学校を退学にならないか不安

1 学校に事件のことを報告するか否か

現在の学校が事件を把握したうえで少年を受け入れる環境が整っているとすれば,このような事情は少年の更生を考えるうえでも有利な事情であることから,積極的に学校側への働きかけを行うことが考えられます。 一方で,学校に事件のことが発覚してしまうと,学校の評判を気にして直ちに退学させるなど,少年の更生を考えるうえで障害となる事態を生じさせることも少なくありません。そこで,事件について学校に報告するか否かの判断は非常に難しく、個別具体的な事情から少年及び親御さんと協議のうえ,今後の学校対応は決定していくことになります。  

2 学校に事件を知られないためには

⑴ 学校に事件の情報が伝わる方法

少年や保護者が直接学校側に事件のことを報告する場合を除いて,事件のことが学校に伝わる方法としては、①警察からの連絡(学校・警察相互連絡制度)と,②調査官からの連絡の2つが考えられます。    

⑵ 警察からの連絡(学校・警察相互連絡制度)に対する対応

都道府県の警察本部と教育委員会が協定を結び、警察と学校が連絡を取り合う制度が2002年ごろから、順次全国各地で実施されるようになりました。 この制度により,少年や保護者が知らないうちに,警察から学校に連絡が入り,学校に事件のことを知られるという事態が生じる可能性があります。  しかし,このような制度が導入された後であっても,警察は,必ずしもすべての事件について自動的に学校に連絡しているわけではないため,弁護士としては,学校への連絡を避けるべき事情がある場合や連絡に際し配慮が必要な場合は,警察にその旨申入れを行い,相互連絡制度による学校への連絡をしないように働きかけます。    

⑶ 調査官からの連絡に対する対応

警察が学校への通報を控えた場合には,裁判所もそれに応じるのが一般的でありますが,再度,弁護士の方から学校への連絡を避けるべき事情や連絡に際し配慮が必要な事情を調査官に伝え,学校への連絡をしないよう働きかけます。  

3 学校に事件のことが発覚している場合

⑴ 現在の学校に対する対応

学校が既に事件のことを把握している場合、弁護士が校長や担任と面談し、少年を学校で積極的に受け入れてくれるよう要請することが考えられます。 少年事件・少年犯罪の手続きや理念について説明したり、少年が更生に向けて努力していること、少年が成長した点などを報告することによって、学校側の少年に対する見方が変化し、積極的に受け入れてくれるようになることもあります。 学校側の協力が求められる場合には,校長や担任に受け入れる旨の上申書を書いてもらうなどし,裁判所に提出することもあります。 現在の学校が事件を把握したうえで少年を受け入れる環境が整っていることは,少年の更生を考えるうえでも有利な事情であることから,積極的に学校側への働きかけを行っていきます。    

⑵ 転入先の確保に関する対応

残念ながら現在の学校を退学しなければならない場合には,通信制の学校を主として,少年の性格等を考慮し,少年にあった学校で,転入できる可能性が高い学校をアドバイスさせていただきます。 転入先の学校について,最終的に決定して頂くのは保護者の方にお任せしていますが,学校を決める際の指針については私どもからも示させていただきます。

 

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