万引き事件と国選弁護人、国選付添人

2019-08-13

万引き事件と国選弁護人、国選付添人

大阪府大阪市大正区に住む高校生のA君(16歳)は、区内にある本屋で漫画本6点を万引きしたとして警備員に現行犯逮捕され、その後身柄を大阪府大正警察署の警察官に引き渡されました。その後、A君は釈放されることなく勾留され、大正警察署の留置施設に収容されています。
(フィクション)

~ はじめに ~

万引きは刑法235条の窃盗罪に当たる立派な犯罪です。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

少年(20歳未満の者)に対しては、その少年の性格の矯正、更生が優先されるため、少年に刑罰が科されることは原則としてありません。しかし、身柄拘束については成人と異なるところはありません。条件がそろえば逮捕されたり、勾留されることは十分考えられます。

当然ながら、逮捕勾留による身柄拘束は、肉体的にも精神的にも大きな負担となるものです。特に、精神的に未熟な少年にとってはなおさらでしょう。そこで、少年事件では、少しでもその負担を軽減すべく、弁護士が大きな役割を果たすと思われます。

~ 捜査段階(逮捕から勾留)までにおける国選弁護人 ~

国選弁護人とは、主に被疑者・被告人の申立てを受け、国が弁護士の中から選任する弁護人のことを指します。
捜査段階では、成人(20歳以上の者)と少年とで選任の要件が異なるわけではありません。つまり、成人事件の場合も、少年事件の場合も、

・被疑者に勾留状が発せられ
・被疑者が困窮その他の事由により弁護人を選任することができず
・被疑者の請求があるとき

には、国選弁護人が選任されます。

* 国選弁護人は逮捕段階では選任されない *

逮捕後の刑事手続としては「逮捕勾留」という手続で進んでいきますが、国選弁護人勾留(勾留状発付)後でなければ選任されません。つまり、勾留前の逮捕期間である2~3日国選弁護人に頼ることができません。したがって、逮捕段階での接見、早めの弁護活動などをお望みの場合は、当番弁護士制度を利用するか、私選の弁護人を選任する必要があります。

~ 家裁送致後の国選付添人 ~

家庭裁判所送致後、少年のために弁護活動をしてくれる人のことを「付添人」といいます。付添人も「私選」の場合と「国選」の場合の2種類があります。
「私選」の場合、少年及び保護者が、いつでも選任することができます。選任する場合は、「付添人選任届(少年と弁護士との連署によるもの)」という届出書を家庭裁判所へ提出する必要があります。

「国選」の場合、裁量的国選付添人と必要的国選付添人とがあります。
「裁量的国選付添人」は、

・死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮に当たる罪(以下、対象事件という)に該当する非行に及んだこと
・観護措置が取られていること
・少年に付添人がいないこと
・事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認められること

の事由が認められる場合に選任されることができるとされている付添人です。
この点、窃盗罪は、法定刑が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですから、「長期3年を超える懲役に当たる罪」に当たります。そこで、その他の要件を満たせば国選付添人が選任される可能性があります。
「必要的国選付添人」は、ある一定の重大事件について選任される国選付添人です。単純な万引き程度であれば選任される可能性はないでしょう。

「国選」の場合、家庭裁判所から法テラスに国選付添人の指名通知を依頼します。依頼を受けた法テラスは、契約弁護士に国選付添人の打診を行い、弁護士が承諾すればこの弁護士を候補者として裁判所へ通知します。少年や保護者の中には、「家裁送致後、国選弁護人だった弁護士に引き続き国選付添人として選任したい、頼みたい」と思われる方も多いと思われます。
そういった場合は、家裁送致前から国選弁護人に「付添人としてもお願いしたい」旨の意思を明確に伝え、その弁護士から裁判所や法テラスに「家裁送致後も引き続き付添人として担当する」旨伝えてもらうことで、家裁送致後も付添人として弁護活動を担当してくれる運用がなされているようです。

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