少年審判の試験観察

2021-03-18

少年審判の試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所埼玉支部が解説します。

かつて、万引きを犯し、少年審判で保護観察の保護処分を受け保護観察中だったA君(16歳)は,またしてもコンビニで万引きして店員に見つかってしまいました。そして、A君の事件は家庭裁判所に送られ、少年審判で「試験観察」の決定を受けました。A君とA君の母親は少年院だけは行きたくないと思い、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~少年(20歳未満の者)に対する処分~

万引きは窃盗罪(刑法235条)に当たります。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められています。しかし、原則として、少年にこの刑罰(懲役、罰金)が科されることはありません。精神的にも身体的にも未熟な少年に対しては、その行為に対する制裁を科すよりも、少年の更生を期待し、それ相応の処分を科した方が、少年のためでもあり社会のためでもあると考えられているからです。

では、少年に対してはどのような処分が下されるのでしょうか?
少年に対する処分は、

・不処分
→非行事実が認められない場合、保護処分が必要のない場合の処分

・保護処分
→非行事実が認められることを前提に、少年を更生させるための処分。保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致,少年院送致の3種類があります。

・検察官送致
→保護処分よりも刑罰を科するのが相当と判断される場合に、事件が検察官に送致される処分。なお、事件が家庭裁判所に送致された後に年齢が20歳に達した場合は必ず、少年が故意に被害者を死亡させ,その罪を犯したとき16歳以上であった場合には,原則として,送致されます。

~少年審判のおける試験観察とは~

試験観察とは「保護処分」を決定するために必要があると認めるときに,決定をもって,相当の期間,少年を調査官の観察に付するというもので,少年に対する終局処分を一定期間留保し,その期間の少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
試験観察は,保護観察中に再非行を犯したような場合など,保護観察所・保護司による指導・監督・教育制度だけでは処遇として不十分と認められる場合などに行われるようです。
なお,試験観察はあくまで中間処分に過ぎないので,試験観察が終わってもそれで終了というわけではなく,最終的には試験観察の経過を見て終局処分(保護処分等)が決定されます。

試験観察の種類は2種類あります。一つは在宅試験観察と呼ばれるもの、もう一つは補導委託と呼ばれるものです。 
在宅試験観察の場合、少年審判の日に「釈放」され、自宅等へ戻ることができます。その後は、日記などを付けたり、定期的に家庭裁判所に出頭して調査官と面札するなどして、最終的に終局処分が下されます。
他方、補導委託の場合、少年審判の日に自宅へ戻ることはできません。つまり、補導委託先(農家やお寺など)へ身柄を移され、そこでの生活を経た後、最終的に終局処分が下されます。

試験観察が予想される場合は、まずは、在宅試験観察を求めていきます。そのためにも、早い段階から少年に更生を促し、在宅でも更生できる環境を整えておく必要があります。試験観察となった場合は、定期的に少年や保護者と面談するなどして、不処分や保護観察などの軽い処分を獲得できるよう努めます。

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