公務執行妨害罪,業務妨害罪

公務執行妨害罪の法定刑は,3年以下の懲役もしくは禁錮または50万以下の罰金です(刑法第95条1項)。
 
業務妨害罪の法定刑は,3年以下の懲役または50万円以下の罰金です(刑法第233条,234条)。
 

公務執行妨害罪・業務妨害罪の解説

1 公務執行妨害罪の解説

公務執行妨害罪が成立するためには,「公務員が職務を執行するにあたり,これに対して暴行又は脅迫を加える」ことが必要となります。
  
公務執行妨害罪における「暴行」とは,公務員に向けられた有形力の行使であればよく,公務員の身体に対し直接向けられる必要はなく,間接的に当該公務員に物理的・心理的に影響を与えるようなもの(間接暴行)でも構いません。

したがって,たとえば逮捕現場で警察官が押収した覚せい剤注射液入りアンプルを足で踏みつけて破壊する行為も公務執行妨害罪における「暴行」に当たることになります。
 
「暴行」の程度としては,公務員の職務の執行を妨害するに足りる程度のものでなければなりません。
  
平成18年度から3年以下の懲役刑又は禁錮刑のみが定められた旧法が改正されて罰金刑も設けられました。
これは,これまで不起訴で済ませてきた事案を罰金刑にするという意味で厳罰化の流れの一つと考えることができます。
 

2 業務妨害罪の解説

業務妨害の方法として刑法は,「虚偽の風説を流布し,または偽計を用いて」行う場合と「威力を用いて」行う場合を定めています。

両者の区別は,行為の態様又は結果のいずれかが公然・誇示的,可視的であれば「威力」であり,これらが非公然・隠密的,不可視的であれば「偽計」であるとの基準により判断されていますが,法定刑に差はありません。
 

少年による公務執行妨害事件・業務妨害事件の対応方法

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず,公務執行妨害,業務妨害の容疑を掛けられてしまった場合,弁護士を通じて,警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して,審判不開始又は不処分を獲得する余地があります。

アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することで,公務執行妨害,業務妨害を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

公務執行妨害,業務妨害で警察に検挙・逮捕された少年の方は,本人の性格,不安や諦めの気持ち,友人・知人を庇うなど様々な原因から自分の主張を貫くことが困難になります。
弁護士が,少年本人と接見(面会)して言い分を丁寧に聞き取ってあげることで,公務執行妨害,業務妨害の詳細を把握し,少年本人の主張が通るように警察・検察などの捜査機関や家庭裁判所に働きかけていきます。

また,弁護士との接見(面会)によって少年を安心させ,支えてあげることで,少年の虚偽の自白を防いで真の更生につなげることが可能になります
 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪,示談をする
被害者感情が重要視される昨今,少年による業務妨害事件においても,被害者の方と示談することは,重要な弁護活動です。警察に被害届が提出される前であれば,被害届の提出を阻止し,警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。

警察に被害届が提出されてしまった後であっても,少年による業務妨害事件においては,示談をすることによって,審判不開始や不処分,保護観察処分を獲得する可能性を高めることができます。

少年による業務妨害事件では,被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が少年の処分に大きく影響することになるので,弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。
また,示談をすることで少年が釈放される可能性もありますので,示談によって少年の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます。

  
⑵ 環境を整える
暴走族や地元の不良仲間との交遊関係が非行の背景にある場合は,交遊関係の見直しを含めた生活環境の改善が必要となります。
生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠となることから,ご家族には日常生活の中で本人を監督してもらうことになります。
 

3 身柄拘束からの早期解放活動

少年が公務執行妨害・業務妨害事件で逮捕されても,適切な取り調べ対応と弁護活動によって留置場や鑑別所に入れられずに済む可能性があります。

公務執行妨害・業務妨害事件で逮捕された少年が早く留置場から出て鑑別所に行かずに済むためには,逮捕の後に勾留されないこと又は家庭裁判所による観護措置を回避することが大切です。

少年の勾留や観護措置を避けるためには,逮捕後の早い段階で,弁護士と面会して取り調べ対応を協議し,身元引受人の協力を得ることが大切です。
その上で,弁護士から検察官や裁判官に対して,少年の反省と二度と公務執行妨害・業務妨害事件を起こさない旨を主張し,釈放してもらうよう働きかけます。

 

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