殺人未遂罪で少年を逆送

2021-08-05

殺人未遂罪で少年を逆送について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

少年AさんはSNSを通じて知り合った女子大生の首を絞めつけるなどして殺害しようとした殺人未遂罪の疑いで、家庭裁判所から検察庁に事件を送致されてしまいました。その後、Aさんは殺人未遂罪で検察官に起訴されたことから、同罪で裁判員裁判を受けることとなりました。
(フィクションです)

~殺人未遂罪ってどんな罪?~

殺人未遂罪は、殺意をもって人を殺そうとしたが人が死ななかった場合に成立する犯罪です。
あくまで殺意が必要であり、殺意がない場合は傷害罪(刑法204条)が成立するにとどまります。

では、殺意はどのような事実から認定されるのでしょうか?
例えば、①被害者の受傷の部位、②受傷の程度、③犯行道具の有無・形状、④犯行に至るまでの経緯(加害者と被害者の関係性、計画性等)、⑤犯行時の加害者の言動などが挙げられます。
殺意の有無は人の内心にかかわることでもあることから、その認定は容易ではありません。
よって、実際の裁判では、上記に挙げた事実を総合的に勘案して殺意の有無を認定しています。

なお、殺意(故意)の程度は、何が何でも殺すという故意(確定的故意)までは必要なく、死んでもかまわないという程度の故意(未必的故意)で足りると解されています

~逆送と弁護活動~

少年事件では、通常の刑事事件と異なり、少年法に基づき特別な手続に付されることになります。
少年は、刑事裁判ではなく、少年審判によってその処遇が決定されることになるのです。
もっとも、刑事処分が相当と判断された場合などは逆送という手続きを取られることがあります。
逆送とは、家庭裁判所の調査の過程、あるいは少年審判で本人が20歳以上であることが判明したとき(少年法19条2項、23条3項)、又は、家庭裁判所の審判において、刑事処分が相当であると判断されたとき(少年法20条1項)、あるいは、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件(※)であって、その罪を犯したときに少年が16歳以上だったとき(少年法20条2項)に、事件を家庭裁判所から検察官に送致される手続のことをいいます。手続的には、検察官から家庭裁判所へ送られた事件が、再度、家庭裁判所から検察官の元へ送られるわけですから「逆」送と呼ばれています。
逆送されれば、成人と同様の刑事手続に移行します。正式起訴されれば、成人同様、正式裁判を受けなければなりませんし、裁判で有罪となり裁判が確定すれば刑に服さなければなりません。前科も付きます。
さらに、殺人未遂罪は裁判員裁判対象事件(裁判員法2条1項)であることから、逆送されれば、裁判員裁判となることにも留意する必要があります。
したがって、被害者との示談交渉や刑罰ではなく保護処分が妥当であることなどを主張し、逆送を回避するための弁護活動が何よりも重要になってきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
少年事件では、通常の刑事事件とは異なる点も多いため、少年事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談する必要があります。
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