高校生の強制わいせつ事件
高校生の強制わいせつ事件
~ケース~
埼玉県鴻巣市に住むAくん(16歳)は、同級生の女子生徒Vを同じく同級生のA2宅に誘い、A2宅でテレビゲームをする等して遊んでいました。
Vがトイレに行っている間に、AくんはA2と共謀し、Vにわいせつな行為を行うことを企図しました。
Vが部屋に帰ってくると、AくんとA2はVをソファーに押し倒し、陰部を直接弄ぶなどし、わいせつな行為を行いました。
後日、Aくんの自宅に埼玉県鴻巣警察署の警察官が現れ、「先日A2宅で起きたことについて聞きたいことがある」と言われました。(フィクションです)
~強制わいせつ罪と強制性交等罪の未遂について解説~
AくんとA2が共謀して行った行為は、「強制わいせつ罪」(刑法第176条)、場合によっては、「強制性交等罪」(刑法第177条)の未遂として扱われる可能性があります。
A2宅で起きたケースの事件が刑事事件化した理由として、帰宅したVが親に相談した、あるいは自ら警察に相談した、ということが考えられます。
その場では何も起きなかったとしても、後日被害届や告訴状を提出されることにより、刑事事件化することは珍しくありません。
(強制わいせつ罪について)
「強制わいせつ罪」は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、または、13歳未満の者にわいせつな行為をする犯罪です。
「暴行」とは、身体に対する不法な有形力の行使をいい、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行であれば足ります。
AくんとA2が行った、Vをソファーに押し倒す行為は、上記の「暴行」に該当すると考えられます。
また、「わいせつな行為」の具体例として、陰部に手を触れたり、手指で弄んだり、自己の陰部を押し当てることや、女性の乳房を弄ぶことをいいます。
ケースにおける「陰部を直接弄ぶ」行為は、「わいせつな行為」の典型例ということができるでしょう。
Aくんは、A2と共謀して、暴行を用い、Vにわいせつな行為を行ったということができるので、Aくんに強制わいせつ罪が成立する、と判断される可能性が極めて高いでしょう。
(強制性交等未遂罪について)
AくんとA2の犯行は、Vと強制的に性交しようとしたが、何らかの理由で性交する前に止めた、という見方もできなくはありません。
この場合は、強制性交等罪の未遂の成否が検討されることになります。
強制性交等罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をし、又は、13歳未満の者に対し、性交、肛門性交又は口腔性交を行う犯罪です。
かつては、「強姦罪」と呼称されていた犯罪類型です。
もし、AくんとA2が、Vと強制的に性交することを目的としてVをソファーに倒したのであれば、強制性交等未遂罪が成立する余地が出てくる、ということになります。
~取調べにはどう対応すればよいか?~
取調べにおけるAくんとA2の供述は、Vと強制的に性交する目的の有無を左右する重要な証拠になります。
取調べで「Vを押し倒したとき、Vと性交することも少しは考えた」旨の調書がとられると、強制性交等未遂罪の疑いで捜査が進む可能性が高まります。
そうなると、強制わいせつ罪よりも強制性交等未遂罪の方が重大な犯罪と言えるため、より重い処分が下されるおそれがあります。
取調べに先立ち、Aくんの認識を前提に、どのように供述すればAくんにとって不利にならずに済むかについて、弁護士から助言を受けることをおすすめします。
~Aくんらはどうなるか?~
Aくんらは20歳未満の者なので、少年事件として手続が進むことが見込まれます。
最終的に、事件が家庭裁判所に送致され、審判を受けることになる可能性が高いでしょう。
審判では、Aくんに認められる犯罪傾向、家庭環境を考慮し、少年院送致、保護観察処分などの処分が言い渡されます。
少年院送致を言い渡されると、施設に収容され、特別の場合以外は外出できませんので、Aくんやその家族にとっても、負担の重い処分となります。
Aくんの学業、進路に対しても、悪影響をもたらす可能性が懸念されます。
一方、在宅で改善更正を図る保護観察処分ですめば、Aくんの将来への悪影響が最小限で済みます。
そのためには、ケースの事件につき、Aくんに真摯な反省を促し、性に対する認識を改めさせると同時に、Aくんの交友関係や家庭環境などを見直す必要があります。
弁護士の助言を受けながら、環境調整を行っていきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が強制わいせつ事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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