覚せい剤

覚せい剤の自己使用の法定刑は,10年以下の懲役です。ただし,営利目的がある場合には,1年以上の懲役。情状により500万円以下の罰金が併科されます。
 
覚せい剤所持の法定刑は,10年以下の懲役です。ただし,営利目的がある場合には,1年以上の懲役。
情状により500万円以下の罰金が併科されます。
 
覚せい剤譲渡の法定刑は,10年以下の懲役です。
ただし,営利目的がある場合には,1年以上の懲役。情状により500万円以下の罰金が併科されます。
 

覚せい剤事件の解説

覚せい剤事件を含む少年による薬物犯罪は,近年減少傾向にあります。
覚せい剤取締法違反の送致人員も,昭和57年(2,750人)と平成9年(1,596人)をピークとする波が見られましたが,平成10年以降は減少傾向にあります。
平成25年度における送致人員は,123人に止まります。

もっとも,薬物に対する認識の甘さから,少年が,覚せい剤のことを「エス」・「スピード」と呼ぶなど,ファッション感覚で使用したり,安易に覚せい剤,大麻や錠剤型麻薬等に手を出しています。
 
覚せい剤や麻薬などの薬物犯罪で検挙された被疑者や犯人は,逮捕・勾留されるケースがほとんどとなります。
 
覚せい剤事件を使用罪として立件するには,採尿の手続きが採られます。

覚せい剤摂取後30分程度から,覚せい剤を初めて使用した場合は4日後まで,乱用者の場合は1週間から10日間後までが,それぞれ尿検査で一般的に検出可能な期間とされています。
 

少年による覚せい剤事件の対応方法

1 無罪を主張する場合

子供が,身に覚えのない覚せい剤事件の容疑をかけられて警察から逮捕又は取り調べを受けた場合,できるだけ早期に,覚せい剤事件の取調べ対応について,弁護士からアドバイスをもらうことが肝心です。

また,覚せい剤取締法違反事件においては,犯行当時に違法な薬物であることの認識(故意)があったのかどうかが重要なポイントになることから,覚せい剤や麻薬など薬物の存在自体に気づいていなかったこと,違法薬物とは思わなかったことなどを客観的な証拠に基づいて主張することで,審判不開始や不処分となる可能性があります。

少年による覚せい剤事件で無実・無罪を争うためには,付添人である弁護士を通じて,警察や検察などの捜査機関又は家庭裁判所に対して,関係者の供述を争い,警察や検察庁などの捜査機関が十分な証拠を持っていないことを主張する等して,子供が処罰されないように審判不開始又は不処分を求めていくことが有効です。

また,弁護士を通じて,アリバイや真犯人の存在を示す証拠を探す活動も重要です。
 

2 罪を認める場合

少年による覚せい剤事件の成立に争いがない場合,「再び覚せい剤に手を出さない」ということをどれだけ説得的に裁判官に主張できるかが鍵となります。 裁判官に信用してもらうためには,次の5点に留意する必要があります。
  
⑴ 薬物に対する正しい知識を取得する
薬物犯罪に手を染めてしまった少年が更生するための第一歩は,少年自身が薬物に対する正しい知識を持ち,薬物の危険性を十分に理解することです。
  
⑵ 覚せい剤の入手ルートを包み隠さず話す
覚せい剤使用者のなかには,入手ルートについて言葉を濁す人もいます。
しかし,入手ルートについてあいまいな供述をしていると,裁判官に,「覚せい剤にまだ未練があるのではないか?」と思われてしまいます。

薬物と完全に縁を切るためには,入手ルートについて知っていることを洗いざらい話し,身近に薬物がある環境と決別することが必要です。
  
⑶ 環境を整える
暴力団等の一員として,営利目的で薬物を所持していた場合は,組織と完全に縁を切ることが必要不可欠です。
そのためには,組織について知っていることは全て話し,進んで捜査に協力すべきです。

また,携帯電話やインターネットのプロバイダは全て解約し,組織と連絡が取れない状態にしてもらいます。
暴力団員であれば,脱会届,破門状などを裁判の証拠として提出することもあります。
  
⑷ 第三者の援助を受ける
薬物犯罪は,他の犯罪に比べて,再犯率が格段に高いことが特徴です。

依存症になってしまうと,自分の力だけで立ち直るのは困難です。
回復支援施設(ダルク等)への入所,専門医による治療,自助グループへの参加などを積極的に検討した方がよいでしょう。
  
⑸ 家族にサポートしてもらう
薬物への依存から立ち直るためにはご家族の支援も不可欠です。
ご家族の方にも薬物関連の勉強会などに参加してもらい,薬物の恐ろしさや適切な対処法を知ってもらう必要があります。

薬物へ走る人のなかには,仕事や家庭などに問題を抱え,大きなストレスに曝されている方も少なくありません。
ご家族の方には,最も身近な人間として,ご本人の環境改善を継続的にサポートしてもらいます。
 

3 身柄拘束からの早期解放活動

少年が覚せい剤事件で逮捕されても,適切な取り調べ対応と弁護活動によって留置場や鑑別所に入れられずに済む可能性があります。

覚せい剤事件で逮捕された少年が早く留置場から出て鑑別所に行かずに済むためには,逮捕の後に勾留されないこと又は家庭裁判所による観護措置を回避することが大切です。

少年の勾留や観護措置を避けるためには,逮捕後の早い段階で,弁護士と面会して取り調べ対応を協議し,身元引受人の協力を得ることが大切です。
その上で,弁護士から検察官や裁判官に対して,少年の反省と二度と覚せい剤事件を起こさない旨を主張し,釈放してもらうよう働きかけます。

 

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