高校生の振り込め詐欺
高校生の振り込め詐欺
~ケース~
兵庫県神戸市須磨区の私立高校に通うAさん(16歳)は、同じ高校の先輩に誘われ、振込め詐欺によって振り込まれたお金を銀行のATMから引き出し、引き出したお金の一部を報酬として受け取るという行為を複数回に渡って行っていた。
その後、振り込め詐欺を行っていた主犯格の者が逮捕されたことによって、Aさんが振り込め詐欺に関与していたことが発覚し、Aさんも詐欺罪の容疑で逮捕されてしまった。
Aさんが逮捕されたことを聞いたAさんの両親は、少年事件に強い弁護士を探し、相談することにした。
(上記の事例はフィクションです)
~振り込め詐欺の出し子について~
振り込め詐欺については、組織的になされることが多く、虚偽の内容の電話などをかけることによって被害者を騙し、金銭を振り込ませる役割の者(いわゆる「かけ子」)と、振り込まれた金銭をATMから引き出すという役割の者(いわゆる「出し子」)が分かれていることがあります。
「出し子」については、直接被害者と接する「受け子」と同様に外に出て行動するのが通常です。そのため、銀行の防犯カメラに顔が映る可能性があり逮捕されるリスクが大きいことから、学生等にアルバイトとして行わせることが多いです。
「かけ子」については、詐欺事件の主犯格として重く処罰される一方で、出し子の場合は詐欺事件の全容を把握せずに参加している場合も多く、主犯格と比べると量刑が軽くなる傾向にあるといえます。
~出し子に成立する犯罪について~
先述のとおり、「出し子」であるAさんが行ったのは、キャッシュカードを用いてATMからお金を引き出したというものです。
そうすると、Aさんは虚偽の電話をかけるなどして被害者を騙す行為を行ったわけでも、被害者から直接財物(主にお金)の交付を受けたわけでもないため、Aさんの行為単体で詐欺罪が成立するわけではありません。
ですが、共犯事件においては、共犯者各人の役割は一部でも全員で一つの犯罪を行ったものとみなされます。
そのため、振り込め詐欺に加わった以上、Aさんにも詐欺罪が成立する可能性があるのです。
また、Aさんがお金を引き出しているのは他人の銀行口座であることから、本来はAさんにお金を引き出す権利がないといえます。、そうすると、銀行が管理する金銭を許可なく持ち去る行為といえることから、窃盗罪が成立する可能性があります。
振り込め詐欺の出し子が詐欺罪と窃盗罪のどちらで責任を問われるかは、役割の内容や行為時の内心などの具体的な事情により異なってきます。
以上に加えて、Aさんは振り込め詐欺によって振り込まれた金銭を引き出すために銀行に立ち入っています。仮に銀行側がAさんの立入りの意図を知っていれば、当然ながらAさんの入店を拒否していたと考えられます。そうすると、Aさんは正当な理由なく銀行に侵入したとして、建造物侵入罪が成立する可能性もあります。
成年による刑事事件の場合、振り込め詐欺における「出し子」の量刑については、初犯であるかどうか、被害額の大きさ、示談が成立しているか否か、詐欺グループとの関与の程度などを総合的に判断して決定されます。
振り込め詐欺によって振り込まれた金銭であることを知らなかった場合には無罪の可能性もあります。有罪判決となるとしても詐欺の実態を詳しく知らなった場合や、初犯であって被害額がそれほど大きくないといえる場合には、執行猶予付き判決となる可能性もあります。
一方で、罪を犯したのが少年(20歳未満の者)であれば、成年者が裁判を経て処罰されるのと異なり、少年審判にかけられ、少年の更生のためにどのような処分が適切かが判断されることになります。
そうした少年事件の場合、少年院への送致が更生のために適切であると判断された場合には、少年院送致という処分がなされることになります。
少年の家族の中には、子供を少年院に入れたくないと希望する方も多くいらっしゃいます。そのために弁護士としては、少年院に入れるよりも、家庭での生活が少年の更生のために必要であることを裁判官に説得することになります。
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