(事例紹介)プリクラの筐体を器物損壊させた少年の逮捕
(事例紹介)プリクラの筐体を器物損壊させた少年の逮捕
器物損壊罪と審判不開始について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
・参考事例
18日、宮城県石巻市内の商業施設でプリクラの壁に肘打ちして壊したとして○○に住む18歳の漁師の少年が逮捕されました。
器物損壊の疑いで逮捕されたのは、○○に住む18歳の漁師の少年です。
警察によりますと、この漁師の少年は、18日午後4時半頃、石巻市内の商業施設でプリクラの機械に肘打ちして壁をへこませ壊した疑いが持たれています。
従業員の通報でかけつけた警察が、防犯カメラの映像や目撃者の証言などをもとにこの少年の犯行と特定し、商業施設の中にいた少年を見つけ逮捕しました。
当時、複数人のグループで遊んでいたということです。
取り調べに対し少年は、「プリクラの壁をへこませた」などと供述し容疑を認めているということです。
(TBC東北放送 2月19日(木) 7時29分配信 「「肘打ちでプリクラの壁へこませた」漁師の18歳少年を逮捕 宮城・石巻市」より引用。○○については弊所で加筆。)
・器物損壊罪
(以下は、報道事例についての解説です。)
参考事例は器物損壊罪の嫌疑がかけられている事件です。
器物損壊罪の条文は下記のとおりです。
刑法261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
前3条とは公用文書等毀棄罪(刑法258条)、私用文書等毀棄罪(刑法259条)、建造物等損壊罪及び建造物等損壊致死傷罪(刑法260条)を指します。
これらに該当しない、他人の物を損壊等した場合に適用されるのが刑法261条の器物損壊罪です。
・少年の器物損壊事件
(以下は、少年事件の手続きについての解説です。)
成人が器物損壊罪で起訴された場合、3年以下の懲役、30万円以下の罰金、科料のいずれかの法定刑が適用されますが、20歳未満(19歳以下)の少年が事件を起こした場合は少年事件として扱われ、原則として少年法の定める保護処分が課せられます。
家庭裁判所は少年に対し、家族の指導・監督が可能かどうか(保護処分を課す必要がある少年かどうか)の調査を行ったうえで、適切な保護処分を決めるための少年審判を開くことになります。
しかし少年審判は必ずしも開かれるわけではありません。
それは「審判不開始」と呼ばれ、少年法に以下のとおり定められています。
少年法第19条1項 家庭裁判所は、調査の結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければならない。
「審判に付することができず」とは「審判条件の不存在」「非行事実が存在する蓋然性(≒可能性)がない」「所在不明等」の場合で、「審判に付するのが相当でないと認めるとき」とは「事案が軽微である」「少年に反省の態度が見られ、保護者の指導・監督に服することで更生可能性が認められる」場合等を指します。
そのため、家庭裁判所に対して少年が反省していることや、更生のための環境が整っていることを主張することで、少年審判の回避を目指すことも可能です。
審判不開始を目指すということは、単に「軽い処分を目指す」という目的ではなく、お子さんの内省を深めたり保護者の方に指導を行うことであり、お子さんの将来のための指導を行うことができという「結果」です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、少年事件の弁護活動・付添人活動の経験が豊富です。
当事務所では、お子さんが逮捕・勾留されている場合に弁護士が留置施設に直接伺ってお話を聞く初回接見サービス(有料)を実施しています。
また、お子さんが在宅で捜査・調査を受けている場合は無料相談を受けることができます。
お子さんが器物損壊事件などを起こして少年事件の弁護活動・付添人活動の経験が豊富な弁護士に相談・依頼したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
審判不開始の可能性や審判不開始に向けた弁護活動・付添人活動について丁寧にご説明致します。