少年事件において選べる弁護士
今回は、特殊詐欺グループの犯行に加担したとして逮捕された少年が選べる弁護士につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
横浜市旭区に住む高校生のA君(16歳)は、インターネットで高収入アルバイトを募集する記事を見つけました。
A君がこれに応募したところ、担当者から、指示された高齢女性の自宅に行き、刑事と称して現金とキャッシュカード、通帳を受領するよう告げられました。
A君は詐欺の片棒を担ぐことになるのではないかと思いましたが、15万円の報酬を提示されたので、引き受けることにしました。
A君が指示通り高齢女性の自宅に行き、刑事を名乗って荷物を受領したところ、神奈川県旭警察署の本物の警察官が突然現れ、詐欺未遂の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
高齢女性は詐欺であることを看破し、あらかじめ警察に相談していたようです。
逮捕されたA君はどうすればよいのでしょうか。(フィクションです)
~A君は今後どうするべきか?~
ケースの事件は、特殊詐欺の典型例といえるでしょう。
A君とは別に、ターゲットへ電話をかけてこれを欺罔し、現金などを騙し取るための段取りを行う者が存在すると考えられます。
欺罔に成功したと考えたら、ターゲットのもとへ受取り役であるA君を行かせて現金などを受け取らせる、という計画になっていたのではないでしょうか。
しかし、ターゲットである高齢女性は詐欺行為を看破し、警察に相談していたので、A君は待ち構えていた警察官に逮捕されてしまいました。
ケースの事件は共犯者の存在、背後で糸を引く組織の存在が見込まれることから、勾留が長期化する可能性が高いでしょう。
身体拘束が長引くと、少年にも悪影響を与えます。
早急に弁護活動を開始しなければなりません。
~捜査段階においてA君が選べる弁護士~
A君が捜査段階において選べる弁護士には、以下の種類があります。
(当番弁護士)
逮捕されてしまった場合に、1回だけ無料で接見にやってくる弁護士です。
ただし、2回目以降の接見、被害者との示談交渉や身柄解放活動などを行うことはできません。
(国選弁護人)
Aくんに勾留決定が出され、資力要件を満たしている場合に、Aくんの請求により国が付する弁護士です。
原則として費用がかからないことが最大のメリットとして挙げられます。
その反面、「あまり事件解決に熱心でない」、「接見に来てくれない」などの不満を聞くこともあります。
(私選弁護人)
国選弁護人と異なり、逮捕直後からでも選任できるので、「勾留を阻止する活動」なども行うことができます。
費用は全て被疑者サイドで負担する必要があります。
報酬についても、弁護士の方から事件解決を見越した額を提示するため、熱心に活動してもらえることが期待できます。
~家庭裁判所に送致された後に検討すべきこと~
捜査段階で国選弁護人が付されていた場合、家裁送致後は国選弁護人選任の効力は失われます(少年法第42条2項)。
家裁送致後に少年の弁護をする弁護士は「付添人」と呼ばれます。
家裁送致後、観護措置をとられ、少年鑑別所に収容されてしまった場合には、「当番付添人」の接見を無料で受けることができますが、一度だけです。
また、「国選付添人」というものがありますが、①少年審判に検察官を関与させる場合、②一定の重大事件で少年につき観護措置がとられている場合、③被害者等に審判傍聴を許す場合にしか付けられません。
①と③の場合は必ず付されますが、②の場合に付されるかどうかは家庭裁判所の裁量によります。
一方で、先述の私選弁護人と同様、少年や保護者が少年のため「私選付添人」を選任することができます。
家裁送致後においても、弁護士の存在は改善更生を目指す少年にとって精神的な支えとなります。
そのメリットを最大限に享受するためには、相性の合う、少年事件に精通した弁護士を選ぶことをおすすめします。
それぞれの弁護人・付添人のメリット、デメリットを考慮しながら、自身に合った弁護士を選びましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が特殊詐欺事件に加担した疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。