淫行と不処分

2021-09-30

淫行と不処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

大学生のA君は、18歳未満のVさんと性交したとして警察に青少年健全育成条例違反(淫行の罪)で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたA君の母親は少年事件に強い弁護士にA君との接見を依頼しました。A君は接見に来た弁護士に「Vさんとは交際中だったので納得がいかない。」と話しています。
(フィクションです。)

~少年と淫行の罪~

少年とは20歳未満の者をいいます。
淫行の罪といえば、18歳未満の少年(少女)が被害者、というイメージですが、その少年が反対の加害者、つまり被疑者の立場となり得ることもあります。
淫行の罪を規定する青少年健全育成条例では、

何人も、青少年に対しいん行またはわいせつな行為をしてはならない

としており、犯罪の主体(加害者)について何ら限定していないからです。
もっとも、少年同士の淫行事案だと、交際中、恋愛中の性交だったと主張したくなる場合もあるでしょう。
真実、交際中、恋愛中の性交であると認められる場合は「淫行」にはあたりません。もっとも、その当否については慎重に検討する必要があります。

~不処分決定~

家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、または、保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければなりません。
この決定を、「不処分決定」といいます。

このように、不処分決定には、
(1)家庭裁判所が保護処分に付することができないと認めた場合、になされるものと、
(2)家庭裁判所が保護処分に付する必要がないと認めた場合、になされるもの
の2種類があります。

(1)保護処分に付することができない場合の不処分決定
法律上または事実上、保護処分に付することができない場合には、裁判所は不処分決定としなければなりません。
具体的には、非行事実の存在が認められない場合、少年に心神喪失、死亡、所在不明、疾病、海外居住等の事情が生じた場合、そして審判条件を欠く場合などです。

(2)保護処分に付する必要がない場合の不処分決定
事件について、要保護性が存在しない、または小さくなっていることから、保護処分に付する必要がなく、児童福祉法上の措置や刑事処分の必要もない場合には、家庭裁判所は不処分決定とします。
例えば、調査・審判の過程で、関係者による働きかけが行われた結果、要保護性が解消され、再非行の危険性がなくなった場合には、不処分決定がなされます。
また、別件で関係者による働きかけが行われていたり、保護処分に付されているために本件では特に処分をする必要がないと認められる場合もあります。

非行事実に争いのない場合、関係者による働きかけが講じられた結果、要保護性が解消したため保護処分に付する必要がないとして、不処分決定がなされることが多いです。
この働きかけは、家庭裁判所の調査官や裁判官による指示、説諭、訓戒、誓約書徴取だけでなく、審判手続を経ること自体や観護措置による少年鑑別所での処遇も含まれます。
そして、付添人による少年に対する働きかけも重要です。
付添人は、少年の内省への働きかけ、被害者への謝罪・被害弁償、家庭環境や学校環境、交友関係等の環境調整を行い、少年の要保護性を解消することにより、保護処分に付する必要性がないと裁判官に認めてもらうよう働きかけます。

上のケースにおいても、捜査段階からしっかりと環境調整をしていくことで、審判では要保護性が解消されたと認められ、不処分決定が言い渡される可能性はありますので、できるだけ早くから働きかけることが大切です。

このような活動は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
少年事件は、成人の刑事事件とは異なる部分も多いため、少年事件の特色について把握している経験豊富な弁護士であれば、迅速かつ適切な活動を期待できるからです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。お子様が事件を起こしてしまい、対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

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