少年の児童ポルノ製造事件
児童ポルノ製造罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
大阪市内の高校に通っているA君(17歳)は,SNSで知り合った別の高校に通う女子高生Vさん(16歳)に,LINEで「裸の写真送って」とメッセージを送り,Vさんの自撮りした裸の写真画像を手に入れました。しかし,A君はその後,Vさんから「親が警察署に相談に行くと言っている」と聞き,不安になったことから,このことを自分の親に相談しました。そして,A君は親とともに,少年事件に詳しい弁護士に相談に訪ねることにしました。
(フィクションです)
~児童ポルノ製造の罪~
児童ポルノ製造の罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下「法律」という)の7条3項,4項,5項,7項に規定されています。今回のAさんの行為は,法律7条4項の製造罪に該当しそうです。法律7条4項によれば,
児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物により描写することにより,当該児童に係る児童ポルノを製造した者 ※児童=18歳に満たない者(法律2条1項)
が処罰の対象とされるとしています。
少し言い回しが難しいですが,要は,
児童の裸などの姿(第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態)をスマートフォンなど(正確には,電磁的記録に係る記録媒体その他の物)に記録(描写)した者
が対象となると考えればいいでしょう。
なお,「姿態をとらせ」とは,行為者(Aさん)の言動等により,当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいいます。行為者自らがとったか否かは問わず,また強制によることを要しないと解されています。
* 児童の同意がある場合 *
児童の同意がある場合は,製造の罪は成立しないのでしょうか?
この点,製造の罪は,児童ポルノの製造行為が児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず,流通の危険もあることから処罰の対象とされるものです。よって,たとえ児童が児童ポルノの製造につき同意・承諾していたとしても児童の心身に害悪を及ぼすことに変わりはないですし,児童ポルノの流通の危険も以前として存在します。よって,児童の同意・承諾があっても児童ポルノ製造の罪は成立すると解されています。もっとも,製造者(Aさん)と児童(Vさん)との関係,児童の同意・承諾の有無,その経緯等に鑑みて,違法性が認められないなどの理由から犯罪が成立しないとされる場合は考えられます。
* 要求しただけの場合 *
児童ポルノを送るよう要求したが,相手から拒否されたため児童ポルノを入手することができなかった場合は福岡県青少年健全育成条例に定める「児童ポルノ等の提供をを求める行為の禁止の罪」に当たる可能性があります。
~少年事件の流れ,刑事処分~
少年の場合も,事件が認知されれば,家裁送致までは基本的には成人と同様の流れとなります。逮捕・勾留され身柄を拘束されることもありますし,在宅被疑者として警察から出頭の要請に応じなければなりません。
家裁送致後は,身柄を拘束されている場合は,通常,観護措置を取られ少年鑑別所に収容されます。収容後は,専門職員による調査・面会,家庭裁判所調査官による調査・面会などを受けることになります。在宅の場合も,家庭裁判所調査官による調査・面会などを受け,最終的には,少年審判を受ける必要がある場合があります(審判不開始により受ける必要がない場合もあります)。
少年審判では,保護観察,少年院送致などの保護処分,検察官送致(いわゆる逆送)の決定が下されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。