強盗・強制性交等罪と少年院回避

2022-02-25

強盗・強制性交等罪と少年院回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

高校生のAさんは京都市上京区のVさん宅に侵入し、その場にいたVさんに対し包丁を突きつけ、「静かにしろ」と脅迫し、抵抗できなくなったVさんに馬乗りになり性交しました。
さらにAさんは、Vさんが抵抗できなくなっている状態だったことからVさんに「金を出せ」などと脅迫し、Vさんから現金を奪い、逃走しました。
後日、Aさんは自宅にきた京都府上京警察署の警察官に、住居侵入罪と強盗・強制性交等罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの両親はAさんが住居侵入罪と強盗・強制性交等罪は重い罪なので少年院に入ることになるのではないかと考え、少年事件に強い弁護士に相談に行くことにしました。
(フィクションです)

~刑法改正について~

平成29年に刑法の改正が行われました。
改正前は、強盗行為と強姦行為の行われた順序により、法定刑が違いました。
しかし、同じ機会に強盗と強姦という単独でも悪質な行為が行われた場合、その順序の違いで法定刑に差が出るのは合理的ではないとされ、刑法が改正されました。
改正後は、同一の機会に、強盗と強制性交等罪(強姦を含む。)の行為が行われた場合につき、その行為の先後関係を問わず、強盗・強制性交等罪が成立するようになりました。
参考:刑法改正前
・強盗犯人が強姦行為を行なった場合…無期懲役または7年以上の有期懲役
・強姦犯人が強盗行為を行なった場合…5年以上30年以下の有期懲役

~強盗・強制性交等罪について~

では、刑法改正後の強盗・強制性交等罪についてみていきましょう。

刑法第241条1項
強盗の罪もしくはその未遂罪を犯した者が、強制性交等の罪(第179条第2項の罪を除く。以下この項においておなじ。)もしくはその未遂罪をも犯したとき、または強制性交等の罪もしくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪もしくはその未遂罪をも犯したときは、無期または7年以上の懲役に処する。

条文はこのようになっていますので、詳しくみていきましょう。
①強盗の罪もしくはその未遂罪を犯した者が(事後強盗罪、昏睡強盗罪を含む)、強制性交等の罪もしくはその未遂罪をも犯すこと。(「をも」というのは同一の機会にということです。)
②強制性交等の罪もしくはその未遂罪を犯した者(準強制性交等罪含む)が、強盗の罪もしくはその未遂罪をも犯すこと。
※第179条第2項(監護者性交等罪)については除くとされています。
これは、監護者が強盗行為に及ぶことが想定されていないためです。

~少年院に入らないようにしたい~

少年が少年院に入らないようにするためには、
①少年審判が開かれないようにする
②少年審判が開かれたとしても不処分又は保護観察などの少年院送致以外の保護処分を得る
のどれかが必要になります。
①少年審判が開かれない処分のことを審判不開始といいますが、これが認められるには、事案が軽微であることや、別件による保護観察等が行われており新たな措置を加える必要性がないこと、などが必要です。
②少年院送致以外の処分を獲得するためには、家庭裁判所の裁判官に対して、処分として少年院送致は適さないことを主張する必要があります。
つまり審判までの期間で、できる限り少年の内省を深め、少年を取り巻く環境を調整するとともに、少年事件に強い弁護士が調査官や裁判官と協議を行います。
そして少年にとって少年院送致以外の保護処分などがよいことを裁判所に対して主張し、少年院送致を回避する活動を行っていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
強盗・強制性交等罪でご自身やご家族が話を聞かれることになった、逮捕された方は、少年院に入ることになるのではと心配な方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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