恐喝未遂で観護措置回避
恐喝未遂で観護措置回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
東京都内の高校に通うA君(17歳)は別の高校に通うV君(16歳)を電話でしばかれたいんか。金払うんか。どっちか選べ。」などと脅しました。しかし、Vさんはお金を払わず、警察に相談したところ、A君は恐喝未遂で逮捕されました。
(フィクションです。)
~恐喝未遂~
まず、A君の行為は恐喝未遂罪に該当する可能性があります。
恐喝罪は、①「恐喝行為」があって、②被害者が怖い思い(畏怖)をし、③その怖い思いに基づく処分行為(例えば、お金を渡すなど)があって、④そのお金が行為者に渡るという一連の因果関係があってはじめて成立する犯罪です。
①「恐喝行為」とは、財物又は財産上の利益を供与させる手段として、人を畏怖させるような「暴行・脅迫」を言い、その「暴行・脅迫」は、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度のものでなければならないとされています。
一般に、恐喝行為は、「脅迫」、すなわち人を畏怖させるような害悪の告知として行われ、Aの行為もこれに該当する可能性があります。また、Aはお金を受け取ってはいませんが、恐喝罪の場合、①「恐喝行為」を開始した時点で未遂罪が成立しますので、Aは恐喝未遂罪で刑事責任を問われる可能性があります。
~少年鑑別所と釈放について~
恐喝未遂で逮捕された場合、被疑者の方(少年)はその後どのような手続きを取られるのでしょうか。
この点、少年法42条には「検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、…これを家庭裁判所に送致しなければならない。」と規定されています。少年事件では、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思慮するときは、事件が家庭裁判所に引き継がれる(送致される)ことになるのです。
そして、逮捕・勾留されている少年事件については、観護措置(少年鑑別所に収容する措置)が取られる可能性があります。つまり、A君の身柄は留置場から少年鑑別所に移される可能性があります。よって,A君の釈放を求める場合、Aさんの万引き事件が家庭裁判所に送致される前か同時期に、家庭裁判所に対して意見書等を提出するなどする必要があります。
家庭裁判所送致後の少年鑑別所における収容期間は、はじめ裁判所に万引き事件の送致があった日から2週間で、特に継続の必要があるときは1回に限り更新することができます(また,特別事由がある場合は,さらに2回の更新が認められています)。
仮に,意見書等を提出してもAさんが釈放されなかった場合は,さらに異議申立てにより釈放を求めていくことが可能です。
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