事件・少年犯罪の経験豊富な弁護士が,十分なコミュニケーションによって少年とそのご家族の心の痛みを理解することで,一日でも早い事件解決に向けて全力で取り組みます。