【少年による傷害事件】外国人少年が逮捕されてしまった場合の弁護活動

2021-10-14

少年が傷害事件で逮捕されてしまったケースを題材に、外国人少年事件の弁護活動などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例:少年Aは、日用品を買うために入店したコンビニエンスストアにおいて、店員Vとトラブルとなった。
少年Aは、Vともみ合いになった後、Vを投げ飛ばすなどしてVに怪我を負わせた。
警察官は、少年Aを傷害の疑いで逮捕した。
なお、少年Aは外国人(外国籍)であった。
少年Aの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~暴行罪と傷害罪~

本件において、少年AはVに対する傷害の容疑で逮捕されています。
刑法204条は「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と、傷害罪について定めています。
また208条は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と、暴行罪についての定めを置いています。
両条を見ると法定刑の重さや「傷害」結果が生じていることからも、当然のことながら傷害罪の方が重い罪だということが確認できます。
本件では、少年Aの暴行によってVに傷害の結果が生じてしまったことは明らかであり、上記204条の要件それ自体は満たしています。
もっとも、刑法38条1項本文は「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」といわゆる故意犯処罰を原則とする規定を置いています。
つまり、犯罪が成立するためには犯罪を行った者に「罪を犯す意思」(故意)があることが前提となるのです(ここでは、209条以下の過失傷害の罪に関しては触れないこととします)。

では、仮に本件で少年Aに暴行罪(上記208条)の故意はあるが、傷害罪(上記204条)までの故意はなかった場合にも傷害罪は成立するのでしょうか。
上述した208条を再度引用すると、同条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に暴行罪が成立するとしています。
これは、判例通説上、暴行から「傷害」結果が発生した場合には、暴行罪の結果的加重犯としての傷害罪が成立する旨の規定であると解されています。
結果的加重犯とは、ある基本的な犯罪から意図しないより重い結果が発生した場合に成立する罪のことをいいます。
つまり、暴行罪の故意しか有していない場合でも、暴行により「傷害」結果を生じさせてしまった場合には傷害罪が成立することになります。
したがって、本件でも仮に少年Aが暴行の故意しか有していないとしても、Vに怪我を負わせてしまった以上は傷害罪(204条)が成立することに注意が必要です(なお、本件のような態様の暴行行為であれば、通常は傷害の故意まで認められるものと思われます)。

~外国人少年事件における弁護活動~

本件で逮捕されてしまった少年は、日本国籍を有しない外国籍の外国人です。
令和2年版犯罪白書によると、令和元年(統計上2019年と同義)の刑法犯検挙人員総数における外国人の割合は5パーセント程度となっています。
この中には、成人の外国人のみならず、外国人による少年事件も含まれることになります。
弁護士は、少年を含め逮捕された者と接見(面会)を行う特権を有しています(刑事訴訟法39条1項参照)。
一口に外国人といってもその日本語能力は様々であり、未成年の少年である場合には注意が必要です。
特に法律や手続の説明を日本語で理解できるかは個々人の来歴や年齢等によるため、日常のコミュニケーションには不都合がなくとも、通訳人を介した接見(面会)を行うことを要する場合もあると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、外国人の少年事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
弊所では、外国人事件の弁護士による接見(面会)も承っております。
傷害事件で逮捕されてしまった少年のご家族等は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話ください。

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