少年が住居侵入・窃盗事件を起こし逮捕

2020-09-04

今回は、14歳の男子中学生が友人と共謀し、住居侵入・窃盗事件を起こして逮捕されてしまった場合の手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

京都府宮津市に住む16歳のAくんは、友人ら数名と共謀し、隣町の民家に侵入して現金等を窃取した後、家を出たところで職務質問を受けました。
Aくんが民家に侵入した上で、家の中にあった現金等を窃取したことが発覚したため、Aくんは住居侵入・窃盗の疑いで、京都府宮津警察署の警察官に現行犯逮捕されてしまいました。
Aくんらには他にも同種余罪が4件ほどあり、以前にもひったくり事件を起こして保護観察処分を受けたことがあります。
また、学校にも登校していないようです。
Aくんはどうなってしまうのでしょうか。(フィクションです)

~少年保護事件を解説~

窃盗目的で他人の民家に侵入し、家の中にある物を盗み出した場合、「住居侵入罪(刑法第130条前段)」、「窃盗罪(刑法第235条)」が成立する可能性が高いでしょう。

しかし、よく知られている通り、Aくんの起こした事件は少年保護事件として取り扱われるため、原則として刑罰を受けることはありません。
その代わり、家庭裁判所がAくんの非行事実の有無を確定し、非行事実が認められる場合には、Aくんに対して必要な保護処分を言い渡すことになります。

~少年審判において言い渡される処分~

(保護処分)
保護処分の類型として、①保護観察処分、②児童自立支援施設又は児童養護施設送致、③少年院送致があります(少年法第24条1項各号)。

保護観察処分は、非行のある少年を保護観察所の保護観察に付し、在宅でその更生を目指すものです。
Aくんがひったくり事件を起こした際に受けた保護処分がこれに該当します。

児童自立支援施設とは、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設をいいます(児童福祉法第44条)。
主に、比較的低年齢で非行性の進んでいない少年を対象としています。
したがって、Aくんの年齢及び非行事実の内容を考慮すると、この処分が言い渡される可能性はかなり低いでしょう。

児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設をいいます(児童福祉法第41条)。
これについても、児童養護施設が比較的非行性の進んでいない少年を対象としていることから、Aくんに児童養護施設送致が言い渡される可能性は低いでしょう。

少年院は、少年院送致を言い渡された少年等を収容し、矯正教育その他の必要な処遇を行う施設をいいます(少年院法第3条)。
Aくんは学校に通っておりませんし、以前にもひったくり事件を起こして保護観察処分を言い渡されたにも関わらず、さらに今回の事件を起こしています。
この上、ケースのような事件を起こす仲間が存在していることを考慮すると、少年院送致を言い渡される可能性がかなり高いでしょう。

~Aくんにとって最も有利な事件解決を~

少年院において改善更生を目指すことは、どうしても負担がかかります。
しかしながら、少年院に入って更生を遂げ、これからの生活の方途を改めて定めることも、決してAくんの不利にはならないと思われます。

肝心なのは、Aくんにとって最も有利に事件を解決することです。
Aくんの将来を見据え、非行を繰り返さないようにさせるため、早期に弁護士を依頼し、事件解決を目指していくべきでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が住居侵入・窃盗事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

Copyright(c) 2021 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.