自転車ひき逃げと出頭

2021-11-04

自転車ひき逃げと出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

大学生のAさんは、アルバイト先から自転車を運転して帰宅途中、道路を横断してきたVさん(69歳)に自転車を衝突させて路上に転倒させました。Aさんは自転車を道路脇に停め、車を降りてVさんの元に近づいたところ、Vさんの意識ははっきりしており怪我の程度も酷くはなさそうだったため、警察に通報するなどせずその場を立ち去りました。その後、Aさんは普段どおりの生活を送っていますが、いつ警察に逮捕されるか不安で仕方ありません。そこで、警察に出頭することも含め、ひき逃げ事件に強い弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~「ひき逃げ」について~

ひき逃げについては、道路交通法(以下「法」)72条1項に定められています。
すなわち、その前段では車両等の運転者の「救護措置義務」を、後段では警察官に対する「事故報告義務」を定めています。

車両等の運転者は、交通事故があった場合、負傷者の救護や道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならず(救護措置義務)、さらに、警察官に対し当該交通事故の内容(日時、場所、死傷者の数、負傷の程度等)を報告しなければならない(事故報告義務)のです。

「車両等」には自転車も含まれますから、自転車の運転者が交通事故を起こし負傷者等を出した場合も同様の義務が課せられます!

ただし、救護措置義務に関する罰則については、自動車と自転車で区別されています。
自動車については法117条1項で「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、2項で「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、自転車については法117条の5第1号で「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」と定められています。
事故報告義務については、両者の区別なく法119条10号で「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」です。

~自首~

自首とは、捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、その処分を委ねる意思表示のことをいうとされています。
 「捜査機関」とは、主に検察官、警察官のことをいいます。「自首」というためには、捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に申告することが必要です。
ただし、「犯罪事実又は犯人」とされていますから、犯罪事実は発覚していても、まだ犯人が誰であるか発覚していない段階でも自首に当たる可能性はあります。

自首の方法としては自ら申告する場合のほか、他人を介して自己の犯罪事実を申告させることもできます。また、書面による申告も有効と解されています。ただし、こうした場合は、犯人がいつでも捜査機関の支配下にいることが条件となると解されています。なお、自首というためには「捜査機関に処分を委ねること」、つまり、犯罪事実を認めていることが前提です。書面のみを提出して所在不明となった場合、氏名を秘匿している場合などは、処分を委ねる意思がないものとみなされるでしょう。
このように、「自首」を主張するためにはいくつかのハードル(要件)を超えなければならないことが分かります。
自首の要件を満たさないのに捜査機関に申告しても、それは「自首」ではなく単なる「出頭」にしか当たりません。
自首すれば、逮捕を免れる可能性があります。仮に「自首」ではなく「出頭」だった場合も同様です。
罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないと判断されやすいからです。
ただし、反対に、そのおそれがやはりあるとして逮捕される可能性もあります。
ですから、捜査機関に申告する前に、弁護士とよく相談して様々なアドバイスを受け、対策を取る必要があります。

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